
イスラム教徒が多いからモスクがたくさんあるインドネシア。
以前の記事で外も中も「赤」のモスクを紹介したけど、赤いモスクはあれだけじゃあないんです。
僕が住んでるマランから1時間ほど離れたところに、「鄭和清真寺(ていわせいしんじ)」というのがある。
「寺? モスクの話じゃないの?」と思う人もいるかもしれない。今回はその「鄭和清真寺」を紹介するとしよう。
・世にも珍しい中華モスク
僕がいる大学から34キロ離れたところにある「鄭和清真寺(ていわせいしんじ)」。「寺」と聞いて「仏教?」と考える人もいるかもしれないが、どうやら中国語で「清真寺」は「モスク」のことらしい。
正式名称は「Masjid Muhammad Cheng Hoo(馬・鄭和大モスク)」。「Yayasan Haji Muhammad Cheng Hoo Se Indonesia (インドネシア馬・鄭和財団)」という団体が設立し、2008に正式に開設された大モスク。
外からも見える通り、とてつもない中国感を漂わせる外見になっている。多角形な屋根に、鳥居を思わせるようなこの門。屋根にかかれてある「アッラー」の文字さえなければとてもモスクとは思えないような見た目。
モスクに入るには正面からではなく、ここ足洗い場のある横からモスクの敷地内に入る。モスク内は靴も靴下も脱がなければいけないのでここで脱ぐが、靴を安全に保管できるロッカーみたいなところはなかった。
こ、ここでいいのか。でもまぁ、神聖な場所で盗みをする人間なんていないよね。
外には「モスクに入るにはきちんとした服装で陰部は隠してください」的な注意書きが書かれてる。中国語表記があるのが新鮮すぎる。
中国語は読めないが「清真寺」と「閉陰部」だけはわかった。
モスク前のテラス。礼拝者が多すぎてモスク内に入りきれない場合、このテラスも礼拝場になるのでここも聖域扱い。ここからは足を洗ってから踏み入れなければならない。
……のは良いとして、真っ昼間だと床がバカほど熱くて裸足で歩くには拷問すぎる。あちいいいい(気温34度)。
モスクの正門近くには予備の礼拝服が用意されてる。あちぃので中に入ります。
モスク内に入ると3つの碑文がお出迎えしてくれる。ここには鄭和の生い立ちとこのモスクを建設するにあたっての思いが英語・インドネシア語・中国語で書かれてある。
ここで言語好きの僕は大興奮。読めない中国語を他の言語の碑文をチラチラ見ながら20分も頑張って読み解こうとした。中国文を読んでわかったことは「清真寺」だけだった。
しかしこれはとっても興味深い。イスラム教がすごーく昔から中国に浸透していたこと、コロンブスよりも前に大航海をやってみせたこと、「鄭和」は昔「馬和」だったこと。
そもそも「鄭和」って何かを意味する言葉だと思っていたが、まさか歴史的な「人名」だったとは思わなかった。歴史? 完全なるにわかです。
碑文の横にはマジモンの機械式振り子時計。ここで時計好きの僕がまたまた大興奮。
針がめちゃくちゃにズレてて、「IX」と「X」の数字が欠けてるけどめっちゃ状態が良い。機械式振り子時計が動いてるところを生で見るのは初めてかも。今まで見てきた「振り子時計」は「振り子」が動いてないのになぜか時計が動いてるもん。
下の階に行って体を清めるところで清めてきたが、特に面白みがなかったので写真は撮らなかった。ちなみに下も礼拝スペースがある。
礼拝時間を知らせるために使われる(使われた?)太鼓。今は技術の進歩でスピーカーでアザンを流して礼拝時間を知らせるので、こんな原始的な方法を使うモスクは減りつつある。てかこんな太鼓を見るのはまじで久しぶりすぎる。
せっかく来たので上の礼拝場で礼拝することに。しかし色も装飾もとても中国すぎる。なんか、とても良き。
モスクにありがちなステンドグラス、これもまた中華風。
中に入ってみるとすっごいきれい。赤の絨毯が敷かれていて、金色の柱がそびえ立っている。
天井もまた高い。広々としててめっちゃ涼しい。あぁ、極楽だここは。
モスクのすぐ隣には「Pasar Wisata Cheng Hoo(鄭和観光市場)」なるものがあるのでついでに見てみたがほとんど何もなかった。そこにあった唯一のコンビニもしまっていた、てかそもそも商品並んですらなかった。
小さいおみやげさんなら開いてるくらい。それでも人気(ひとけ)がなさすぎる。
モスクのそばをしばらく歩いてると、なんと面白いものが。モスクのすぐ後ろにはなんとカアバのミニチュアが。ここで巡礼の練習とかするのかな?
近くに行って見てみたいけど、この熱そうな床で足の裏を焼きたくないので断念。
モスクの左側には何もなかった。今は礼拝時間じゃないからそりゃ誰もいないんだけどさ。
・鄭和とは
後から調べてみると、原姓は「馬」。1371年に慶路昆陽州宝山郷で生まれた、次男である。イスラム教徒の家庭で産まれたので、後からイスラム教に入ったわけではなくもともとイスラム教だった。
明が雲南攻略を起こした際、抵抗した馬和の父は殺され、馬和自身は捕らわれの身となり去勢され、12歳のとき宦官として献上された、らしい。
後に功績を挙げることによって認められ、「鄭」という姓を与えられ「鄭和」という名前になった。
ヨーロッパよりも先に大航海を成し遂げており、それもなんと100隻以上も使って鄭和が生きている内に7回も成し遂げたとされている。行く先は東アジア、インド、アラビア、アフリカなどなど。鄭和がイスラム教徒だからこそ成し遂げられた大航海だったのだろう。
詳しい歴史は各自で調べてもらうとして、とにかく鄭和とはすごいお方なのだ(小並感)。
彼を祀る寺院は東南アジアに多くあるらしく、有名なものとして中部ジャワ州にある寺院三保洞(元はモスクだったが中華寺院になったらしい)がある。
また鄭和清真寺(モスク)も今回紹介するもの以外にも他の地域で建てられてるらしい。これらのモスクは鄭和自身が建てたものではないが、鄭和の歴史が勉強できる良いところだ。
というわけで、Sampai Jumpa Lagi!
執筆:アキル
Photo:RocketNews24
アキル

























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