みなさんは、大阪西成区に1泊500円で宿泊できるホテルがあるのをご存じだろうか?

そもそも、西成のあいりん地区、釜ヶ崎と呼ばれるエリアは古くから日雇い労働者が集まる街として有名で、路線の駅でいえばJR新今宮駅または地下鉄堺筋線の動物園前駅の周辺になる。

名作アニメ「じゃりン子チエ」の舞台になった場所でもあり、チンチン電車が路面を走り、今でも昭和の古き良き大阪を体感できる。一方で、よそ者を受け入れ難い雰囲気と治安の悪さも目立つ。

そして、そんな地域に根付き営業しているのが、1泊500円で宿泊できるホテル「きみや」だ。周辺には1泊1500円~2000円のホテルも多く、元々は日雇い労働者のための宿泊施設だったが、 最近は外国人旅行客にも人気がある。その中でも500円で泊まれる「きみや」は破格の値段だ。

はたして500円で泊まれる「きみや」はいったいどんなホテルなのか、今回、記者は実際に宿泊してみることにした。

■部屋によって料金が違う

ドキドキしながら受付でチェックインを済ます。部屋は料金によってランクが別れている。

・500円(テレビなし)…今回滞在した部屋
・700円(テレビあり)…上記の部屋と同サイズでテレビ付き
・800円~(テレビあり)…部屋が広くなる
※張り紙によるとカラオケの設備があり自由に歌える。

なお、受付のおじさんの説明によると、700円以上の部屋は長期滞在者向けに使われることがほとんどだという。

■チェックイン方法

宿帳のような紙に名前と年齢だけ書かされ前払いで500円を支払えばチェックインは完了する。領収書もちゃんと発行してくれる。館内は土足厳禁で備え付けのスリッパに履き替えて二階、三階に通される(靴は自分で部屋まで持っていく)。

■実際に部屋に行ってみると…

朽ち果てた共用の炊事場を通り部屋に到着。電気はちゃんとつくが、慣れないうちはどこにスイッチがあるのかとまどってしまう。また、布団は洗濯されてはいるんだろうが、そういう次元を越えて年季が入りすぎている。匂いに敏感な人にはおすすめできない。

また、共同トイレは和式ながら清潔感があり、トイレットペーパーはないが謎の柔らかい紙が置かれていた。

■電波は入る

幸いなことにソフトバンク、ドコモ共に電波は良好なのでスマートフォンでネットを見るぐらいは問題がなかった。

もちろん外出は自由なのでここから難波や梅田に繰り出すのもありだ。コンビニにも近いのでロケーションは最高だろう。そして、一般的に治安の悪いエリアだとはいわれるが、おおっぴらにカメラをまわしたり日常を乱すような行動さえしなければ駅周辺は普段の大阪の街並みと変わりはない。

「きみや」の宿泊はハードルの高さはあるものの、駅周辺の2000円台のホテルは旅行者にはリーズナブルで、最近はホテル側もツーリストを受け入れる体制が整ってきている。よって大阪宿泊の穴場として検討してみるのも悪くはないのかもしれない。

写真:ロケットニュース24
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]

[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]