ある日産直市場にて、真っ赤な何かが山のように積まれていた。不思議に思い、近寄ってみると「ローゼル」と書いてある。実のようだがはじめて目にする植物で、見たところで何であるかはわからない。

パッケージには、ジャムや塩漬けがオススメとある。使い方は全く想像できないが、食べられはするらしい。買ってみることにする。


・どこをどうすれば良いものか

袋にモサッと入って税込360円とお買い得であるような気はするが、如何せん相場が分からないので何とも言えない。 表示によれば、どうやら “ハーブ” に分類されるようだ。


取り出してみると、粒のないイチゴのような、はたまたまだ開いていない花のように見える。そっと花びらのような部分を手で押し開き中を覗くと、実のようなものが見えた。

香りはややスッとするが草のような匂いで、単体で食べるよりも何かに混ぜたりしたほうが良さそうな印象を受ける。正直なところ、さほど食欲をそそられる香りではない。


取り敢えずオススメ通り塩漬けを試してみようと思いはするものの、どこをどう使ったらよいものか。まず生食しても問題ないのだろうか。

途方に暮れ『日本大百科全書』を開くと、生で食べることができ、萼(がく)と包葉とを使う旨が記されていた。立派な実が入っているというのに、その部分は食べられなさそうだ。

また世で言うハイビスカスティーは、このローゼルを使用している模様。スッとした香りの理由に納得だ。そうとわかれば、塩漬けに加え煮出して飲んでみることにしよう。


・ティーにも

まずは可食部を手でもぎり、実を取り除く。ちなみに実を包丁で少し切ってみると、オクラのような粘り気があった。断面も、どことなくオクラのようである。


包葉はパキッと割れるようにして取れたがその感触通り、かじってみるとシャキっとした嚙み心地がした。そして、かなり酸っぱい。


ハイビスカスティーになるくらいだものなと感心しつつ、適当に塩を混ぜて冷蔵庫に放り込む。2日ほどするとしんなりしてきたので、食べごろと思われる。


水分を絞りさっそく白米とともにいただくと、シャキシャキ食感はそのままに、酸味と塩気がご飯のお供としてちょうど良い。ただやはり特徴のある酸味が強めなので、食べる人は選ぶかもしれない。


エスニック料理の、付け合わせにも良さそうな塩梅である。冷蔵庫に常備しておきたい、とまでは思わないがあれば時折食べたい感じ。ややクセにはなるかな、といったところだ。


残りは煮出して、飲んでみることにする。同じように食べられる部分をポットに入れてお湯を注ぎ、数分待つ。次第に、お湯がピンク色に染まっていくので見ていて楽しい。


もうこれ以上はお湯の色が変わらなさそう、といったところで湯呑に注ぐ。鮮やかなピンク色が、とても奇麗だ。香りは爽やかで、確かにハイビスカスティーのよう。

飲んでみると、しっかり酸っぱく目が覚める勢いだ。レモンのようにキュっとなる味わいで、鼻を抜ける香りは爽やか。やはりハイビスカスティーってこんな感じだったよな、と頷いてしまう味である。


甘味が欲しい人は、ここにハチミツなどを混ぜても良いだろう。そのまま食べるのも良いが、こうしてお茶のようにして飲む方がよりダイレクトに味を堪能出来て、ローゼル初心者には相応しいかもしれない。

以上、塩漬けとティーを通じて、ローゼルの何よりの特徴は酸味と色であることを知れた。ジャムを推奨していた理由は、鮮やかな色味が理由であろうと推測する。

しかしながらもう少し何か、良い使い方があるような気がしないでもない。酸味を上手く活用できれば、可能性の幅は広がりそうだ。ローゼルの栽培は冬にかけて続くようなので再度購入し、引き続き利用法について考えてみたい。

執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.

▼実の部分がもったいないような気もするが、何かに使えるのだろうか

▼形もかわいいローゼル