かつては筋金入りのバックパッカーだった自分。汚かろうがゴキブリだらけだろうが、どんな宿でも安けりゃ天国と歯を食いしばって泊まった。そんな私もいつの間にか普通のホテルを使うようになり、10年あまり安宿と疎遠に……。
台北でホテルを探していたとき、そんなことをふと思い返した。初心に帰って安宿に泊まろうか? だが、鏡を見ればいい歳のオッサン。若いノリについていけるかな? ちょっぴり不安を抱きながら、便利でキレイと評判の良い日本人オーナーの安宿に足を向けた。
・安宿こそ超便利な場所にある
香港の重慶マンションしかり、シンガポールのベンクーレンストリートしかり、外国人向けの安宿は大抵交通至便な場所にある。今回お世話になったゲストハウス「りーほー」も、台北駅すぐそば。バスターミナルの真向かいという超一等地。朝早く空港に行くときも、ギリギリまで寝ていられるよ。
・セキュリティも厳重過ぎ
りーほーが入るのは年代物の雑居ビル。むちゃくちゃわかりにくいしおっかなそうな建物だが、台湾ではどこにでもある普通の雑居ビル。表通りから宿の入り口まで、鍵付きの鉄扉を3つも開けなければいけない。つまり、うんざりするほど安全だ。
・中はピカピカ、設備も充実
内部は清潔そのもの。1200元(約4000円)のシングルルームを予約したが、シングルが一杯でダブルルームに泊まることができた。二段ベッドのドミトリーなら680元(2200円)から。長期滞在には割引があり、洗濯機や物干しスペースも使える。バス・トイレは共同だが、順番待ちは特に無かった。
・安宿も悪くない。むしろいい!
私の中で安宿とは、窓もなく、暗くて湿っぽくて暑い、害虫だらけの牢獄──というイメージだったのだが……。今回始めて「まともな」ゲストハウスに泊り、ホテルと大差ない充実度に感動。近隣の飲食店を案内する手作りの地図が置いてあったり、無料の無線LANも速いし、もう大満足!
・でも、なぜか浮いてしまう中年男
夜も更けると、居間に集まる若い旅行者たちが、朗らかな談笑タイムをおっ始める。考えすぎかもしれないが、ひとり旅の中年男には見えない壁が立ち塞がる。旅のスタイルも私生活も、20代の若者とは別宇宙にいる自分、話はこれっぽっちも噛み合わない。
「ヘイ、いい大人が、連休でもない平日になんで旅行してんだ? 働かないのか?」
言われなくても聞こえてしまう、これが本当の被害妄想。時折漏れ聞こえる若い男女の笑い声を肴に、ひとり寂しくインターネット。チクショウ、楽しそうにしやがって! というわけで、ハードルは高かったものの、学生気分も満喫。若返った気分だけど、これって気のせいか?
・今回ご紹介した宿の詳細データ
店名 ゲストハウスりーほー
住所 台湾台北中正區重慶南路一段5巷1號
Report : クーロン黒沢
Photo : Rocketnews24.
▼いわくありげな建物。このビルに安宿が!
▼玄関横の道路脇は食堂の調理スペースになっていた。
▼直進すれば食堂。右折して階段を上がると宿の玄関へ。
▼共有スペースが煤けきっているのは良くあること。
▼宿の敷地に入ると内装もキレイに。靴を脱いで右の鉄扉を開けよう。
▼宿の内部はまだピカピカ。
▼奥が今回あてがわれた部屋。室外機一体型エアコンが懐かしい。
▼細長い部屋だけど必要十分。窓もある!
▼ゴミはこちらへ。
▼住人たちの団欒スペース。昼は大抵誰もいない。
▼共用のシャワー・トイレ。
▼バルコニーは喫煙所になっていた。