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【木下サーカス】空中ブランコやオートバイショーに出演するスターの入団秘話と苦労話を大公開 / 宮内良インタビュー

2025年10月15日

木下大サーカス名古屋公演は、7月13日の開幕以来、白川公園特設会場で連日大盛況を続けているようだ。夏休みから秋にかけて多くの観客を魅了し、いよいよ10月27日のフィナーレが迫っている。

そこで今回は、空中ブランコやオートバイショーで活躍している現役団員にインタビューを敢行。サーカス入団当時のエピソードや、サーカス生活ならではの苦労を聞いた。読めばきっと、フィナーレ直前の公演をもっと楽しめるはずだ。

・現役団員インタビュー

年間100万人以上という世界でもトップクラスの動員数を誇る木下大サーカス。現在は11カ国の外国人を含む約70名の団員が日本各地を転々としながら共同生活を送っている。

今回インタビューしたのは、空中ブランコやオートバイショー等で活躍している宮内良。2012年入社の宮内は、兵庫県川西市出身で体操経験なし……だがしかし。

超人的なフィジカルの強さを生かし、入団して1年も経たないうちに日本古典芸「くだけ梯子ショー」で初舞台を踏み、その後もサーカスの花形と呼ばれる演目に次々とデビュー。

そして同じく舞台で活躍する女性団員と結婚し、いまは妻と2人の子供とコンテナハウスで暮らしている

そんな彼は売店スタッフも担当。ステージ以外の団員の姿を見られるのもサーカスならではの魅力ではないだろうか。今回はお客さんが入場する前に少しだけ話を聞くことにした。


・宮内良

ちなみに前回の記事で「独身者にはコンテナを3等分した部屋が与えられる」とお伝えしたが……

コンテナにはA、B、C、と名前が付けられていて、私が住んでいた「Rコンテナ」は、右隣が宮内で、左隣が大宮路(亀沢記者が恋したスター)という部屋割りだった。同じコンテナで暮らす者同士、飯を食べたり酒を飲む機会はそれなりにあったものの……


宮内から入団前の話を聞くのは初めて。どうやらあるサーカスを見たのがキッカケだったらしく……


「木下サーカスに電話したらちょうど面接(新卒採用)のタイミングだったんすよ。それでそのまま面接させてもらって入社した感じですね。タイミングも電話の対応も良かったのが木下サーカスです


・入社直後に練習開始

北海道(2012年の札幌公演)で現場見学をして埼玉公演で入団。同時期に日本古典芸「くだけ梯子ショー」の土台となる演者の引退が決まっていたため、パワー系の新人・宮内が引き継ぐことに──。

くだけ梯子ショーとは、土台となる宮内が重さ約5キロ・長さ7メートルのはしごを肩に乗せて、上乗りの演者がスルスルとはしごのテッペンまで上がったかと思うと、はしごが崩れて1本の竹の棒に……という演目。


慣れないうちは、はしごを肩に乗せるだけでも激痛。さらに水や砂などを入れた約20〜40キロの灯油タンクをはしごに付けて重量に慣れていくという。


「今思うと、本当にタイミングが良かったんですよね。ウッチーさん(くだけ梯子ショーの前任者)がちょうど引退するタイミングだったので」


そのまま宮内は、空中ブランコのキャッチャー(フライヤーをキャッチする役)、スーパーキャッツ(跳び箱を使ったコミックショー)、オートバイショーと芸を増やしていく。

ちなみに木下サーカス公式インスタグラムでは、オートバイショーの裏話も聞けるので興味があればチェックしてみてほしい。



・宮内の変化

そして今回私が1番驚いたのは、宮内の体型が「ガテン系のガッチリ体型」から「スタイリッシュなアーティスト体型」に変化していたこと。

どうやら体重管理も体調管理も徹底しているらしく「摂取するオイルにまでこだわっている」というのは、宮内の妻・優香さんからの情報。休日は家族で仲良く買い物をしているそうだ。それは良かったね、ということで立ち去ろうとしたら……


・スターの苦労とは

実は苦労話もありまして」と宮内。続きを聞いてみると……


「今、(子供たちが)1歳と3歳でもう離乳食も終わって、ご飯を家族分作るじゃないですか。でも何て言うんすかね……」


──何かあったんですか?

「普通に4食作るのって、仮に麻婆豆腐や野菜炒めを作りますってなっても、子供用と大人用で味付けが異なるんで、ただの4食じゃなくなるんです……」


──サーカス団員も “普通の悩み” を抱えているんだね。つまりお父さんのテクニックで、子供用の麻婆豆腐は食べやすいように工夫しているってことですか?

「カレーもそうですね。大人はやっぱり辛いのが食べたいじゃないですか?」


──大人用は辛口なんですね。

いや僕だけです。3人分は基本甘めに作って、後から辛さを足しています」


──なるほど勉強になります(笑)ちなみに子育ての失敗談とかってあったりしますか?

「1番後悔しているのは、部屋に見守りカメラを設置して様子を見ながら仕事をしてるんですけど、仕事が上がれるのにちょっとやり残したことがあったりして、仕事をダラダラ優先してしまって……その時に見守りカメラを見たら子供が泣いているんですよ


──お父さんが帰ってこない、みたいな。

「で、帰ってきた時に “やっと帰ってきた” みたいな表情で。あの時に家族をもっと優先しなきゃというか……」


──たしかに、仕事とプライベートが隣り合わせの環境だからいつでも部屋に戻れるし、必要以上に自分の仕事をしてしまうのは分かる気がします。結果的に子供たちに寂しい思いをさせてしまったんですね。

「はい、その分、料理の味付け頑張ってます」


──素晴らしいお父さんですね(笑)名古屋公演、フィナーレまで怪我なく頑張ってください。応援しています!


・木下サーカスは名古屋で公演中

というわけで、今回はここまで。舞台で活躍するスターの悩みが意外と普通すぎて親近感がわいたのではないだろうか。ちなみに宮内の現在の目標は「オートバイショーの4台乗り」とのこと……凄い。このギャップがサーカス団員ならではである。

木下大サーカス名古屋公演は10月27日に千秋楽を迎える。3年ぶりの名古屋公演は大盛況のままフィナーレへ。まだ体験していない方は、ぜひ白川公園特設会場へ足を運んで世界最高峰のサーカスを生で体感してほしい。間違いなく忘れられない1日になるはずだ。


参考リンク:木下サーカス
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.

▼宮内良とサンジュン記者

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