醤油ラーメン美味しい! 一番好きなラーメンです! と言いながら毎日ラーメンばかり食べているラーメンマニアたちもビックリのラーメン好きが集まる地域が、静岡県の一部に存在するという。
その静岡県民たちは朝からラーメンを食べるだけでは飽き足らず、さらに1回の食事でラーメン2杯を同時に食べるというにわかラーメン好きが失神してしまう荒技を平気でこなすらしい。
そんなラーメンマニアばかりいる地域があるわけないでしょ(笑)。たまたまラーメンマニアが集まるラーメン店があるだけじゃないの? と思っていたが、とある静岡県出身のラーメン好きAさんによると
「静岡県藤枝市周辺のラーメン屋に朝行けばわかります。マルナカってところが一番おススメですが、休日はお店が休みの場合があるので、池田屋という店に行ってみてください」
……と貴重な情報を教えてくれた。むむっ、静岡に行くならさわやかに行きたいが、こちらもかなり気になる! ということで土曜日に東名高速をひとっ走り、知人を連れ静岡県藤枝市のラーメン店『池田屋』に朝7時頃行くと、そこには衝撃の光景が!
朝早くにもかかわらず、多くの藤枝市住民と思われる方たちですでにほぼ満席! ホントにラーメン好きが集まる地域なのだろうか!? ギリギリラスト1席に座り、メニューを見ると『冷やし』というメニューがある。どうやらこのお店では温かいラーメンと冷たいラーメン2種類を常時提供しているようだ。
せっかくなので2名で冷やしラーメンと温かいラーメンの並を1つずつ注文。ラーメンが着丼するのを待っていると、さらに衝撃の光景がッ!!! なんと温かいラーメンをズルズルと食べていた藤枝市民と思われる男性の席に、追加で冷やしラーメンが置かれたのであるッ!!!
もちろん男性は1人でお店に来ているので、1人で2杯食べるのだろう。驚くべきことにほかの席に座っている人たちも、温かいラーメンを食べている途中に冷やしラーメンが席につぎつぎと置かれていくではないか!
女性客はどちらかのラーメン1杯しか食べていなかったものの、男性はほとんどが、1人で冷たいラーメンと温かいラーメン2杯を食べていた。確かに「ラーメンを朝から食うだけでは飽き足らず2杯一気に食う静岡県民」は藤枝市に多く存在していたことが判明した。
それだけ見ると単なるラーメンマニア市みたいに思えるが、届いた冷やしラーメンと温かいラーメンを食べてその理由が分かった。温かいラーメンは優しい味わいで、のどごしの良い麺がスルスルと胃に入っていく。
さらに冷やしラーメンはそばつゆに似たテイストの、少し甘めなスープ。それにわさびを溶かして食べる藤枝市独自のラーメンで、アクセントの紅ショウガの酸味が心地よい。コレはどちらも相当美味しいぞ!
ラーメンの温度も味も全く異なるのだが、どちらも決して味が薄いというわけではなく、あっさりして美味しいということだけが共通している。同じものを2杯食べるより全然余裕。これなら朝からラーメン2杯もまったく問題ない。
どうしてこのようなラーメンを食べる人が藤枝市では多いのか? そのことについて詳しく書かれている『藤枝朝ラー文化軒究会』のページを発見し読んでみると……。
「朝ラー」は藤枝が生んだ食文化です。藤枝は、古くからお茶の生産地として有名で、お茶取引などでたいそう早くから仕事を始める、働き者が多くおりました。藤枝のあるところに評判のラーメン屋がありました。仕事帰りに腹ごしらえしよう、と毎日早くから行列ができていました。店主はその行列を見かねて、次第にお店の中に呼び入れるようになり、除々に営業時間を早めていくようになったといわれています。
つるりとした喉ごし麺と日本そばを思わせるさっぱりとしたスープの中華そばは「朝から食べても胃にもたれない」と評判になり、二種類の味を楽しもうと温と冷をセットで食べるのが藤枝流となりました。今では藤枝を中心に朝から営業を開始するお店が多くできています。
(藤枝朝ラー文化軒究会より引用)
なるほどなるほど。早朝から働く人たちが場所がら昔から多く、その人たちの食事スタイルが現在の藤枝市民たちに根付いたということだったのか! 朝から美味しいラーメン食べて元気に仕事をするって、ステキやんですなぁ。
今回訪れた池田屋のほかにも、藤枝市には朝ラーメンを提供する店が多く存在するという。近くには焼津港があり朝から市場で食べられる魚介類も有名だが、朝ラーメンも良いものだ。静岡旅行をした際には、ぜひ朝ラーメン2杯食いにチャレンジしてみてくれ!
Report:なかの