海外に出張したり、夏休みに家族で海外旅行へ行ったりしたときに、今手持ちの携帯電話がそのまま海外で使えたら便利だが、通信代が気になる人もいるだろう。国内でパケットし放題に入っているから安心して携帯電話を使っていたら、数万円の請求が来てしまったという話をたまに耳にする。

そう! 国内の『パケットし放題』は、海外では適応されないのだ。そうした状況を踏まえ、ソフトバンクモバイルが新しいサービスを開始する。ソフトバンクモバイル株式会社は2010年6月28日、海外で通信料を気にせず定額でパケット通信が利用できる『海外パケットし放題』を2010年7月21日より開始すると発表した。

『海外パケットし放題』は、2011年6月30日までの期間、海外でパケット通信が最大1,480円/日で利用できるサービスだ。特別なお申し込みは不要だが、利用にあたっては、渡航先で携帯電話のネットワーク設定を、『海外パケットし放題』に対応する通信事業者に設定する必要がある。まず、31の国・地域にて、特定の通信事業者のネットワークでサービスを開始し、それ以外の国・地域、通信事業者についても順次開始する予定とのこと。

『パケットし放題』は、ある意味において『諸刃の剣』だ。ユーザーは『パケットし放題』に入っていれば、通信料を気にしないで使うことができる。ユーザーには魅力的なサービスであり、通信事業者にとってはユーザーを増やす切り札ともなるサービスだが、ユーザーが増えすぎると、回線がパンクしてしまうのだ。

国内の話だが、ソフトバンクモバイル株式会社代表執行役社長兼CEO孫正義氏は、同社の回線(通信容量)の半分をわずか2%のユーザーが占めていることを、自身のTwitterで明らかにしている。そういった事情から今日では、大量のパケット通信を行う一部ユーザーに対しては、通信制限を設けているのだ。

さらにパケット通信の利用頻度が高いと思われるiPhoneやiPadのユーザーに対しては、公衆無線LANサービスを無償で提供したり、自宅でのネット接続に対して無線LANアクセスポイントを無償で提供したりと、パケット通信をなるべく使わないかたちに移行させようと、たゆまぬ努力をしている。

『海外パケットし放題』は良いサービスに思えるが、勝算は本当にあるのか! 実は、少しカラクリがある。通信料金は、2011年6月30日までは0~1,480円/日だが、2011年7月1日以降は0~1,980円/日となり、動画などの利用時は0~2,980円/日といった具合に料金を設定している。商売上手な孫正義氏が、儲からないサービスをやるわけがない。