
2025年11月26日、当サイトにて「【激突】関東最強の避寒地は「伊豆」か「房総」か → ごちゃごちゃ言わんと最南端に行って同時に気温を計ったらこうなった」という記事が公開された。
執筆したのは先輩記者の中澤星児であるが、ハッキリ言おう。あの記事からは重大な真実が抜け落ちている。これは偶然か? はたまた意図的に隠蔽されたのか?
真相は闇の中であるが、事件の当事者として黙っているわけにはいかない。そこで今回、「伊豆 vs 房総」記事の裏側を暴露することにした。
・どちらが温暖なのか?
まずは件の記事の内容について簡単にまとめよう……と思ったが、面倒なのでAIに3行で要約させたみた。その結果がこちら。
1. 冬の「関東最強の避寒地」が伊豆か房総かを確かめるため、記者2人(中澤星児、あひるねこ)がそれぞれ最南端まで行って同時に気温を計測した。
2. 現地では風が強すぎて通話も聞こえない中、南房総(野島崎)が伊豆(石廊崎)より1℃高いという僅差で勝利。
3. しかし同時刻の新宿がまさかの22℃で両者より暖かいというオチで終わった。
だいぶ的確にまとめられていて笑うが、まあそれはいいとして。
記事にはノリノリで温度計を持つ私と中澤の様子が収められている。実際、この企画は2人の会話から生まれたものであり、なんなら2カ所同時に計測という案は私が出したような気もする……が、しかし。
撮影当日、家を出る前に思った。
行きたくねぇ……ッ!!
・そもそも意味不明
ちょっと待ってくれ! なんで気温を測るためだけに、わざわざ自宅がある東京の西から千葉の南端まで行かないといけないんだよ!! 誰だよこんな企画を考えたバカは!
こうなったら少しでも楽しく、少しでも快適に目的地まで向かうしかないだろう。そこで、これは中澤には言っていなかったのだが……
東京駅までグリーン車で行った。
もちろん朝から一杯やらせてもらう。
ああ~、行きたくねぇ~。
・ミッションスタート
東京駅に着いた。ここから11時20分発の高速バス「房総なのはな号」に乗って館山駅を目指す。
車内は難敵の4列シートだ。
中澤の記事には「あひるねこから送られてきた画像にはそこはかとなく哀愁が漂っていた」と書かれているが……星児さん、哀愁じゃないんだよ。どうしようもなく面倒なんだよ。今からでも引き返したいんだよ。
気を紛らわせるためにもう1本ビール……だとトイレに行きたくなるので却下。こういう時はこれに限る。そう……
ロベルトのウイスキーである。
『キャプテン翼』のロベルト本郷が持っていたサイズのウイスキーボトルをチビチビやることで、余計なことはすべて忘れようという寸法だ。
深夜の大月駅ではちょうどよかったが、昼間に飲むと喉が焼ける。
そうこうしている間にバスは東京湾アクアラインを通過。
千葉県に突入だ。
そこからひたすら南下し……
館山駅に到着した。
しかし、当然これで終わりではない。今度は路線バスに乗り換えるぞ。13時40分発の南房州本線に乗って、野島埼灯台を目指す。
ちなみに、目的地の「野島埼灯台口」までは36駅。繰り返す。36駅である。俺たちの戦いはこれからだ……!
そして……
ついに……
房総半島の最南端に到着!
・クライマックスへ
ここで中澤とLINEのビデオ通話をしながら、それぞれの場所の気温を計測。その結果、房総が伊豆より1℃高いことが分かったところまでは記事でお伝えした通りだ。よし! 私の勝利!!
しかし……
実はこの時、非常に厄介なことが起きていた。中澤から「こんな感じの画像を撮影してきてほしい」という指示があったのだが、それがいちいち難易度がバカ高いのだ。
言葉で説明するよりも、実際に撮影した画像をご覧いただいた方が早いだろう。以下、中澤の記事から抜粋。
追い駆けて
追い駆けても
つかめない
ものばかりさ
──千葉の最南端で何をやっているんだ私は。もちろん撮影はすべてセルフである。とんでもない強風で三脚が吹っ飛ぶ上に、西日が眩しすぎてカメラの画面がよく見えない。
おかげでかなりの時間を要してしまった。星児さんも難しい要求をしてくるよなぁ。でもこれでようやくミッション終了……
とはならなかった。
・終わらない
実は本稿は、ここからが本題である。中澤の記事からはすっぽり抜け落ちた真実とは果たして何なのか? 私は無事に帰れるのか? それは、次のページでお伝えしよう!
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:Yahoo! 天気、Googleマップ、LINE(iOS)
【告発】先日公開された「伊豆 vs 房総」記事の裏側を暴露する / ロケットニュース記者・中澤星児から受けた非道な仕打ちについて 2ページ目(1ページ目はコチラ)
先輩記者・中澤星児の指示に従い、野島埼での撮影をすべて終えた私(あひるねこ)。これであとは帰るだけ……と思いきや、実はこの時ちょっとしたトラブルが発生していた。
中澤の指示があまりに難しく、思った以上に撮影が長引いたため、帰りに予定していた15時17分発のバスをタッチの差で逃してしまったのだ。時刻表によると次のバスは……
え!? 1時間後……!?
いや……どうするんだこれ。
・することなし
海沿いは強風が吹きすさんでいて行きたくない。どこか入れる店はないか探すも、時間帯が悪かったのかまるでゴーストタウンのようにシャッターが閉まっている。
マジかよ、完全に詰んだぞ。選択肢が何も残されていない。一方、中澤はというと……
寿司を食っていた。
・中澤この野郎……!
仕方がないので一番近くのコンビニを探したところ、表示された所要時間はまさかの徒歩30分。どこがコンビニエンスなんだよ!
それでも私は歩いた。30分歩き続けた。
そして、コンビニに辿り着いた。
できれば新鮮な海の幸を堪能したいところだが、代わりにツナマヨおにぎりを購入。当然、徒歩の客は私一人である。こんな虚しいコンビニおにぎりを食べるのは生まれて初めて……
と思ったけど超うめェェェェエエエ!
疲労と倦怠に覆われた身体に、178円のツナマヨが染み渡る。ありがとう、セブンイレブン──。そのまましばらく茫然と立っていると、ようやく館山駅行きのバスがやって来た。
ああ、夕陽が沈む。
・帰路につく
その後、館山駅を17時ちょうど出発の高速バス「房総なのはな26号」に乗って東京駅へ。館山到着が少しでも遅れたらアウトというシビアな乗り換えだったため、地味に寿命が縮んだ。
これでやっと帰れる……
と思いきや、今度は東京湾アクアラインで大規模渋滞が発生。「到着がハンパなく遅れそうだから覚悟してね」的な恐ろしい車内アナウンスが流れる。まだ試練は終わらないのか……!
夜行バスではないので車内はギンギンに明るく、私は浅い眠りと覚醒を何度も繰り返すことに。
こうして東京駅に着いたのは19時55分。予定より1時間遅れての到着となった。さすがに疲労困憊である。
あの時、本来乗るはずだった路線バスに乗れていれば……! 中澤の厄介な注文さえなければ……!! と思わずにはいられないが、ここでまたしても中澤からの指示が。
なんでも「東京駅周辺の暗い場所で、体全体を入れつつ笑顔でポーズを取っている画像を撮ってほしい」とのこと。あのメガネギタリスト、まだ欲しがるのかよ!
私は言われた通り、コソコソと人目を忍びながら撮影を行った。こんな感じで大丈夫だろうか?
ところが、どうやら中澤は仕上がりに納得がいかないらしく、まさかのリテイクを出してきた。くっ……! 面倒くせぇ……!!
画像だと明るく見えるかもしれないが、実際には人の顔が判別できないほど暗い。今の私は誰の目から見ても不審者であり、一刻も早くこの場を離れたいのだが、撮り直した画像に対し中澤は……
──メガネかち割ったろか。悪戦苦闘していると、周辺ビルの警備員が無言で私の真横をゆっくり歩いていった。
40歳の男が暗闇の中、三脚を立てて一人笑顔で自撮りしまくっているのだ。無理もない。今日一日、私はずっと何をしているんだろうか。
こうして記事に掲載されたのがこちらの画像だ。裏側を知った後だと、同じ画像でもより味わい深く見える……はず。
・中澤星児という男
いかがだろうか。これが中澤の記事には書かれていなかった真実である。
決して妥協を許さない中澤星児という男。そして、中澤星児と仕事をすることがどういうことなのかを、読者の皆さんにはぜひ知っていただきたいと思い筆を執った次第だ。
それではここからさらに1時間以上かけて自宅に帰ります。どうかこれ以上、星児さんからLINEが来ませんように。さようなら。
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:Googleマップ、LINE(iOS)