2025年8月9日~11日の3日間、茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園にて『Lucky Fes(ラッキーフェス)』が開催された。数え切れないほど多くの夏フェスが開催されている中、私がわざわざ『Lucky Fes』を選んだのには理由がある。

それについては後述するとして、この記事では “はじめてのLucky Fes” で感じたことをザザッとお伝えしていこう。もし『Lucky Fes』に興味がある人は、ぜひ参考にしていただきたい。

・あらまし

ご存じの方も多いと思うが、まずは『Lucky Fes』が誕生したあらましについて説明しておこう。2022年から4年目の開催となった『Lucky Fes』は、ざっとこんな経緯で誕生した夏フェスである。


・2000年より「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」が開催され、国営ひたち海浜公園は国内有数の夏フェスの聖地と化す



・2020年、新型コロナウイルスの影響で「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」が中止になる



・2021年、今年こそ開催されるという直前に茨城県医師会より物言いがつき、ロッキンがブチギレ。千葉へ移転する



・2022年、茨城のFM放送局・Lucky FMが「茨城のフェス文化の灯を消すな!」を合言葉に『Lucky Fes』を開催。現在に至る


ご覧のように『Lucky Fes』は国営ひたち海浜公園から「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」が撤退したことで誕生した夏フェスである。

ただ「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」も「節目の年は国営ひたち海浜公園で開催する」としており、実際に25周年となる2024年にはワンステージのみで「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA」が開催された。

・疑問

私は2010年よりほぼ毎年「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」に参加しており、昨年の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA」にも参加。そして思った……


「あれ? 俺はアーティストと同じくらいひたちなかが好きなんじゃないか?」と。


蘇我のロッキン、幕張メッセのサマソニ、山中湖のスペシャ……等々、これまで複数の夏フェスに参加しているが、国営ひたち海浜公園の “夏フェス度” は群を抜いている。それを確かめるべく『Lucky Fes』に3日間参加してきた次第だ。

で、ここからは『Lucky Fes』の会場で感じた所感をいくつかピックアップしてお伝えしておく。良いところも悪いところも忌憚なく書いていくぞ。



・その1「子供がめちゃめちゃ多い」

なんと『Lucky Fes』はチケットをお持ちの保護者1名に対し、2名まで小学生以下の入場料が無料(中高生も半額!)。7歳以上は大人と同額の料金が発生する「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」と比較すると、親御さんの財布に優しい料金体系である。

そのためか私が過去に出かけたどの夏フェスよりも子供が多く、子供を狙ったと思われるアーティストも多く出演していた。また「キッズエリア」など、子供が遊べるエリアや催しが複数設置されていたのも、親御さん的には心強い。


・その2「人の数はそこそこ」

発表によると3日間トータルで8万1500人の来場があったというが、明らかに人が多かったのは初日のみ。2日目と3日目に関しては「初日の半分ちょい」と考えていいのではないだろうか?

おそらくこれは出演するアーティストにより変化したものと思われるが、常にパンパンの「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」に参加していた身からすると新鮮な経験であった。そのためか、ゆったり & まったりと過ごすことができた。


・その3「フードもそこそこの並び」

「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」では少なくとも30分の行列を覚悟する必要がある名物「ハム焼き」でさえ、せいぜい5分~10分程度で購入できたのはありがたい。同様に「まるごとメロンソーダ」も余裕で買えた。

出店する側からすると悩ましいところだろうが、ピークの昼どきを除けばさほど並ばずにフードを購入できたのは最高。ただ初日のグッズは鬼ほど並んでいたことはお伝えしておく。


・その4「喫煙所が少なすぎ」

「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」と比較すると国営ひたち海浜公園のうち使用されているエリアは狭い。ただそれでも喫煙所2カ所はいかんせん少なすぎる。ロッキンと比較すると1/10程度の設置量であった。

ご時世柄、喫煙所が少ないのは理解できる。……が、夏フェスのときくらい吸わせてよ! 本当にすみっこの方でいいので、喫煙者にも優しい夏フェスをぜひ……!


・その5「アーティストが個性的」

正直に申し上げるとチケット購入時、アーティストについては考えないでいた。私が好きな「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」とは系統が違うアーティストばかりなので、これは言っても仕方あるまい。

ところがどっこい、米米CLUBの「浪漫飛行」や、岸谷香の「ダイヤモンド」、T.M.Revolutionの「HOT LIMIT」等にはグッと来たし、御年69歳の郷ひろみが圧巻のパフォーマンス! ひろみGOすげえ!!

撮影OK、録画OK、SNSへのアップOKのアーティストが多かった点も含め、新鮮な気持ちでステージを楽しめた。なお個人的なベストアクトはDef Techの「My Way」だ。本当に良かった。


・その6「やはり国営ひたち海浜公園が強すぎる」

3日間を通して感じたのは「やはり国営ひたち海浜公園が強すぎる」ということ。私の知る限り、ひたちなかほど夏フェス向きの会場は無く、ただそこにいるだけで常に満たされるものがあった。

完成し切った「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」と比較すると拙いオペレーションも少なくなく、夏フェスとしてはまだまだ発展途上であることは間違いない。が、それらも会場の素晴らしさが帳消しにしていた。


おそらく私は来年も娘を連れて『Lucky Fes』に参加することだろう。少なくともお子さま連れの親御さんたちには「ラッキーフェスなかなかいいよ!」と自信を持ってオススメできる。


先述のように今回使用されたエリアは国営ひたち海浜公園の一部に過ぎず、アーティストや運営も込みで『Lucky Fes』にはとんでもない伸びしろがあるのではないだろうか? ひたちなかで開催される限り、後退はあり得まい。

というわけで、ひたちなかの『Lucky Fes』は会場の強さゆえ、優良な夏フェスであった。特にお子さま連れの親御さんは、ぜひ来年以降の参考にしていただきたい。

参考リンク:Lucky Fes
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.