そもそも、かねてから随分気にかかっていることがある。それは男のパンツの前方部分の開きは、必要なのだろうか? あのわずかな隙間、通称「社会の窓」と言われるところから小用を足す人はいるのだろうか? 記者自身、あの開きを使ったことがなく、たとえばトイレに行ったときも、隣の人物があの開きを使っているところを見たことがないのだ。
「社会の窓」のことが気になっていたたまれず、ある日のこと、ついに自分1人で考えるのに限度を感じ、当編集部男性メンバーを集めて、緊急ミーティングを行った。そうしたところ意外な事実が発覚したのだ。なんと、当編集部男性メンバーは100パーセントあの開きを使わずにおしっこをしているというのだ! やはり、パンツの社会の窓は必要なのか?
ではどうして、記者をはじめとする他のメンバーは、あそこからおしっこをしないのか。理由は簡単だ。使ったことがないのである。子どもの頃に使うように教わって来なかったから、使う必要を感じないのだ。
子どもを持つS氏はそのことについて、こう説明する。
「子どもにおしっこさせようとするとね、パンツずらした方が早いんだよね、うん。あの窓からさせようとするとね、パンツ濡れちゃうかも知れないでしょ? うん。そんでパンツずらすんだわ、うん」
確かに、子どもを便器の前に立たせて、うしろからおしっこをさせようとした時に、わざわざ社会の窓を利用するのは、大変難しい。したがって、親は子どもに社会の窓の使い方を教えないことになるのだ。やはり、社会の窓は不要ではないのか?
この意見に一石を投じた人物がいる。その人物とは、真っ白なブリーフを愛用するイラストレーターのW氏だ。彼に言わせれば、社会の窓は不可欠という。
「ブリーフにとって社会の窓はバイパスみたいなものだ。ブリーフをイチイチずらすのなんて面倒臭い。お前みたいにゆるゆるトランクスを履いているヤツは、パンツをずらしているがいいさ!」
と履き捨てるように言い放った。たしかに、ブリーフのように締め付けるパンツなら、社会の窓も必要かも知れない。しかしながら、彼が憤慨するほど、パンツをずらすのは手間ではないはずだ。
いずれにしても、多くの人がパンツをずらしておしっこをしているはずだ。いっそ、社会の窓を失くす方が良いように思うのだが。もしくは、社会の窓のないパンツが存在しても良いだろう。私はあえて高らかに言い切ろう、社会の窓は不要であると!
文:褌シメタロウ
イラスト:ロケットニュース24