男性であれば、誰しも1度は感じたことがあるはずだ。何でもかんでも「カワイイ!」と表現する女性たちは、「本当にかわいいと思っているのか?」と。正直、ほかに表現方法があると思うものでも、まず第一声が「カワイイ!」だ。特に男性から見れば、女性同士でお互いをかわいいと言い合っているのだが、傍目から見て本心とは思えない。いや、「むしろ励まし合っているのかな?」とさえ感じてしまう。

もしかしたら、女性たちが言う「かわいい」には、容姿や外見の愛らしさだけではないほかの意味が含まれているのではないだろうか? そこで、私(記者)は職場や街中で聞こえてくる「かわいい」について、独自に調査し、この言葉で代用されている本来の意味を紐解いてみた。

■ 女性の言う「かわいい」に含まれる意味

「愛らしい」
「美しい」
「愛嬌がある」
「似合う」
「相応しい」
「小さい」
「幼い」
「微笑ましい」
「こじんまりしている」
「ブサイク」
「クセになる」
「食欲をそそる」
「もったいない」
 
……など。一言で「かわいい」といっても、そこに含まれる意味はかなり異なっている。その詳しい説明を以下にお伝えしたい。
 
・ 外見的「かわいい」

これは言うまでもないことなのだが、容姿・外見について愛らしいと判断されるものについての表現だ。対象をかわいいと感じるかどうかは、個人の判断によるが、この「かわいい」には他の意味は含まれておらず、容姿・外見を評価する言葉として使われている。まれに美しいものをかわいいと形容する場合もある。
 
・ 母性からの「かわいい」

女性には母性が備わっており、自分より小さいもの・か弱いものに対して、世話をしたくなる感情があるようだ。自分が世話をしたくなるものに対して、かわいいと表現することがある。主に動植物に用いられる。
 
・ 自己表現としての「かわいい」

先にも述べたことだが、女性の「世話をしたくなる感情」は母性に紐付いたものであり、「かわいい」と評価する対象よりも、自分の力が上回っていなければ発せられない言葉である。つまりこの言葉を通して、暗に自らの存在の主張または自己を表現している。「かわいいと評価する自分」を周りにアピールして場合がある。
 
・ 反語としての「かわいい」

1990年代以降、「かわいい」の前に別の形容詞をつけて表現するケースが登場した。「ブスかわいい」、「キモかわいい」がそれである。当初はブス・キモいなどの言葉のネガティブな意味合いを和らげるために使われたそうなのだが、最近はこれらが転じてかわいいの一語で済まされるようになったのではないかと感じる。女性たちがかわいくないものにまで、かわいいと言うのは、そのためではないだろうか。
 
・ 他の欲求を表現する「かわいい」

たとえば、料理を見て「かわいい」と言う場合がある。料理の盛り付けに対して、愛らしさを感じていると思われるのだが、その本来の「おいしそう」という表現を省いて、かわいいの一言で評価することがある。また、愛着をより強く表現するためにこの言葉で表現するケースもあるようだ。
 
・ コミュニケーションの「かわいい」

女性同士がお互いを「かわいい」と言い合う場合には、そこに愛らしさや母性は存在しない。あくまでも、円滑なコミュニケーションをはかる言葉として、表面的なかわいいが存在する。この言葉を多様することにより、相手に関心がある状態を維持しているのである。
 
実のところ、「かわいい」の価値基準は人によって相当異なっている。しかしこの一言で、共通認識に近い状態が生まれるので、大変便利な言葉であるといえよう。その反面、実際は同じように感じていないにも関わらず、一言で済ませるのは危険なコミュニケーションとも考えられる。

いずれにしても女性の「かわいい」には、男性にはわかり辛い意味合いが込められているようだ。