
第何次なのかわからないが、いま日本に “鬼滅の刃ブーム” が到来中だ。もちろんきっかけは現在絶賛公開中の劇場版『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』である。
2019年から始まったアニメ版・鬼滅の刃も「いよいよ無限城編に突入か~?」と感慨深いものがあるが、果たして『無限城編』は如何に? ワクワクしながら劇場に出かけたものの、私は最悪の経験をすることになってしまったのである──。
・ワクワク
まず、ぶっちゃけた話をしておくと、私はアニメ版及び映画版の『鬼滅の刃』をほとんど観ていない。コミックは全て読んでいるが、ちゃんと観たと言えるのは娘が録画していた『遊郭潜入編』くらいだ。
……が『遊郭潜入編』が思いのほか面白く「アニメになるとこんな感じになるのか~」と感心してしまった。その『遊郭潜入編』を最近観たこともあり「無限城を観に行こう!」と相成った次第である。
無限城編と言えば『鬼滅の刃』の見せ場でありクライマックスへの入口! まぐろで言えば「大トロ」もしくは「いい中トロ」に相当する部分であろう。コミックで内容は知っているが、私は純粋に『鬼滅の刃 無限城編』を楽しみにしていた。
……のだが。
・最悪だったワケ
結果は冒頭でお伝えした通り「最悪だった」と言わざるを得ない。誤解しないでいただきたいのだが、作品自体は良かった。わかっちゃいたが、何度かは涙が頬を伝った……がッッ!
隣の席の男性が……
上映中に……
スマホを使っていたのがマジ最悪だったーーーーー!
スマホ柱だったのは左隣のメガネをかけた男性で、おそらく年齢は私とさほど変わらぬ40代。男性は私より先に着席しており、劇場内が明るいうちに流れる予告編の最中でもチラチラとスマホを覗いていた。
当然すぐに気にはなったが、きっと大事な用事があるのだろう。まだ予告編だ、目くじらを立てる必要もあるまい。……が、劇場が暗くなってからの予告編でもスマホ覗きは収まらず、ついには映画泥棒のくだりでも彼は何かしらのメッセージを打っていた。
ぼんやりと視界に入り込んでくるスマホの明かり。……大丈夫、まだ焦る時間じゃない。本編さえ始まってしまえば、まさかスマホを操作することもあるまい。私はそう自分に言い聞かせた。
……が! 本編が始まった直後の行冥(ぎょうめい)のくだりでもスマホを覗きやがった!! おいコラめがねッッッ!
「もうやめてもらってもいいですか?」
・集中できない
私はすぐさま注意した。なぜか彼がギョッとしていたのかはよくわからないが、彼は無言でスマホを裏返した。裏返してもわずかに光が漏れていたものの、私はそれ以上言わずに作品に集中しようとした。
……だがしかし、上手く伝わるかはわからないが “気まずい人が真横にいる居心地の悪さ” とでも言おうか? 本作の上映時間は2時間35分である。その間、私は常に妙な座りの悪さを覚えていたのであった。
その後、彼はもう1度だけスマホを覗いていた。確か善逸のくだりであったが、彼は私の方に首を回し、私も表情で露骨に怒りをあらわにした。いわゆる「ガンを飛ばす」というやつである。
本来なら『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』の素晴らしさだけを読者のみなさんにお伝えしたかったが、結果的には作品に集中し切れず私の『無限城編』は幕を閉じた。作品よりも「スマホの呼吸」の方が強く記憶に残ったことは残念でならない。
もう、この手の問題についてモラルだけを頼りにするのは無理なのだろうか? それともいっそのこと「スマホOK」にすれば逆に気にならなくなるのだろうか? 帰り道、感動的な狛治(猗窩座)のシーンよりも私の頭にはそんなことばかりがよぎっていた。
参考リンク:鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.