福岡市のある異業種交流会に、不穏な動きをしている男を発見した。様子をうかがっていると、お互いに名刺交換をしたその瞬間、相手の手を取り、自分の名刺で爪磨きを始めたではないか!その様子は異様にも映ったが、相手の顔色を見ると、みんな笑顔でご満悦の様子。

名刺で爪を磨いていた男性は、福岡市の雑貨メーカー・アリーナの社長、津野孝さん。彼が開発した爪磨き名刺「キュピカ」は、表面に特殊なプリント技術を施すことで、自分の名刺を爪磨きグッズにしていたのだ。

爪磨きに印刷を施す際、インクが表面をコーティングしてしまうため、爪磨きとしての機能を失ってしまう。しかしながら、この爪磨き名刺「キュピカ」は、その機能性を失わないようにしつつ印刷しているのだとか。細かな模様を印刷する技術は地味ながらも、けっこうスゴイ技なのだそうだ。

去年11月には、福岡県の産業デザイン賞の奨励賞も受賞した。「キュピカ」で磨いた爪の輝きは、2週間程度は十分に保たれるという。

津野さんによると、何年も前に名刺交換した方に、「アリーナの津野ですけど」と言っても忘れられていることが多いが、「名刺交換の際に爪を磨いたアリーナの津野ですけど」というと、ほとんどの人に思い出してもらえるという。

ビジネスの世界では、初対面で自分を覚えてもらうことは大事な要素のひとつだ。「キュピカ」のようなツールが今後、営業マンの必須アイテムになるかもしれない。