くら寿司が最近妙に賑わっている――と思ったら、どうやら「ちいかわ」とコラボしているそうではないか。筆者の生活圏の店舗も普段見ない盛況ぶりで、特に休日はディズニーかってくらいの待ち時間だったりする。


店に入ればあっちもちいかわ、こっちもちいかわ。「びっくらポン」のゲーム画面すら、ちいかわ。


……だがそんなちいかわ旋風の裏でしれっと発売された、とあるサイドメニューに皆様はお気付きだろうか? そう――


「こってり背脂濃厚まぜそば」。


なんだその ちいかわの対概念みたいなメニュー。


「寿司屋だよね?」というツッコミについては今更何も言うまい。もはや寿司を食べさせる気がないとしか思えない「麺2倍!!」の文字にも、100歩譲って目を瞑ろう。


しかしね、アナタ。これを ちいかわと抱き合わせで出しますかね? これでは ちいかわ目当てに来店したファンたちが温度差で風邪をひきかねない。世界観の統一どこ行ったよ。困りますね、まったくね。


……


……頼んじゃったよ……。


致死量のちいかわに晒された反動かもしれない。頼んでしまったものは仕方がない、食べてみるとしよう。



・はじめてのまぜそば

実は筆者、「まぜそば」なるものを食べること自体が初めて。良いのだろうか、初まぜそばをくら寿司に捧げてしまって。


蓋を開けるなりメチャクチャいい匂いである。フライドオニオンだな。


上に乗ってるのはネギ、紫玉ねぎ、フライドオニオンのネギトリオに、背脂。


あと煮卵が丸々一個と、この手の寿司チェーン店のラーメンにしては相当分厚いチャーシュー。1cmくらいある。


さて、まぜそばというくらいだから混ぜるべきだよな。見た目を崩してしまうのがもったいないが、


混ぜる……!


混ぜていくにつれ、下に溜まっているタレの魚介っぽい香りが立ち昇ってくる。


できた! ことにする!


・実食

うわぁ……!


美味しい。太さ的には中太というのだろうか、麺がモッチモチで小麦の風味がしっかりする。


そのしっかりした麺が背脂と魚介の旨味を引っ提げて口内に入ってくるもんだから、一口ごとの多幸感が半端ではない。魚介の出汁ってちょっとクセがキツいイメージがあったのだが、背脂の甘さで見事なまでにコーティングされている。なに、まぜそばってこんなに美味しいもんだったの?


かと思えばチャーシューもチャーシューで、なんの誇張もなく箸で切れる柔らかさ。甘辛の味付けもあいまって、もはやこれは角煮である。あと玉子はアレですね、全人類好きなやつですね。



・美味い

うぁ〜〜〜、美味しかった。食べ終わるのがもったいなくて、最後の二口くらいをなかなか食べられないくらいには美味しかった。


量的には普通の一人前といった感じだが、それ以上の満腹感がすごい。脂のせいだ、きっと。


そう、脂の多幸感にまかれて大絶賛してしまったが、ネックになりうるのも まさにその脂だろう。背脂にチャーシューの脂でひたすらコッテリ、玉ねぎの主張も強くないので、後半キツくなってくる人もいるかも。ま、なんにせよ美味しかったので大満足である。


なぜこのタイミングで脈絡なくこんな場違いなメニューを出してきたのかは謎のままだが、ことによるとこれは ちいかわブームに乗りきれない筆者のような人間への救済なのかもしれないぞ。終わってしまわないうちに、ぜひ。


参考リンク:くら寿司「こってり背脂濃厚まぜそば発売!!」
執筆:砂付近
Photo:Rocketnews24.

▼ちなみに「感動のぷりん」とかいう、更にねじれの位置にある概念みたいなデザートも。不安定すぎるだろ。情緒が。

▼卵の味強めな濃厚とろっとプリンの上に、きちんとほろ苦くてサラッとしたカラメルソースと、あとホイップ。

▼確かに高級志向なお味で美味しいが、「感動」まではいかないかな。あとせっかく本体が美味しいので、ホイップが余計な気も。プリン部分だけいっぱい食べたい。

▼そういえば付いてきたコレ、使わなかった。使ってたらもっと背徳の味になったかも。