世界中で砂漠化が深刻だと言われて久しい。年間で北海道とほぼ同等の広さの土地が砂漠化しているとも言われている。だがそれに対し我々個人は何か行動はできているだろうか。

たった1人で30年間も植樹を続けている男性が注目されている。彼はなんと約550万平方メートルも広大な森林を育て上げたのだ。この途方もない広さは東京ドームにして約120個分もの広さである。

1人でこの偉業をなしとげたのはインド・アッサム州に住むJadav Payengさんだ。彼は16才のころに水害に遭った。木があれば洪水は起きないのではないか、そう考えた彼は森林保護局に植林を要請したそうだ。だが職員はそれには応じず、そればかりか自分で竹でも植えたらどうだとさえ言ってきた。大抵の人ならそこで諦める。だがPayengさんは砂地に引越し、本当に植樹を始めたのである。

植樹は彼が1人で始めたことだ。もちろん協力者は誰おらず、何でも自分でやらなければならなかった。種をまき、水をまき、剪定と何でもやった。その地道な努力の結果、数年後、そこは立派な竹林となったのである。

だが彼はそれだけでは満足せず土壌改良のため付近の村から赤アリを持ってきた。また他の種類の木も植え、森を広げ続けた。そして12年後、Payengさんの森にはシカ、ウシなどの動物が自然と集まるようになったのである。集まった動物のなかには絶滅に瀕している一角サイ、ベンガルトラなどもいたそうだ。 

そして2008年、森林保護局は100頭ほどの野生のゾウがPayengさんの森に住んでいるということを聞き、はじめてPayengさんが30年間地道に森を育てていたことを知ったそうだ。Payengさんの偉業が世に知られることとなったのである。

広大な森には密猟者や不法伐採に来る者もいるという。だが彼はそれに負けず森を守り続けている。その様子は子どもを慈しむ親のようである。なお、この森は彼のニックネームから「Mulaiの森」と呼ばれているそうだ。

1人の力はときに絶望したくなるくらい微力だ。しかしPayengさんの行動は、1人でも世界を変えることができるということを教えてくれている。

参照元:Globedia(スペイン語)、Inhabitat(英語)

▼こちらがJadav Payengさん

▼Mulaiの森、30年前砂地であったとは信じられない

▼1人の力も決して無力ではないのである