料理もカラオケもクルマの運転も、「ヘタクソすぎてドン引きされる」ことはあるかもしれませんが、「上手すぎてドン引きされる」ということはないはずですよね。不味い料理を完食しなければならないほど苦痛なことはないですし、「本当に免許持っているのかよ?」とツッコミたくなるような相手とのドライブなんて真っ平ご免です。料理やドライブに限らず、何事もヘタよりは上手いほうがいいに決まっています。

しかし、世の中にひとつだけ、上手すぎるとドン引きされる行為があります。性行為です。いや、ドン引きとまで言ってしまうと、やや大げさかもしれませんね。「性行為が上手すぎると、恋人を不安にさせてしまうケースもある」といったところでしょうか。

ポイントは、「恋人を」という部分です。一夜限りの相手や、お互い性行為だけを目的としたパートナーの場合は、相手のテクニックが上等であることに不安を感じる人はほとんど見受けられません。むしろ、「テクニシャン歓迎!」といったスタンスなのでしょう。しかし、恋人の性テクニックが卓越している場合は話が別のようです。男女問わず、不安を抱く人のなんと多いことでしょう! 

不安の背景にあるのは、「もしかして、ものすごく経験豊富なのかな?」という思いでしょう。自分と付き合う前に、3ケタ……いや1000人斬りを達成している可能性もあると。しかし、テクニシャンが必ずしも経験豊富かというと、決してそうとは言い切れません。

経験人数が片手で数えるほどでも、「性技」に優れた人はごまんといますし、逆に1000人斬りのプレイボーイ・プレイガールのテクニックがお粗末なケースもあるんです。相手が変われば、特別な工夫をせずとも、新鮮さが行為を盛り上げてくれるのは当たり前。むしろ、同じ相手と試行錯誤を繰り返す方が、自然とテクニックが磨かれるという見方も出来ます。

むろん、経験人数とテクニックが比例している人も存在するでしょう。しかし、それは過去の話です。いま現在は、自分とだけ付き合ってくれているのなら、何の問題もありません。「自分と出会う前は遊び人だったみたい」、大いにけっこうではありませんか。気が済むまで遊んで、ようやく落ち着いたのがあなたなのかもしれませんよ。もっと自分に自信を持ちましょう、「ヤリチン(ヤリマン)を卒業させたのは自分なのだ」と。

「経験豊富なカレ(カノジョ)にとって、自分との性行為は物足りないのでは」という不安も耳にします。だったら、己のテクニックを磨けばよいだけのこと。相手が上手いことをブーたれても何の解決にもなりません。「昔は遊んでいたのかも」などとボヤくヒマがあるのなら、サクランボの柄を舌で結ぶ練習なり、金冷法(陰嚢(いんのう)に冷水と温水を交互にかけて刺激し、精力UPを図る健康法)なり、膣圧UPトレーニングなり、自分がお相手に追いつく努力をしましょう。

恋愛コラムニスト:菊池美佳子 Twitter / ブログ