
自宅に「4時間停電します」というお知らせが届いた時、もっとも懸念したのが冷凍庫の中身だった。あなただったら、中に入っている大量の食材をどうするだろうか?
私(あひるねこ)はよく調べもせず、なんとなくクーラーボックスへ避難させた。その時はそれが最善の策だと思ったのだ。しかし結論から言うと、この判断は完全に間違っていた。
今回、私がやるべきだったのは中身をクーラーボックスに移すことではない。ただ何もしないことだったのだ。
・予告停電
ちょっと前の話になるが、電気設備の点検で私の住む自宅マンションが全館停電となった。おまけに断水である。
過去に一時的な停電を経験したことはあるものの、こうして事前にアナウンスされるのは実は初めて。
なんでも午前から午後にかけて約4時間にわたり停電するらしい。エレベーターもインターネットも、水道まで全部ストップという完全サバイバル状態だ。
ここで一番の死活問題となるのが、冷蔵庫の電源も切れてしまうということである。真冬ならいざ知らず、最近はかなり暖かくなってきている。
特に冷凍庫なんて、4時間も停電している間に中身が溶けてしまわないだろうか?
実を言うと、私には冷凍庫に関して忘れられないトラウマがある。数年前、外出時にどうやら冷凍庫のドアが完全に閉まっていなかったらしく、帰宅したら中が水浸しになっていたのだ。
あの時は絶望のあまり、「これが南極で起きていることか……」などと意味の分からないことを呟きかけた。あんな悲劇は絶対に繰り返してはならない。
・冷食大移動
そこで私は、特に調べもせず、冷凍庫の中身をクーラーボックスに丸ごと移すことに決めた。
以前Amazonで買った「30リットル・12時間保冷」の折りたたみクーラーボックスをわざわざもう一つ買い足し、停電の直前にすべて詰め込む作戦である。
ちなみに冷蔵庫の方には、凍らせたペットボトルと保冷剤、さらに大量の氷をボウルに入れて置いておくことにした。野菜室は、まあそのままで大丈夫だろう。
そして迎えた当日。インターホンからアナウンスが聞こえ、いよいよ全館停電のカウントダウンが始まった。
冷凍庫の電源が落ちる前に、急いで中身をクーラーボックスへと大移動させる私。
底や側面には手持ちの保冷剤を敷き詰め、一番上にはダイソーで買ってきた大きめの保冷剤(5時間保冷)をセット。
これでよし!
クーラーボックスは家の中で一番涼しい場所に置いておく。果たしてあと4時間、耐えられるか?
・4時間後
その後、外で仕事をし、停電が終わった頃を見計らって帰宅。すでに電気は復旧していた。
さっそくクーラーボックスの様子を見に行くと……なんだか上側が少し濡れているような。恐る恐るフタを開けてみると……。
え!?
──アイスキャンディーが完全に液状化している。食べ頃と呼ぶには、さすがにちょっと溶けすぎだ。もはやただの色のついた水ではないか。
慌てて他の食品も確認したが、思っていた以上に春の雪解けのような状態になっている。もし4時間以上放置していたら、アイス以外もきっと全滅していただろう。
いったいなぜ、こんなことになってしまったのか?
改めて調べたところ、割とすぐに私の行動が “愚の骨頂” であったことが判明した。関西電力の公式サイトには停電時のNG行動として、デカデカとこう書かれている。
「クーラーボックスに食材を移すのはNG!」
何ィィィィィィイイイイ!? 解説によると、クーラーボックスへ移し替える作業の間に食材が室温に触れてしまう上、移したクーラーボックス内は常温である。
つまり私は、アイスをわざわざ外気で温め、生ぬるい空気と一緒にクーラーボックス内へ密閉していたのだ。全滅するわけである。
・最強のクーラーボックス
では、どうするのが正解だったのか? 氷・ドライアイスの専門業者である中央冷凍産業の公式サイトに、衝撃の事実が記されていた。
「冷蔵庫の庫内の断熱材はクーラーボックスより、はるかに保冷力を維持できるようになってます。家の中で一番冷えているのは冷蔵庫です。庫内の食品は移さないでください」
さらに最強のカードとして、内閣府に属する「食品安全委員会」も、ホームページ上でアメリカの機関のデータを以下のように引用している。
「扉を開閉しなければ冷蔵庫は4時間、冷凍庫は48時間冷気を維持できる」
先に謝罪しよう。本当に申し訳ありませんでした。私が余計な手出しをせず、ただ冷凍庫のドアを閉めたまま何もしなければ、4時間の停電なんて難なく耐え抜いていたのである。まさに無知は罪。
今後、もし数時間の停電に遭遇したとしても、皆さんは絶対に冷凍庫を開けず、ただ静かに放置するようにお願いしたい。私と同じ悲劇を繰り返さないためにも。
参考リンク:関西電力、中央冷凍産業、食品安全委員会
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.