世界中の “イヌ・ネコ好き” から、激しい怒りを買っている動画がある。YouTubeにアップされた動画名は「Disturbing Cruelty: Kittens used as Bait for Sharks」。タイトルに日本語で「サメの餌にされる犬猫たちを救おう」と書き加えられたバージョンもある。
公開されたのは2010年。内容はタイトル通り「ネコがサメのエサにされている」といったものであるが、最初に結論を書いておきたい。この映像はウソまみれのデマ動画である。繰り返す、この動画はデマ動画だ。海外のコアなネットユーザーの間では、とっくの昔に「デマ映像」として認定されている映像なのだ。
・お金持ちのアメリカ人がイヌ・ネコをエサにサメを釣る
公開されている動画の内容と情報を、さらに詳しく説明しよう。情報によれば、この映像が撮影されたのはインド洋のあるフランス領レユニオン島。動画に映っているのはお金持ちのアメリカ人で、イヌやネコ(子猫)をエサにして、優雅にサメ釣りを楽しんでいる映像だと解説している。
たしかに、ネコが生きたまま釣り針に突き刺され、海を泳いでいる場面は収録されている。思わず目を背けたくなるシーンだが、この「針に突き刺され」という場面もウソであると言われている。詳しくは後述したい。また、実際にサメに食べられているシーンや、そもそも「イヌ」は1秒たりとも出てきていない。
・米フロリダ在住のペテン師が2009年に作った
後述する詳しい解説を読むのがメンドクサイ人のために、より突っ込んだ結論を先にお伝えしたい。この映像は、「ネコをエサにサメを釣る動画」をエサに金儲けをしようとした、米フロリダ在住のペテン師が2009年に作ったものだ。
しかも金儲けの方法がセコい。なんと、「ネコをエサに釣りをするな」と書かれたTシャツを19ドル95セント(約2040円)で売るために、ウソまみれの動物愛護キャンペーン活動をするために、この動画を作ったのである。ネコでサメを釣っているなんて事実は存在しない。イヌについては後述する。
・イヌ・ネコ好きな人を狙ったウソ動画
むろん、この動画を作ったペテン師が狙ったのは、動物虐待の情報には「かわいそう!」と飛びついて、寄付や援助、動物愛護運動をするような心優しき人たちである。真偽を疑おうともせず、「イヌ・ネコだから」と、まんまと騙されてしまう、イヌ・ネコ好きな人たちがターゲットだ。
そんな素直な心を持っている人たちが、大昔に海外ではウソ判定されているフェイク動画に対し、マジレス&マジギレしているのが現状だ。ウソを見抜けなかった人たちが、哀れにも騙されている……いや、2009年から騙され続けているのである。当のペテン師は、とっくの昔にトンズラしているのに、だ。
それでは、なぜ、このような動画が2009年に作られたのかについて、次ページ(その2)から徹底解説してみたい。ちなみに、この動画は昨年2013年3月中旬ごろにも、ウソだと見抜けなかった人たちによって大きな話題になっていた。それについても後述する。すべてを読めば、もう騙されない。
【徹底解説】ネットで話題の「イヌやネコが釣り針に刺されてサメのエサにされる動画」はインチキまみれのデマ動画だから騙されないように要注意(その2)
まずは「ネコをエサ」の前に、「イヌをエサ」の情報に関しての説明しよう。今から約9年前の2005年、今回の動画の舞台とされている「フランス領レユニオン島」で悲しい事件が起きた。同島でサメ漁をしている一部のアマチュア漁師が、実際に生きたままのイヌをエサにサメ漁をしていたのだ。
・漁師は逮捕
このニュースは、2005年当時にもフランスで報道されており、後にイヌをエサにしていた漁師も「動物虐待容疑」で逮捕されている。容疑者が映った裁判時の映像も公開されている。また、フランスの動物愛護団体によって「生きたイヌを釣りのエサにしてはならないという法律を作るべき」という嘆願書も作られ、世界80万人以上の署名が集まったという。
・法律も作られた
それを受けて2005年9月、レユニヨン島の政府は「生死にかかわらずイヌやネコを釣り船に乗せることを違反」と定め、激しい抗議に対処。つまり「生きたイヌを釣りのエサにしてはならない」という声に応える法律が作られたのだ。これが「イヌをエサにサメを釣る」騒動の顛末である。
つまり、過去に事実として、そのような事件はあったが、すでに解決済み。逮捕されたアマチュア漁師は「生きたイヌをエサにサメを釣る」という罪を犯したが、別にそのサメ漁がレユニオン島の一般的な習慣であるわけでもない。また、その後に同じ罪を犯した者が出たという報道も事実もない。
・動画は「イヌ問題」とは無関係
問題の動画には、最初からイヌなんて登場していなかったが、そもそも「イヌをエサにサメを釣る問題」とは全く関係ない動画なのである。この動画は最初から「ネコをエサ」をテーマに作られたモノなのだ。また、その「ネコをエサ」の真偽についても、この動画が公開された2009年の時点で、ある程度の結論が出ている。
・閲覧注意な動画サイトのユーザーは冷静だった
とりわけ活発に動画の真偽を確かめていたのは、動画サイト「liveleak」のユーザーたちだ。同サイトは、YouTube にも掲載されない(できない)ようなグロテスクな映像も容赦なく公開される極めて “閲覧注意だらけ” な場所であるが、そんな映像を普段から見極めているユーザーたちは傭兵なみに冷静沈着。
なにせ「かわいそう!」や「ひどい!」という声が出てくる前に、「どう見てもフェイク(うそ)」や「前にも見たよ」や「クソ動画アップすんな」と厳しい喝(かつ)をバシバシと書き込む “地獄の動画審議委員会” のような論客が世界中から集まっているのだ。そんな彼らが下した評価は以下のとおり。
「ネコに突き刺されているはずの “釣り針の部分のアップ” が見えていない」
「もしも本当にネコを針で吊り下げていたら、もっと首の皮が伸びるはず」
「そもそもサメがネコに食べられているシーンがない」
「全体を通して、海の色が違う」
「普通の漁のシーンを使ったりしている」
「ツギハギだらけの捏造動画だ」
「これは動物愛護団体のプロパガンダだ」
「こんなレベルの低いフェイク動画は久しぶりだぜ」
「動画の最後にあるURLに行ってみたか? 反吐が出るぜ」
「どう見てもフェイク(うそ)」
などなど、ネコに対する同情心はゼロであるが、冷静かつ的確なコメントが相次いでいた。褒めるべきことではないが、さすがは地獄の「liveleak」ユーザーである。
・謎の「私たちのネコちゃんを漁師から守ろうドットコム」
ちなみに動画の最後に書かれていたURLは、「saveourcatsfromfishermen.com」。日本語訳するなら「私たちのネコちゃんを漁師から守ろうドットコム」である。当然ながら、そのサイトは数年前に閉鎖されているが、そこには一体、何があったのか? なぜ反吐が出そうになったのか? その答えは、次ページ(その3)で解説しよう。
参照元:Dogs Were Used for Shark Bait、National Geographic、liveleak(英語)、Fondation 30 Millions d’Amis(フランス語)
執筆:GO羽鳥&和才雄一郎
【徹底解説】ネットで話題の「イヌやネコが釣り針に刺されてサメのエサにされる動画」はインチキまみれのデマ動画だから騙されないように要注意(その3)
現在は閉鎖されている謎のサイト「saveourcatsfromfishermen.com」について調べてみると、作られたのは2009年の1月下旬。どんなサイトだったのかというと、たった1ページだけの商売サイト。しかし、そこに書かれている内容と、埋め込まれた動画に「反吐が出る」と海外のネットユーザーは嫌悪感を示したのだ。
要約すると、こうだ。
『生きた子猫で「釣り」だと? 本当なら気持ち悪すぎないか? 自分の目で判断してくれ!』
「地球の温暖化による影響で、施設では子猫やネコがあふれている。気温の上昇が、繁殖期を長く、そして頻繁にしているのだ。そして、金持ちで傲慢な釣り人が、この増えすぎたかわいそうな動物達を、サメなどのエサとして利用していると言う。
この病的な連中は、自分たちの歪んだ楽しみのために、子猫やネコを虐待し、それを “スポーツ” と呼んでいるのだ。私たちは、この恐ろしい行為が広く知られ、ネコや子猫の命が守られることを祈っている。
どうかオリジナルTシャツを買ってください。19ドル95セントです。私達は、売り上げの一部をPETA、SPCA、WWF、HumanSociety に寄付します。」
──そして、そこに埋め込まれていた動画こそが、このサイトの管理人が作った「ネコが釣り針に刺されてサメのエサにされる動画」である。そして、19ドル95セント(約2040円)で販売されていたTシャツのデザインが、下記の画像である。
つまり、このページの内容と動画を見て、「私たちのネコちゃんを漁師から守ろう!」と思った人は、『私たちのネコちゃんを漁師から守ろうTシャツ』を買って下さいネ……ということだ。おそらく、心優しきネコ好きな人たちの何人かは、実際にTシャツを購入したことだろう。活動資金になると信じて。
・ネコをエサにサメを釣る動画に食いつくネコ好きを狙った詐欺
だが、前述のとおり、動画はウソ。アメリカ人がネコをエサにサメを釣っているなんて事実もウソ。たった2000円程度のTシャツを売るために、フロリダのペテン師がでっちあげた、心底セコいウソである。要するに、「ネコをエサにサメを釣る動画に食いつくネコ好きを狙った詐欺」ということだ。
ちなみに「saveourcatsfromfishermen.com」は、上記の内容で2010年ごろまで活動し、なぜか2011年ごろにサイト閉鎖。しばらくしてから謎の「スポーツニュースサイト」に変貌し、しばらくバスケのニュースなどを執筆してから再度サイトを閉鎖している。
・ペテン師の正体は……釣りイベントのプロモーター!?
なお、このフロリダのペテン師についても、海外の有志たちは正体を突き止めている。名前はグラディ・ウォーレン(Grady Warren)なる人物で、天才的なペテン師であるという。さらに、ちょっと有名なレイシスト(差別主義者)の活動家であり、フロリダで開催されるスポーツ・フィッシング(釣り)イベントのプロモーター(興業主)でもあるという……。
・なぜ「イヌをエサ」にではなく、架空の「ネコをエサに」にした?
それはさておき、なぜフロリダのペテン師は2009年に「saveourcatsfromfishermen.com」を作ったのだろうか。そして、なぜ、事実として事件があった「イヌをエサ」にではなく、架空の「ネコをエサに」にしたのだろうか? その理由も、とある有名な動物権利擁護団体の動きを調べてみると、おぼろげに見えてくる。次ページ(その4)で解説したい。
参照元:Wayback Machine [1] [2]、Ken Nelson、AD SAVVY、FISHING FURY、CrooksAndLiars(英語)
執筆:GO羽鳥&和才雄一郎
【徹底解説】ネットで話題の「イヌやネコが釣り針に刺されてサメのエサにされる動画」はインチキまみれのデマ動画だから騙されないように要注意(その4)
──実は、フロリダのペテン師が2009年に「saveourcatsfromfishermen.com」を作る前の2008年、『PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)』という名の動物権利擁護団体が、とあるキャンペーンを始めたのだ。その名も「Save The Sea Kittens!」、和訳するなら「海の子猫ちゃんを守ろう!」である。
どんなキャンペーン内容なのかを、くだけた口調で表現するならば、「海の魚も生きてるんだよ! 動物なんだよ! 子猫ちゃんみたいなもんだよ! それを釣るなんて残酷すぎる! つーことで魚を食べちゃダメ!」だ。つまり “動物を食べるな” ということだ。ベジタリアンになれということだ。
・PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)とは
ここで『PETA』について軽く説明しておこう。動物愛護団体というよりも、「動物の権利を擁護する団体」であり、その規模は世界最大級。あの「シー・シェパード」とも友好な関係にある。当然ならが世界中で活動しており、もちろん日本でも活動中だ。
たとえば「動物の毛皮」や「スペインの牛追い祭り」に抗議するために、PETAメンバーが裸でアピールをしたりするのが特に有名で、チキンが美味しいKFC(ケンタッキーフライドチキン)に対しても、たびたび抗議活動を行っている。「たこ焼きの販売をやめて野菜を売れ」という訴えも過去にはあったという。
・「スーパーマリオはタヌキ殺しだ」
ついでに書くなら、PETAのサイトには、任天堂のゲームを皮肉ったミニゲームまで用意されている。たとえば『スーパーマリオ』の変身のひとつ「タヌキマリオ」についてのミニゲームでは、「タヌキの毛皮を身にまとうマリオはタヌキ殺しだ」と訴えている。ほかにも「ポケモンは人間に酷使されている」的なゲームも存在する。
・寄付金は大手ファストフードチェーンとの戦いにも使われる
ちなみに、うっかりリンクを踏むと寄付ページへ飛んだりもするが、そこには「世界の食生活が “動物を残虐に殺すことのない食生活” になるために活動資金を寄付して下さい」的なことが書いてある。家畜が虐待されていないかの覆面調査や、“大手ファストフードチェーンとの戦い” のためにも、その資金は使われるという。
また、子供にも分かりやすいように絵本的なページも用意されているが、そこには「食用にされたネコは、ぬくぬくと自由に生きているネコのことを恨んでいる」といった表現もある。魚をネコに置き換えて考えよう、ということだろうか。いずれにしても、「魚がカワイソウ!」といった方向で一貫している。
・Tシャツの売上の一部は、PETAにも寄付します
そういえば、フロリダのペテン師は、「Tシャツの売上の一部は、PETAにも寄付します」と書いていた。本当に寄付しようとしたのかは怪しいところだが、いずれにしてもPETAのキャンペーンは熟知していると考えるのが普通だろう。ということは……おそらく、海外における流れとしてはこんな感じだ。
【海外における話の流れ】
2005年、フランスで「イヌをエサにサメを釣る」事件が明らかになる。
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同2005年、釣り人は逮捕。さらに、同様の悲劇を防ぐための法律も制定。イヌエササメ釣り事件は、これで終了。
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2008年、PETAが「海の子猫ちゃんを守ろう!」キャンペーンを開始。
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2009年、フロリダのペテン師が「私たちのネコちゃんを漁師から守ろう!」キャンペーンを動画と共に開始。
↓
わりとソッコーで捏造動画だということがバレる。
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本気で検証する人も出てくる。フロリダのペテン師、ピンチ。
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2010年サイトを閉鎖したうえ、動画も削除してトンズラ。
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別の人物が、「私たちのネコちゃんを漁師から守ろう動画」のコピー動画「Disturbing Cruelty: Kittens used as Bait for Sharks」を2010年にアップ。英語での説明文で、2005年に起きたフランスの「イヌをエサにサメを釣る事件」にも言及。
──海外においては、ここでひとまず落ち着いている。しかし、話の流れを知らない人が、YouTubeなどにアップされるコピー版の「私たちのネコちゃんを漁師から守ろう動画」を見て、これが真実だと思い込んでいるというわけだ。世界中で、騙されている人が後を絶たないのが現状だ。
・日本は海外とは違った流れで伝聞された
残念ながら話はこれで終わりではない。上に「海外においては」と書いたが、実は日本では海外とは違う流れで話が伝聞されていたのだ。その答えは、最後のページ(その5)で解説する。次が最後だ。がんばって!
参照元:Sea Kittens、PETA、Mario Kills Tanooki(英語)
執筆:GO羽鳥&和才雄一郎
【徹底解説】ネットで話題の「イヌやネコが釣り針に刺されてサメのエサにされる動画」はインチキまみれのデマ動画だから騙されないように要注意(その5)
実は、この動画は昨年2013年にも日本で話題になっていた。そもそものきっかけは、2012年9月。とある日本のブログユーザーが、友人からメールで聞いた話として、「お金持ちのアメリカ人がフランス領レユニオン島で、イヌやネコをエサにサメを釣っている」と、動画付きで紹介した。
・違う話をゴッチャにして紹介
その投稿に埋め込まれていた動画は、「私たちのネコちゃんを漁師から守ろう動画」のコピー動画と、2005年にフランスで報道された「レユニオン島からイヌを救出した映像」を誰かが再編集してYouTubeにアップした動画、合計2本だ。
かたやインチキ動画、かたや「イヌエサ事件」の映像なのに、なぜか同じ事件として組み合わせて「イヌやネコをエサにしてサメを釣っている」と紹介したのだ。
・しばらくしてから大きな話題に
その後、しばらくは何事もなかったが、2013の3月中旬ごろ、このブログエントリーがなぜかネット上で話題になった。あの有名サイト『痛いニュース』でも2013年03月14日に報じられ、ツイート数は2000以上、1800件以上のコメントが付いていた。
そして、それらコメントは、ほとんどすべてが「これはひどい」や「外道すぎる」といったものであったが、翌日3月15日、とあるユーザーが「すでにこの問題は2010年に解決していますよ」と、ソースとなるURL付きでコメントした。つまりは「デマみたいですよ」と忠告したのだ。
・調査の結果「このような漁は現在は行われていない」
そのURLは、前述とはまた違う日本人のブログであり、そこには「フランスの動物愛護団体やPETAの各支部、さらに英国の王立動物虐待防止協会に問い合わせをしてみた結果、このような漁は現在は行われていないことが分かりました」的なことが丁寧な文章で書かれていた。日付は2010年2月である。
それを受けてか、もしくは他の理由があったのかは不明であるが、後に『痛いニュース』は該当のニュースを削除している。多くのユーザーが見るであろう有名サイトからも、わりとマッハでこのニュースは “消えて” しまったのだ。よって、ネットをよく見ている人でさえも、この事実を知らない人が多いのである。
・世界における話の流れ
ということで、前ページに書いた【海外における話の流れ】と、【日本における話の流れ】を、まとめてみるとこうなる。
2005年、フランスで「イヌをエサにサメを釣る」事件が明らかになる。
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同2005年、釣り人は逮捕。さらに、同様の悲劇を防ぐための法律も制定。イヌエササメ釣り事件は、これで終了。
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2008年、PETAが「海の子猫ちゃんを守ろう!」キャンペーンを開始。
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2009年、フロリダのペテン師が「私たちのネコちゃんを漁師から守ろう!」キャンペーンを動画と共に開始。
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わりとソッコーで「ネコエサ動画」が捏造だということがバレる。
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本気で検証する人も出てくる。フロリダのペテン師、ピンチ。
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2010年サイトを閉鎖したうえ、動画も削除してトンズラ。
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2010年2月、日本人ブロガーがフランスの「イヌエササメ釣り事件」について各方面に問い合わせをし、「このような漁は現在は行われていないことが分かった」と報告。
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2010年7月、フロリダのペテン師とは違う人物が、「私たちのネコちゃんを漁師から守ろう動画」のコピー動画「Disturbing Cruelty: Kittens used as Bait for Sharks」を YouTube にアップ。英語での説明文で、2005年に起きたフランスの「イヌをエサにサメを釣る事件」にも言及。
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2012年9月、また別の日本人ブロガーが「お金持ちのアメリカ人がフランス領レユニオン島で、イヌやネコをエサにサメを釣っている」と、動画付きで紹介。
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2013年3月、上記のエントリーがネットで話題になる。ネットニュースとしても報じられる。しかし、わりと早い段階でニュース記事が削除されたりして “なかったこと” になる。
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2013年7月、また別の人物が「お金持ちのアメリカ人たちがイヌや黒ネコをエサに、優雅にサメ釣りを楽しんでいる。サメのエサにされるイヌ・ネコたちを救おう」という日本語説明を付けたうえでコピー動画を YouTube にアップ。
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2014年2月、再び「お金持ちのアメリカ人がフランス領レユニオン島で、イヌやネコをエサにサメを釣っている」というネタがネットで話題になる。
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そしてこの記事がアップされる ← 今ココ
──というわけだ。つまるところ、遠い昔にフロリダのペテン師が作ったインチキ動画に、何度も何度も騙されているわけだ。
いま、フロリダのペテン師は何を思っているのだろう。サイトも動画も削除したのに、捏造動画だけが亡霊のようにネットでは生き続けている現在の状況。特に何も思っていないかもしれないが、もしかしたら、こう思っているのかも。「ネコをエサにサメを釣る動画を作ったら、何度も何度もカモが釣れた」と。
参照元:YouTube、アニマルライブの動物愛護日記、Wayback Machine(英語)
執筆:GO羽鳥&和才雄一郎
▼こちらがフランスのイヌ救出動画
▼こちらは日本語タイトルが付いたバージョンの動画
http://www.youtube.com/watch?v=_sR_YQKuCks