
2025年11月21日より、細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』が全国の劇場で上映開始となった。しかし、上映開始直後から、あまり評価は良くないようだ。SNSを見る限りでは厳しいコメントが散見されるのだが、そんなに良くないのだろうか?
気になったので、私(佐藤)も連休中に劇場に足を運んで観てみたところ……。う~ん……たしかに気になる点は多々ある。それらについて、できる限りネタバレしない形で紹介させて頂こう。
・休日昼間にこの人数
細田氏による監督作品は2021年の『竜とそばかすの姫』以来、4年ぶりとなる。細田氏はこれまでに『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』など、数々の名作を手掛けていて、とくに『サマーウォーズ』は高く評価されている。
それらの作品の名前は知っているし、名作と言われていることも重々承知なのだが、私は氏の作品を今まで1作も観たことがない。そんな私でも今作を楽しむことができるのだろうか?
とにかく、評判の真相をたしかめるために、新宿バルト9にやってきた。ここは私が『劇場版鬼滅の刃 無限城編 第1章 猗窩座(あかざ)再来』を1日に5回も観た思い出深い劇場である。総視聴時間12時間55分、あれは大変だったなあ~。もうあの話は完全に脳内に刷り込まれている。
それはさておき、この日、11月24日は勤労感謝の日の振替休日だ。公開初週の祝日なのに、チケットを取らずに来てしまったけど、発券機を見ると、午後の上映は全て席が空いている。
客入りはあまりよろしくない様子。13時30分の回で入ることにして、座席表を見てみると、3分の1も埋まってないなあ。カウントすると32名。私を入れて33名だ。429席中の33ってことは10分の1にも満たないか。滑り出しはやはり良くないな~。
とにかくポップコーンとアイスコーヒーを購入して、いざ上映に臨んだ。
・ギャグかなと思った
放映が始まった段階で、すぐに物語に置いて行かれている気がした。展開は決して早くはないものの、「今、これなんの話」と感じる箇所があって、主人公スカーレットに感情移入しないままに、物事が進んでいる印象。
思わず腕時計を見ると、まだ開始から30分しか経っていない。序盤でコレだと111分の上映時間は長く感じるだろうなあ。そう思いながらも、今一度物語に集中するように努めた。
合間合間で集中力を欠く演出が見受けられた。それはスカーレットと共に「死者の国」を旅する、現代の日本からやってきた看護師・聖(ひじり)の存在である。唐突にあらわれるのは、まあ仕方がないとしても、彼が彼自身の置かれた状況をあっさり受け入れてしまうところが釈然としない。そうかと思うと、歌い出したり踊り出したりする場面がある。挙動が不自然な気がして……。
それのみならず、あるシーンで私は一瞬興覚めしてしまった。
素直な気持ちでその描写を受け止めれば良いのだけど、私のようなひねくれ者は一瞬「ギャグかな?」と思わんでもなかった。今作に限らないことなのだが、歌い出したり踊り出したりするような場面は、物語の本筋が緊張していればいるほど、滑稽(こっけい)に写ってしまうからだ。
悪い描き方ではないのに、変に面白要素で受け止められてしまうのは、やはり物語の緊張度合によるのだろう。あとはその場面(背景)というのがファンタジーから逸脱しているために、妙な生々しさがあったためでもある。詳細は伏せるが、そのシーンの不自然さがスゴかった。マジでちょっと笑っちゃったもの……。
終盤に入ると、ようやくこの物語が帰結するところが気になり始め、作品が訴えかけんとするメッセージにも、何となく共感できるようになった。ただ、何かと都合よく物事が進むので最後の最後に「う~ん……」となってしまった。
・2つの作品を思い出した
この作品を観て、私は2つの実写映画作品を思い出した。ひとつは実写版『進撃の巨人』である。あれはまだ原作が連載中で完結していなかったために、まったく違う物語を描かなければならず、ストーリーそのものが原作とは著しく乖離(かいり)していた。
それ自体は問題ではなかったのだが、物語の進行にかなりムリがあり、急に現実社会が描写されたりして観ている途中で興覚めした覚えがある。
もう1つの作品というのは、これまた実写版の『白雪姫』だ。周知の原作を現代風にアレンジしてキレイな映像と壮大な音楽で、ただなぞらえただけの作品で、まったく深みがない。白雪姫に共感できないまま、物語は終わるのだった。
今作にも似たニュアンスがあり、諸手を上げてスカーレットに賛同・共感しづらい部分があり、「わかるぞ、スカーレット」とはならなかった。それゆえ最後に大きなカタルシスもなく、終わってしまう。
・映像、音楽、声優はスゴイ
それでも、映像はとてつもなく美しく、アニメーションの進化に驚かされる。また音楽も作品の世界観にふさわしい、ダイナミックなものだ。それだけでも劇場で観る価値はあるだろう。
また起用した声優陣も大変豪華で、スカーレット役を演じた芦田愛菜さんの演技は素晴らしかった。作品全般を通して、芦田さんの演技が光っており、共演している岡田将生さん・役所広司さん・市村正親さん・吉田鋼太郎さんなど、ベテラン俳優の皆さんにまったく引けをとっていない。またエンディングテーマ『果てしなき』では卓抜した歌唱力も披露。声優として歌手としてもその才能をいかんなく発揮している。
海外の映画祭では高い評価を受けたそうなのだが、この作品は今後、どう評価されるのか? また興収は伸びるのか? 気になる人はぜひ劇場で観て頂きたい。とにかく芦田さんの演技力に脱帽。
参考リンク:果てしなきスカーレット
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
▼芦田愛菜さんが歌うエンディングテーマ『果てしなき』
佐藤英典


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