2011年の芥川賞の受賞会見。受賞者の西村賢太さんは作品の評価もさながら、「(受賞の知らせを受けたとき)そろそろ風俗に行こうかなと思っていたところだった」という発言でも注目を集めた。

その芥川賞受賞作『苦役列車(くえきれっしゃ)』が映画化、公開目前だ。原作では過剰な自尊心とコンプレックスが原因となり堕落した生活から抜けきれない主人公に共感する声も多い。映画版では、清楚なヒロインが登場するオリジナルストーリーになるという。ヒロイン役はAKB48の前田敦子さんだ。

原作ファンの間でも賛否がわかれた映画化だったが、その映画について、原作者である西村さんがことあるごとに不満をブチまけているのである。

西村さんと言えば受賞式での「風俗に行こうと思っていた」発言で知られるように、ときと場所にとらわれず、時にきわどい発言をすることでも有名だ。

その西村さんの映画に対する不満を一部紹介すると、

「どうしようもなくつまらない映画」
「原作者として名前をつらねるのも不快」
「時間のムダ」
「二度と見ない」
「金を払ってまで観ようとは思わない」
「見る価値はない」
「中途半端で陳腐な青春ムービー」
「ストーリーの改変も、原作を超えてくれるものであれば、それはまた別物として大歓迎なのだが、客観的に見ても到底その域には達していない」
(『一私小説書きの日乗』より引用)

などである。

また、ヒロイン役に前田敦子さん起用についても、過去に「前田さんは可愛いけど、キャスティングは不満」「柏木由紀さんとお願いしたが、聞いてもらえなかった」との旨を発言している。自身の連載でも度々映画への不満や苦言を述べているそうだ。

西村さんの一連の発言について、ネットユーザーからは悪く言って注目を集めようとする「ネガティブ・キャンペーン」ではないかとの指摘もある。この点について西村さんは、あっさりと映画ヒットのためにネガキャンであることを認めている。

公の場であえて悪く言うことでの宣伝効果を狙ってのことだという。やはり映画のヒットすれば、金になるからだそうだ。しかし「映画がつまらない」と思っていること自体は本心であるという。

だが、一方で映画関係者の間では評価されているとも伝えられている。実際に映画を見ないことにはわからないが……西村さんの発言や、予告、ポスターなどを見る限り、原作とは全く別物と思った方がよさそうである。

参照元:「本の話Web」一私小説書きの日乗「MATOGRPSSO」一私小説書きの日乗

photo:Rocketnews24.