京都駅からバスで祇園を通り過ぎると京都大学周辺エリアに突入する。かの有名な吉田寮(学生寄宿舎)を車窓から眺めることができ、なんというか……あまりに期待を裏切らなさすぎて感動するのでオススメだ。我が国には様々な大学があれど、京大生ほどイメージが定着している人たちも他にない。

そのイメージは何十年も前に形成されたもので、令和の京大生は必ずしもそうではないのだろう。そう分かりつつ同乗した京大生とおぼしき青年を眺めながら、私は「何か強い思想を持っているのかな」「下宿でフォークギターかき鳴らしてんのかな」などと空想するのであった。

……ってな話はおいといて、そんな京都大学からほど近いジャンカラがエライことになっているのでお伝えするぞ!

・ジャジャーンカラとは

今回私が訪れたのは『ジャジャーンカラ 京大BOX店』。ジャジャーンカラとはジャンカラの亜種であるが、実は私もよく分かっていない。公式サイトによると「2221年のNEO-KYOTOで最も栄えているカラオケ施設」なのだそうな。調べて余計分からなくなるパターンも珍しい。


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事前情報がなければ「カラオケだ」とは絶対に気がつかない外観をしていたジャジャーンカラ 京大BOX店。たぶん夜来たら相当ネオKYOTOなのだろう……という雰囲気がビシバシ伝わってくる。中が見えないので若干不安だ。陽キャの巣窟だったらどうしよう。


おはようさんどすぅ……



ヒィィイイイ!!!!!!


・ネオKYOTOだった

「京大寮生コラボルームがある」との噂を聞きつけやってきたジャジャーンカラであるが、あまりのサイバーパンクっぷりに京大がよく分からなくなってしまった。陽キャの姿が見当たらないのは幸いだが、お店の人も見当たらないぞ……怖い!!!!!

と、それもそのはず。ジャンカラはほぼ全ての店舗で自動受付&清算システムが導入されているのである。挙動不審な私を気にとめたのか、ややあって店員さんがバックヤードから駆けつけてくだすった。優しいな、京都の人は。

それにしても……この雰囲気を何と表現すればいいのだろう。「外国人が泣いて喜ぶ漠然としたアジアっぽさ」「誇張しすぎた平成レトロ」「荒廃した近未来」それらをゴッチャ混ぜにし、隠し味にホラーテイストを少々……といったところだろうか?

ちなみに私はこのときトイレへ行こうとしたのだが、1つしか稼働していない個室が使用中であった。しばし待つも、個室内からは物音ひとつしない。思い切ってドアをノックすると……反応なし! 急にガチで怖くなった私は、転がるようにトイレを出た。

そんな空気が漂う空間なのだ、ジャジャーンカラは(しばらくして普通に女性が出てきました)。


・ホラゲの世界観

目指す『京大寮生コラボルーム』のある2階へ、恐る恐る階段を上がると……


ホラゲの照明なんよ……!!


これがホラゲであれば角から殺人鬼的なものが飛び出してくるところだが、念のため再度お伝えするとここはカラオケ店である。何者かが飛び出してきたとすればそれは客なので、くれぐれも逃げ出したりしないように。

突き当たったところに、突如 “頭のいい学生が作った学園祭のパネル” みたいなヤツが出現した。この日初めて「京大」を感じた瞬間であった。

角を曲がった突き当たりが私の目指す部屋であるようだ……怖い。ちなみに言うと、ここは別に “怖さ” をウリにした店舗ではない。私が勝手にホラゲテイストを感じているだけなので誤解のなきよう。

センスが光る何かに会釈をし、ドアを開けると……


そこは京大生の部屋だった。


・どこかに実在したはずの部屋

ここは正式名称を『京大生のたまり場ルーム』という。京大生のたまり場へ足を踏み入れたことは一度もないが、仮に事前情報なしでも私はこう言っただろう……「なんか京大生のたまり場みたいだね」と。

事前にネットで確認した部屋とだいぶ様子が異なるのは、ここが「落書きOKルール」を採択しているから。部屋の壁いたるところに無数の文字や絵が書かれていて味わい深いったらない。

正確には落書きではなく「寄せ書き」のようだ。部屋にはペンが設置されており、私にも寄せ書きをする権利があるのかもしれなかったが、京大生の部屋に見合うハイセンスな寄せ書きが思いつかず今回は遠慮させていただきました。

元々は「京大生の主張」と書かれていたところを、寄せ書きにより「東大生」と変化しているあたり非常に風刺がきいていて個人的に興奮した。

いかにも京大生が好みそうな書籍のラインナップもたまらない。私は(概念としての)京大生のファンなのだと思う。

ひたすらに寄せ書きを眺め、ふと振り返るとカラオケ機器が設置されていた。完全に忘れていたけどここはあくまでカラオケルームなのである。

それよりフォークギターをかき鳴らしたいのだが、ギターが弾けない身の上のため叶わず……無念だ。


・京大生ごっこに興じてみよう!

京大生を一気に摂取しすぎて目まいがしてきたので、部屋を出てドリンクバーへ向かう。

この香港の裏路地感がだんだん心地よく思えてきたから不思議だ。

そうだ、フードを注文しよう! “京大生のたまり場へうっかり来ちゃった人” 状態の私も、ここで飯を食えば “たまり場の一員” になれそうな気がする。

『超新星爆発(ビッグバン)カレー』にも心惹かれるが……

やっぱ京大生の飯といえば『関西だしうどん』(390円)の一択っしょ! バイトをしているヒマなどない京大生の食事は、基本的に質素なのである(※ あくまでファンの希望的観測です)。うどん、おいしゅうございました。

そこから京大生ごっこに興じるなどするうち、あっという間にお時間となった。もちろん歌う余裕などなかった。この空間を満喫し、かつ歌いたいという人は少なくとも3時間くらい部屋をおさえることをオススメする。

3階は未来宇宙船チックな雰囲気で、方向感覚を奪われたような不思議な気持ちに。ここジャジャーンカラ 京大BOX店には他にも面白そうなコンセプトの部屋がたくさんあって、旅行者の身の上が悔やまれるばかりだ。絶対にまた来たい。

私と同じく「京大生」に漠然とした憧れを抱く人がどれくらいいるのかは不明だが、刺さる人にはブッ刺さることうけあいの京大寮生コラボルーム。他にも『熱烈! 集会ルーム』『京大王クイズルーム』など京大関連のルームが揃っているぞ。ピンときた方は京都へGO! 事前予約を忘れずに!

参考リンク:ジャンカラ
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
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