現在の携帯電話は、SIMロックが掛かっているために、一部の例外をのぞき、ほかの通信事業者のSIMカードは使用できない措置がとられている。これをSIMロックというが、その状況が変わりつつあるようだ。

ドコモは2010年7月6日、2011年4月以降に発売する、すべての携帯電話機において、SIMロックを解除する方針を明らかにした。SIMロックが解除されれば、SIMカードの規格が同じソフトバンクとイー・モバイルのカードが、ドコモの携帯電話で使えるようになるが、ほかの通信事業者もSIMロックを解除するだろうか。

ここで、直感的に分かりやすい例をひとつあげてみよう。現在、日本国内でiPhoneを使いたい場合には、ソフトバンクモバイルと契約する必要がある。iPhoneは同社しか販売していないし、同社のSIMカードしか使用できないようにSIMロックが掛けられているからだ。

仮に、iPhoneのSIMロックが解除されたら、どうなるだろうか。ドコモユーザーでもiPhoneが使えるようになり、ドコモユーザーがiPhoneを使えば、ソフトバンクモバイルに入るはずだった通信費が入らなくなり、うまみがなくなってしまう。

総務省の指針では、携帯電話のSIMロックの解除については、通信事業者の判断にゆだねられている。携帯電話市場で天下をとれるのは、果たしてどこの通信事業者だろうか。