リフレッシュに欠かせないコーヒーや紅茶。

最近は、ボタンひとつで淹れられるカプセル式のコーヒーマシンを使っている人も多いのではないだろうか。

メーカーは各種あるが、私の周りでも使っている人が最近増えている印象だ。

そんなカプセル式コーヒーマシンのひとつであるアメリカ発の「KEURIG(キューリグ)」。

以前、試飲会でお世話になったご縁から、国内唯一のK-Cup製造工場を見学できることになった。工場見学マニアとしては、見逃すわけにはいかない!

あの小さなカプセルの中に入っているコーヒーは、いったいどうやって作られているのだろうか。

・一般公開されていない焙煎工場へ

向かった先は神奈川県愛川町にあるユニカフェ神奈川総合工場。

一般向けには公開されていない工場ということで、この潜入感がたまらない。

こちらでは家庭用や業務用のコーヒーだけでなく、缶コーヒーなどに使われる工業用コーヒーも製造しているそうだ。工場に足を踏み入れると、ふわりとコーヒーの香りが漂ってくる。


まず案内されたのは、生豆の受け入れ工程。

世界各地のコーヒー豆が、港からトラックで工場へと運ばれてくる。

それを全ての袋から少量ずつ抜き取り、小型の焙煎機で焙煎。

さらに実際に抽出して、品質や状態を確認するという。

こちらが、その一部である。

この状態のコーヒーをずらりと並べて見る機会はなかなかないため、まるで図鑑を眺めるような面白さがあった。



・国内有数の焙煎工場

続いて向かったのは、焙煎エリアだ。

いろんな工場を見てきたが、これだけ多くの焙煎機が並ぶ場所に入れる機会はそう多くない。実際、国内最大規模の焙煎工場らしい

ガス火だけでなく、炭火で焙煎する焙煎機も見せてもらった。

昔、祖父母の家でお風呂を沸かしていた光景を思い出して、なんだか少しエモい気持ちになった。


こちらは、焙煎具合を確認するためのサンプル。

焙煎度合いは「L値」という数値で管理されており、数値によって豆の色もかなり違う。言われてみれば当たり前なのだが、普段飲んでいるコーヒーの「深煎り」「浅煎り」が、こうして実際に並ぶと違いは一目瞭然だ。

漂う香りもかなり濃厚で、私までローストされたような気がしてきた。

人間として少し深みが増した……かどうかは分からないが、少なくとも香ばしさは増した気がする。


・これこれ、これが見たかったのよ~

続いては、お待ちかねのカプセル充填工程へ。

焙煎・粉砕されたコーヒーが、1杯分ずつカプセルへ充填されていく。

ライン上を流れていくカプセルを見ていると、なんとも言えずかわいい。

完成品としての姿は見慣れているはずなのに、製造途中で見ると妙な愛着が湧いてくる。

小さなカプセルの中には、受け入れから焙煎、粉砕までの工程を経たコーヒーが詰まっているのだ。時間があったら、ずっと見ていたい光景だ~~~。



・味を数字で表す世界

最後に案内していただいたのは、研究開発を行うR&Dセンター。

カフェインの結晶を顕微鏡で覗いた画像(これが意外にもトゲトゲしていた!)や、コンビニ各社のコーヒーを分析した味覚マップなども見せていただいたが、特に印象的だったのが、味や香りを数値化するプロファイル技術だ。

プロファイル技術とは、コーヒーの味や香りを数値化して見える化する技術のこと。「コク」「キレ」「ボディ感」など感覚的な違いもマップ化することで、それぞれの特徴を比較しやすくしているという。

私(夏野)自身、食品メーカーで官能検査や品質評価に関わったことがあるため、こうした感覚を数値化する難しさはなんとなく分かるし、興味をひかれた。


その後、特徴の異なる3種類のコーヒーを試飲させていただいた。

私はそこまでコーヒーに詳しいわけではないが、それぞれの違いははっきり分かる。ただ、「苦味が強い」「香りが華やか」といった印象は持てても、それを正確に言葉で表現するのは意外と難しい。そこで活躍するのがプロファイル技術だ。

その特徴を数値化した味覚マップがこちらである。

見ているうちに思った。これ、コーヒーだけでなく日々のワクワクやモヤモヤも数値化できたら面白いのではないか。「今日はワクワク指数78」「モヤモヤ指数65」みたいな。

人によって感じ方が違うことも、少しは分かりやすくなってハラスメント軽減にもつながるかもしれない。とはいえ、感情まで全部数値化できるようになったら、それはそれで少し味気ない気もする。人間、少しくらい曖昧な方が面白い気もする。


そんなことを考えているうちに、私の好奇心が悪い方向に動き始めた……。

説明してくださったR&DセンターのSさんに、「この3種類を私が適当にブレンドするので、内訳を当ててもらえませんか?」とお願いしてみたのだ。

今思えば、なかなか無茶なお願いである。しかし、そんな無茶ぶりに付き合ってくれたSさん、ありがとうございます……。

カップを傾けたり、香りを確かめたりしながら、しばらく考え込むSさん。そして導き出されたファイナルアンサー。


惜しい! かなり惜しい!

だが、よく考えれば私がお願いしたのは、普段の官能評価とはまったく違う挑戦である。適当にブレンドしたコーヒーの内訳を当ててくださいというのだから、なかなか無茶な話だ。

それでも真剣に向き合ってくれたおかげで、味の違いを人の感覚だけで見極める難しさを実感できた。プロファイル技術が活用される理由も、少し理解できた気がする。



・製造現場を見ると考えも深まる

今回、キューリグのカプセルを作っている工場に潜入させていただき、味を数値化する技術も印象的だったが、工場見学マニアとして1番テンションが上がったのは、やはりカプセル充填工程だった。

普段何気なく使っている小さなカプセルたちの大行進、かわいかったなぁ~。

あの小さなカプセルの中にはコーヒーだけでなく、多くの技術や工夫、そして試行錯誤も詰まっているらしい。少し香ばしくなった体で、そんなことを考えながら帰路についた。

参考リンク:キューリグ
執筆:夏野ふとん
Photo:RocketNews24.

▼焙煎をどこで止めるか、豆の色を定期的に確認

▼充填されたカプセルは箱詰めされて出荷されていく