2012年3月16日に発売が予定されているアップルの「新しいiPad」(以下:iPad)。先日の発表会で、iOS5.1の発表も行われ日本語でも音声アシスタントの「Siri」が利用可能になりました。

iPadにもSiriが搭載されるのでは? と期待されている方も多いかもしれませんが、残念なことにSiriは搭載されません。なぜなのでしょうか? それには次のようなわけがあると考えられています。それにしてもiPadで使えないなんて、非常に残念です……。

本当に搭載されないのか、アップルストアに尋ねたところ、応対して頂いた担当者ははっきりと「SiriはiPhone4Sだけで、発売されるiPadでは使えません」と言いました。しかし搭載しようと思えばできたはずです。ではなぜ、そうしなかったのでしょう。
 
1.Wi-Fiのみの接続で利用できない
Siriはデータを処理するために、ネットワークと恒常的な接続を必要とします。iPhone4Sは3Gネットワークに接続できますが、iPadのWi-Fiモデルはできません。アップルは断続的にネットワーク接続する環境(Wi-Fi)でのSiriの利用を好ましく思っていないようです。
 
2.アップルのデータセンターは許容量の限界に達している
IT系サイト「ZDNet」のジェイソン・D・オグレーディ氏は、「Siriは自らの成功の犠牲者」と話しています。というのも、英語、フランス語、ドイツ語に加えて日本語でのサービスを開始し、飛躍的にユーザーが拡大したため、データセンターへのアクセスがひっ迫しています。そのために処理時間がかかるようになり、不正確な返答をする可能性も指摘されています。これ以上データ量が増大しないように、iPhone4Sユーザーだけにサービスを提供しているようです。
 
3.そもそもiPadがSiriを必要としない
「iPadはエンターテイメント性の高いデバイスです」と話すのは、アップル社の情報を提供する「App Advice」のブライアン・ウルフ氏。iPadはスマートフォンではなく、じっくりと映画を観たり音楽を楽しむために作られたものと説明しています。したがって、音声アシスタントを必要としないのではないかと指摘しています。
 
4.iPhone4Sの販売への影響
もしiPadでもSiriが利用できたら、iPhone4Sの販売を減少させる可能性があります。そのために「Siriを使いたければiPhone4Sを購入するしかない」という販売戦略の観点から、iPadに搭載しないのかもしれません。
 
5.Siriに割かれている処理能力が低い
アップルの共同創設者のスティーブ・ウォズニアック氏は「87より大きい素数はいくつある?」と尋ねると、Siriに不動産情報を回答されたそうです。これは需要が高まっているにも関わらず、割り当てられている処理能力が低いためなのだとか。この状態でiPadユーザーまで抱えることになれば、結果は容易に察しがつくはずです。
 
このほかにも理由は考えられると思いますが、残念ながらiPadでSiriは使えません。アップル製品で音声アシスタントを楽しみたいという方は、iPhone4Sを手に入れるしかないようですね。

参照元:The Week(英語)