
自転車への交通反則通告制度(「青切符」)が導入されてから1カ月以上が経った。開始直後はSNSを中心に「自転車が一斉に車道を走り始めるのでは」といった声も少なくなかったように思う。
しかし、東京郊外で日常的に自転車に乗っている私(あひるねこ)の実感としては、少なくとも現時点で、街の風景はそこまで大きく変わっていない。ネット上で言われていたほど急激な変化は起きていないように見える。
・変わらない郊外の日常
私が普段自転車で走っているのは、多摩地域のごく普通の生活道路や幹線道路だ。娘の保育園の送り迎えや、ちょっとした買い物でほぼ毎日乗っている。
青切符導入から約1カ月。いずれ何かしらの記事を書こうと思っていたので、私は他の自転車利用者たちの様子をよく観察していた。
それまで歩道を走っていた人たちが、ある日を境に一斉に車道を走るようになるかもしれないと思っていたからだ。
しかし、この1カ月で何か劇的に変わったかと言われると……正直そこまででもない。以前と変わらず歩道を走る自転車は多いし、車道を走る自転車の数も特に増えていないように思う。
「自転車専用通行帯(自転車レーン)」が整備されている道路だと、体感では9割近くの自転車が車道を走っている印象だが……。
「自転車ナビマーク」の矢印がただ設置されているだけの場合、車道を走っているのはクロスバイクやロードバイクくらいで、一般的な自転車はほとんどが歩道を走っている気がする。
・郊外の道路事情
これにはいくつか理由があるように思う。まず単純に、幹線道路は自転車が走るには交通量が多すぎる。これは都心でもあまり変わらないかもしれないが、郊外はスピードを出した大型トラックが次々と横を通過していく。
「ここの車道を走るのはちょっと怖い……」と感じる人は多いのではないか。子ども連れや高齢者なら、なおさらである。
加えて私は「車のドライバーも、ここを自転車が走っていたら怖いだろうな」とよく考える。自転車と車、お互いが不安を感じてしまうような道路環境が、意外と郊外には多いのだ。
さらに郊外では、車道はそこまで広くないのに、歩道はゆったり作られている道路も多い。歩道と車道がガードレールで完全に分断されているケースもよく見かける。
そういう時は私も歩行者の邪魔にならないよう、端の方を徐行するようにしている。これも、歩道を走る自転車利用者が多い理由の一つかもしれない。
・データが示す実態
制度スタートの前後、ネット上では「自転車は原則車道。これからは歩道を走ると青切符を切られる」といった、やや極端な声も見られた。
しかし、現実の郊外は上記のような道路事情だ。私の感覚がズレているのだろうか、と思ったりもしたのだが、先日発表されたデータを見て腑に落ちた。
読売新聞の2026年5月14日の記事によると、青切符導入から1カ月間で全国の警察が交付した件数は2147件(暫定値)。その約7割が「一時不停止」(約40%)と、走行中にスマートフォンを使う「ながらスマホ」(約33%)だったという。
つまり、少なくとも初月の取り締まりでは、歩道走行そのものよりも、明確に危険な違反行為を重点的に取り締まっているのである。かつてネットで散見された極端な声とは、やはりかなりの乖離がある。
・安全第一
もちろん、歩道を走る際は歩行者優先であり、マナーの悪い危険な自転車が厳しく取り締まられることには私も大賛成だ。
しかし、「とにかく車道を走らなければならない」という極端な意見に引っ張られて、危険な車道に無理に飛び出すのは本末転倒だろう。
青切符が導入された今も、重要なのは車道か歩道かだけではなく、周囲の状況に応じて安全に走ることではないか。私の生活圏を見る限りでは、ネットで言われていたほど急激な変化は起きていないと感じている。
参考リンク:読売新聞オンライン
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.