ペッパーフードサービスの「いきなり! ステーキ」は、日本の外食スタイルを変えたといっても過言ではない。「当店はハラペコでいきなりステーキ!」という文言を掲げて、立ち食いでステーキを食うスタイルは斬新だった。

急激に店舗数が増えて日本中を席巻し、アメリカにまで出店していたものの、2018年頃から失速し、現在は全盛期ほどの勢いはなくなった。そんないきステは2025年末に東京・神田に次世代型店舗を出店。ここでの取り組みを基に既存店のリニューアルを行っていくという。その神田北口店を利用してみた。

・あの頃のいきステ

私(佐藤)が最初にいきステを利用したのは、創業から間もない頃だったと思う。何度か立ち食いでも利用した覚えがある。当時はステーキを食べるといえばファミレスに行くのが一般的で、そこに風穴をあけたのがステーキとサラダバーで人気を博した「ステーキけん」だった。

立ち食いで肉を食わせるいきステは、外食シーンに大きなインパクトを与え、またたく間に店舗を拡大。1号店の出店からわずか3年で100店舗を達成。5年目の2018年には47都道府県を制覇した。

しかしながらアメリカでの事業展開に失敗し、国内では店舗急増による飽和状態が起きて自社店舗同士で客を奪い合う事態に陥る。椅子席を導入したことによって回転率が下がり、それまでの立ち食いによる高回転率を維持できなくなった

ダメ押しが、当時の一瀬邦夫社長の写真入りの貼り紙だ。客数減少を嘆く貼り紙が出たことによって、ブランドイメージに陰りが見え始め、以降次第に店舗を減らしている。そこに追い打ちをかけるようにコロナ禍に突入し、全盛期に約490あった店舗は現在(2025年末)約170店舗まで落ち込んでいる。


・店の雰囲気が全然違う

前置きが長くなったが、そのいきステが、2025年12月24日に東京・神田北口に次世代型店舗を出店した。お店はJR神田駅北口から徒歩約3分のところにある。お店の外観は従来のお店と異なり、ちょっとオシャレなカフェやバーのように見える

正直申し上げて、私は久しくいきステを利用していなかった。というのは、歳を重ねて脂っこいものをあまり食べなくなったし、既存店の油くさいニオイを好まなくなったからだ。肉を食っていれば満足できた頃は、全然平気だったのに、50歳を越えたら、どうも受け付けないんだよねえ~。

ここは「新たなステーキ体験を提供する店舗」として、今までのお店にない工夫をいくつも施しているそうだ。


店内に入ると、内装は全然違う! 従来のいきステは狭い店内に高いカウンターテーブルと高い椅子を備えて、「食ったら出る」を促すようなある意味居心地の悪さがあった。

だが、ここは対面席でもテーブルがめちゃくちゃ広く、椅子もどっしりとした設えの座り心地の良いものを置いている。


ボックス席の椅子の立派なこと! モダンで開放的なインテリアを配している。天井が高くて居心地が良い。「食ったら出る」の雰囲気は皆無だ。


卓上の調味料類もこざっぱりとしていて、清潔な印象を受ける。お店によっては油でベタベタなんてところもあったけど、ここは手入れが行き届いている。もちろん新しいお店だからってのもあるだろうけどね。


さて、メニューを見ると、これが意外と普通。というか内容は他の店舗と同じだ。「次世代型」と仰るなら、メニューにもひと味欲しかった。


それでも一応、ここにしかないものもある。神田北口店限定の「特選ヒレシェアカットステーキ」500グラムで8710円! こんなの昼から頼めないよッ!

同じく店舗限定の「骨付きリブロースステーキ」は1枚(約550グラム)税込6800円だそうです。上質な店の雰囲気を考えると、こういうのがあっても不思議ではないけど、やすやすと頼めない……。


それで注文方法は、最近の飲食店にありがちなモバイルオーダー。スタッフに口頭で伝えることもできる。


私は「ワイルドステーキ」200グラム(税込2250円)を頼んだ。もはや「ワイルドステーキ」という言葉すら懐かしく感じるほど、いきステから遠のいていたよ。

まずはスープとサラダが出てきた、スープもサラダも変わんないなあ。この辺も次世代で来て欲しかったんだが……。

ちなみに当サイトの過去の記事を見ると、2020年3月のメニューにはワイルドステーキ(200グラム)が税別1130円とある。6年で倍の値段になるとは……。いきステだけの話ではないが、昔はいろいろ安かったよなあ~。


・焼き方も違う

ほどなくステーキとライスが出てきました。一見するとこれまでのワイルドステーキと変わらないように見えるのだが、実はこの一皿に革新的な変化が隠れている


このお店には焼き台(チャコールブロイラー)がないのである。焼き台は温度管理が必要で職人の腕に依存するのだが、スチームコンベクションオーブンは温度を一定に保てる上に、品質を維持できる。


おまけに他のお店より油臭くない気がする。きっとオーブンで焼き上げているから、焼き台よりもニオイが少ないのだろう。


焼き加減は指定しなかったがおそらくミディアムレアだろう。アツい鉄板にソースを垂らしてジューッ!


最後にワイルドステーキを食べたのはいつだったか忘れてしまったけど、以前食べた時よりも肉が柔らかく、しっとりジューシーな食感な気がする。これもおそらくオーブンの影響だろう。

久しぶりに美味いステーキを食べることができて、満足している。

看板もメニューも同じだけど、店内の雰囲気は明らかに違うし、何より居心地がよくなっている。はたしてこの店づくりは、ブランドにどう影響するのか? 「食ったら出る」の勢いはなくなったので、いっそのこと「ゆったり! ステーキ」と名称変更を検討するのも良いのかも?


・今回訪問した店舗の情報

店名 いきなり! ステーキ 神田北口店
住所 東京都千代田区神田須田町1丁目34-3 D2SMビル1階
時間 11:00~23:00(L.O.22:30)

参考リンク:いきなり! ステーキ
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24