スシローが創業時『すし太郎』という屋号だったことはご存知だろうか。北京のスシローの看板を見た時、久しぶりにその初期屋号を思い出した。漢字で『寿司郎』と書かれていたからである。

難解漢字が支配する中国において、日本人も余裕で読解できる漢字は見るだけで嬉しいもの。そんなわけで日本のノリで『寿司郎』に突入してみたら、寿司が攻めまくってて衝撃を受けた。

・中国で爆流行り

私(中澤)が訪れたのはスシロー国貿商城・北区店。北京のど真ん中、高層ビルが建ち並ぶ屈指の商業エリアにあるショッピングセンター・国貿商城ビル北区の4階である。凄いところにあるなあ。

だが、スシローの中国での爆流行りを見ると、その立地もあながち場違いではないかもしれない。中国本土で100店舗を達成して、2026年9月期の中間決算でも海外事業の伸長が大きく貢献し、通期純利益予想を過去最高の300億円へと60億円上方修正した。中国での好調さが数字にも表れていると言えよう。

・待ち時間は「180分以上」

ゆえに私が訪れた際も、スシロー国貿商城・北区店は当たり前のように行列だった。椅子が置かれた待合コーナーと別に店舗前にも順番待ちで立ってる人が溢れている。現在18時30分で待ち時間は180分以上。

店が22時まででラストオーダーが21時30分なので間に合わない気もする。しかし、発券機の前に立っていた店員さんは「まだ大丈夫」というノリだったため、せっかくだし発券して入店チャレンジしてみることにした。


・残り30分

待ち時間などの数字だけ見ると地獄の混雑っぷりではあるものの、現地のテンションはどちらかと言うとお祭り。客の間にイライラした空気はあまり感じず、「まだかなー♪」と楽しみにするワクワクが満ちている。客層は若い人が多く、次いで家族連れが目についた。その待機の雰囲気はちょっとディズニーランドを彷彿とさせる。

私の番号が呼ばれたのは2時間半後。残り30分だけど入店できた! 発券した客がバックレる自主キャンセルが結構出て待ち時間が巻いたのだ。180分待ちにもかかわらず「いける」という店員さんの案内はこれを見越してのものだったと思われる。店員さんを信じて良かったー!!

・緑に覆われた鮪

店内は大型タッチディスプレイである『デジロー』も導入されていて日本の最新のスシローと同じ雰囲気。寿司メニューに関しても、「まぐろ赤身(10元≒237円)」「特ネタ本鮪大とろ(28元≒665円)」「特ネタ本鮪中とろ(20元≒475円)」とお馴染みのメンツ……


って、お前誰だ!?

見慣れたネタに当たり前の顔して並んでいるためスルーしかけたけど、「漬けまぐろ筋青のりいくら乗せ(15元≒456円)」って何だ? 気になったので注文してみたところ……

緑に覆われた漬けまぐろが登場。見れば見るほどアグレッシブである。その見た目のアグレッシブさには、以前イギリスで行った回転寿司チェーン『YO! Sushi』のオーラを感じなくもないのだが……

食べてみると、驚くべきことになかなかウマイ。シャリとネタがスシロー印のためか、日本の寿司の味なのだ。漬けまぐろのまろやかさに青のりが海の風味を足しており、攻めているけど海外寿司とは明らかに違う。そのニュアンスが気になったので、創作寿司中心に注文してみることにした。


・アグレッシブな中にもウマさ

そういう視点で見ると、本当に創作寿司のバラエティーが豊かな北京スシローのメニュー。「フォアグラ炙り(20元≒475円)」や15元(約356円)の「いなり寿司(たこ焼き風)」などは衝撃を受けずにいられなかった。たこ焼き風のいなり寿司って何じゃい!? ()の荷が重い代物である。

そして、驚くべきことにどれも結構味のバランスが良い。特に「たこチーズ(15元≒356円)」は、チーズの瞬発力の高い旨みと、厚めのタコの噛めば噛むほど味が出る旨みが組み合わさって激ウマだ。日本のスシローだとチーズ系創作寿司のネタの定番はボイル海老とサーモンだけど、そのトップ2に勝るとも劣らない味と言える。

・寿司界のゴジラVSコング

一方で、ちょっとアグレッシブすぎてバランスを欠いている味に感じたのは「花の恋(20元≒475円)」だ。儚さを感じさせる名前とサーモンを花びらに見立てた見た目から、スシローの海外店舗限定メニューとして最も有名な一品だが……


マヨネーズ量が半端じゃなかった。

サーモンとマヨネーズは合うんだけど、マヨの洪水すぎて口の中がマヨネーズに乗っ取られる。ただでさえサーモンに脂が乗っているだけに、脂と油の激突は大分好みを選ぶ荒っぽさがあった。ゴジラVSコングみたいな寿司だから気をつけろ。



・スシローの最前線

クオリティーの高いものから海外みが強いものまで玉石混交だが、30分でできるだけ創作寿司を味わって感じたのはハイブリッドさ。海外のぶっ飛んだ創作寿司の発想を吸収しつつも寿司としてのプライドも失っていない。

考えたら、この味は海外寿司事情においてはエポックメイキングなのかもしれない。実際、現地の活気には最先端の雰囲気を感じた。

ローカライズと質のハイブリッド、ここにあり。飛ぶ鳥を落とすような勢いも納得せずにはいられなかった北京のスシロー。スシローの最前線を垣間見た30分であった。

・今回紹介した店舗の情報

店名 寿司郎 国貿商城・北区店
住所 :北京市朝陽区建国門外大街1号 国貿商城・北区4階
営業時間 月~金11:00~22:00(L.O.21:30)/ 土・日・祝日10:30~22:00(L.O.21:30)
定休日 無休

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼フォアグラ炙り。トロけるフォアグラがウマかった

▼炙りまぐろゼリーポン酢(15元≒356円)

▼糸巻エビフライ手巻(10元≒237円)。普通のエビフライよりカリッカリでお菓子感がある

▼サーモン天ぷらタルタルソース(15元≒356円)。サーモンの天ぷらは日本のスシローにはないメニュー

▼めっちゃグッズが売ってた

▼こんなにデカイ「だっこずし」のぬいぐるみ初めて見た

▼入店待ちの人用にレモン水とお菓子が用意されていておもてなしを感じた

▼お菓子はコーンのスナック菓子

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