丸亀製麺が2025年11月下旬までの期間限定で47都道府県ごとに、オリジナルのうどんを販売している。

人気の地域はすでに売り切れているとも聞くが、我がまち「奈良県」はどうだろうか。事前情報によると、なんとなく県民には馴染みあるネーミングではあるが、味は果たして。

正直、それほど期待せずにいたのだが、食べてびっくり。これは、恐らく47都道府県中でもトップクラス……。いや天下、狙えちゃうんじゃない?? 


・戸惑いの奈良

昨年(2024)も実施された、このご当地企画。その際、奈良のメニューはこう言っちゃなんだが、パッとしない「大和芋たっぷりとろ玉つけ汁」だった。

間違いなく美味しくはあるだろうが斬新とは言い難く、普段の丸亀製麺のメニューにありそうな1品。機会があれば食べてみようと思っているうちに、いつの間にか終わっていた。

そんな訳で今年(2025)も企画が実施されることは知っていたものの、さほど期待はしていなかった。しかし発表された商品名を見て、首を傾げる。何だこの、攻めた一杯は。

『辛旨スタミナうどん(並890円、大1070円)』といい、見た目は二郎系、ネーミングは奈良のご当地ラーメンである「スタミナラーメン」から来ているのだろう。

昨年とのギャップがすごすぎて、正直なところ戸惑いを隠せない。


・個人的ランキングトップクラス

これは実物を確かめに行かなくてはと、最寄りの丸亀製麺へ。運よく奈良県では売り切れていない(2025年11月6日現在)どころか、訪れたタイミングでその商品を注文する人はほとんど見受けられなかった。


もしかすると、みなさんすでに1度食べたのかもしれないと考えながら並を注文する。記者は二郎系ラーメンを未だかつて食べたことがないのだが、出てきた商品はイメージにある二郎系そのもの。

若干腰が引けつつもうどんを手に席に着き、改めてじっくり眺める。肉やニンニクに圧倒されて見逃していたが、白菜が乗っていてスープは透き通った赤茶色だ。


奈良県民はお分かりの通り、彩華ラーメンっぽいではないか。奈良のご当地ラーメンと言えば、ニンニクたっぷりのスタミナ系ラーメンが定番。


いくつか有名店があり、そのうちのひとつが先の彩華ラーメンだ。『辛旨スタミナうどん』のビジュアルより、数あるスタミナ系の中でも特に彩華っぽさを感じ取った。味はどうだろうか。

箸を入れると、たっぷりのもやしに行く手を阻まれ、なかなか麺にたどり着かない。このあたりは二郎系っぽいのかもしれない。繰り返すように、記者は本物の二郎系を知らないのだけど。


なんとか麺を引っ張り出し頬張ると、これがまあ、めちゃめちゃ美味しい。思わず言葉を失うほどだ。やはり想像通り、彩華ラーメンに近い味わいのスープで、油多めの味が濃い目でピリ辛。


彩華は醤油ベースであるが、こちらは味噌ベースのようで、より濃厚だ。そのスープがうどんに絡みついて、ウマいのなんの。これは絶対、奈良のラーメンを食べ慣れている人が考え出した味だ。

肉厚チャーシューが乗っているのに、それとは別で細切れの豚が入っているところも、彩華インスパイアだろう。芸が細かい。


また、トッピングのもやしと白菜はシャキッとしていて、ニンニクがガッツリ効いている。そしてチャーシューは柔らかくボリュームたっぷりで、食べ応えしかない。


スープも具材も個性派ぞろいでありながら、ひとつひとつの味がしっかり感じられて、なおかつ上手くまとまっている。正直これまで食べた丸亀製麺のうどんの中でも、個人的ランキングトップに位置する味だ。


これは47都道府県中でも、ほかの追随を許さないのではないか。実際のところ、どの都道府県のうどんも負けず劣らずなのだろうが、そう錯覚してしまうほどの味だった。

二郎系好きにも響くだろうし、何より地元ラーメンへのリスペクトにあふれているところが素晴らしかった『辛旨スタミナうどん』。期間限定と言わず、奈良の名物として定番商品化してほしいところである。

参考リンク:丸亀製麺
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.

▼スープが彩華っぽい。天スタじゃなくて、彩華