私(佐藤記者)は東京に来て、丸6年になる。上京したのが遅かったせいか(30歳のとき)、住むようになって驚いたことがいくつもあるのだ。取り分け衝撃を受けた事実について、お伝えしたいと思う。これから春に向けて、進学や就職で東京暮らしを始めるという方の参考になれば幸いである。

現在はすっかり住み慣れたものの、その当初は随分いろいろなことに驚かされた。何しろ私は、過疎化が進む島根県出身で、日本一田舎と言われるような場所から、新宿に移り住んだのである。

生活の変貌ぶりはハンパなものではなかった。しかも30歳で、上京するには遅すぎたのではないかと思うほど微妙な年齢だったのだ。その状況下で受けた衝撃は次のようなものだ。

【東京に来て驚いたこと】

■ 空気と水がマズイ
観光で東京に訪れているときには、気にならなかったのだが、住むようになってまず気付いたのは、空気と水がまずいこと。とくに空気に関しては、どの街のどの駅に行っても、駅から一歩裏手の通りに入ると、生ゴミの匂いがする。繁華街や人通りの多い界隈では、仕方のないことだと思うが、世界でも屈指の商業地、銀座の裏通りに立ち込める悪臭には、かなり驚かされた。

■ 夜は思った以上に静か
「眠らない街、東京」。テレビ番組の影響からか、東京の夜はいつまでも賑やかで、連日連夜飲み屋街は賑わっているものと思っていた。しかしそうではなく、夜は静まり返っているのに安心した。とくに土日は、平日との落差で極端に静かに感じることさえある。寂れた田舎の街に比べれば、静寂はより深いのではないだろうか。

■ 魚がマズくて食べられない
東京に来て食べられなくなったものの1つに、魚がある。上京してすぐのときに、回転寿司を食べたのだが、魚の臭さに衝撃を受けた。手軽においしい魚が手に入らないのは、少し寂しい。

■ 小学生がランドセルを背負って電車に乗っている
朝の電車に、小学生がランドセルを背負って乗っていることには、非常に驚いた。なぜなら、地方では電車に乗るという生活習慣が基本的にない。免許を取るまでの間は、徒歩か自転車が普通。高校生くらいになれば、電車通学もあるのだが、小学生ですでに電車というのは、およそあり得ないことなのだ。見慣れないためか、「こんなところに小学生がいていいのか?」と思ったほどだ。

■ 決まり事がなくても、すぐに人が並ぶ
買い物に行っても催し物に行っても、人が集まる場所では自然に行列が出来ている。とくに係員がいないような場所で、何もルールがなくても、人は並んでいて、そのことに誰も不満を言わないのに驚いた。都会の人は秩序立った行動をとるのに慣れている。

■ 電車に乗ると、誰もが一斉に携帯電話を構い出す
私も同じように、電車で携帯電話を操作するのだが、上京当時は、どの電車に乗っても常にほぼ全ての人が携帯を構っているのにビックリした。誰もの行動が同じで、怖いとさえ感じていたのだ。

■ 人が優しい
大抵の人が優しく、親切と感じる。道に迷ったときに、すれ違う人を呼び止めて道を尋ねても、概ね丁寧に教えてもらえる。田舎の人は温かいと言われるが、閉鎖的な地域も少なくない。場所によっては観光客に、とても意地悪な接し方をするところもある。

■ 変わった人は多いが、変な人は少ない
目立つ格好、ユニークな格好をした人は多く見受けるものの、明らかにおかしいと思うような人は意外といない。例えば、ブラジャーを着けたオジサンがチャリで全速力で走って来たり、毎日同じ道を延々と歩き続ける人など、「ナンだこの人!」と思うような人物をあまり見たことがない。

■ 地震が多い
東京に来るまでの間、私は人生で3度しか地震に遭遇したことがない。それだけに時々関東で地震が発生すると、たとえ震度3の揺れでも怖くて仕方がないのだ。小さなゆれに真剣に怯えてしまう。

■ 田舎や方言に憧れを抱く人が多い
とくに東京出身の人に「帰省っていいよね」と、良く言われる。私の場合はバスで片道12時間もかかってしまうのだが、この言葉を聞くと郷里に帰るのも、なかなか良いものだなと思うようになった。

以上が上京して驚いたことである。これから地元を離れ東京に住む人たちも、それぞれの衝撃と感動を胸に、新生活を迎えることだろう。充実した毎日を過ごせることを願う。