おいおい、やたらと くら寿司が混んでるぞ……何かあるのか? 7月11日、金曜日の夕方に通りがかった くら寿司に行列ができていた。

店舗前の のぼり を見ると、「北海道フェア」を始めたらしい。ふむ、回転寿司的に北海道フェアはコモン。そんなに混むような展開にはならないと思うが……とりあえず並んでみるか。

・ちいかわ

混む くら寿司に遭遇するのは、これが人生で2度目だ。1度目はナマズを食いに行った時。そして今回の原因もまた、1度目と同じものだった。そう、「ちいかわ」だ。

なんでも今日から「ちいかわ」のうちわが配布されていたようで、それが目当てのファミリー層で混んでいたもよう。

寿司に対してピュアな私は、「北海道フェア」に何か興味深い魚が出ているのかと思っていた。しかし世間は北海道よりも「ちいかわ」に強い関心を寄せている可能性を否定できない。

まあ、北海道はデカく、可愛いかどうかは諸説あるからな……ちいさくて可愛い「ちいかわ」には勝てないのかもしれない。

並んだ手前、私はそのまま「北海道フェア」を視察することに。どれどれ……お、いるじゃないか! 私はこういうセレクトが好きだ!!


・シマゾイ

そんなわけで、これが私を興奮させた「縞そい(115円)」。後半に紹介するその他のメニューも含め、全て店舗により価格が異なる点に注意。


関東以南の魚屋でこれを見ることは、あまり無いのではないかと思う。呼び名に関しては地域、主義、世代などにより、シマゾイ、キゾイ、シマソイ、雑にメバルとか色々なパターンがあるが、ここでは商品名は「縞そい」、魚についてはシマゾイとする。

日本ではだいたい福島・新潟くらいまでの緯度の、北よりの海でとれる魚だ。くら寿司のHPでは「真鯛のような甘みと旨味が絶品の高級魚!」と煽っている。

シマゾイは確かに鯛に似た締まった白身が美味いが、高級魚かどうかは……私はそうでもないと思う。シマゾイって、北海道じゃ1匹100円とかじゃないっすか?

まあ、釧路ではサンマが1匹10万円する時代に突入した(14日現在は1000円に値下げ)らしいので、もしかしたらシマゾイにも私の知らぬ価格高騰が起きている可能性を否定できないが。


・産地特有オーラ

なぜ私が、そんな特に高級だともレアだとも思っていないシマゾイピックアップに注目したのか? それはまさに、北海道では高級でもレアでもなさそうだからだ。

寿司屋の「〇〇(地方名)フェア」での定番は、その土地の名産フィッシュを大々的に扱うスタイル。

今回の「北海道フェア」なら、「北海道サーモン(280円)」がいい例だ。


くら寿司公式HPによると北海道のブランド魚らしい。北海道にはブランドサーモンが沢山ある。函館サーモン、北海道知内サーモン、北海道大雪サーモンなどなど。

これがどの北海道のブランドサーモンなのか不明だが、北海道のブランドサーモンは、一部のレアブランドを除き、だいたい全国区で有名だろう。

北海道のブランドサーモンは、どれもちゃんとウマくて素晴らしいからな。

そして、これは当然の流れだと思うが、物流と冷凍技術が発達しまくった現代において、各地の名産フィッシュは、名高いヤツほど1年中全国で食べられたりする

つまり名産フィッシュほど、産地特有なオーラが失われて久しい気がするのだ。

逆に、その土地ではコモンだが、言うほど名高くないがゆえに、他の地域で注目されることがそんなに無いラインの魚のほうが、産地特有オーラを強めているのではないか……と。

シマゾイは北海道~東北エリアの魚として、そういうポジションにいるように思う。

ちなみに私はシマゾイも、東京でもコモンなよく似たクロソイも食べたことがあるが、並べて食べても、切り身の状態だと私の舌で違いに気付ける自信はない

生の状態での外見の違いは明らかだが、味は、種ごとの違いよりも、同種同士の個体差の方があるんじゃないか説を私は支持する。そして私の味覚レベルは、良くも悪くもマジで庶民だ

そういうわけで、いよいよもってシマゾイを、そっくりなクロソイが出回っている東北より南でピックアップする理由は、北海道でとれる魚だから! というところになるのではないかと。

そしてそれは、全国チェーンの寿司屋による地方フェアの持つ、その土地ではコモンだが異郷視点だとレアな魚を安く食べられるという利点が強く感じられて、好ましくはなかろうかと。

私は全国チェーンの回転寿司屋には、年中どこででも食べられる名産フィッシュよりも、その土地ではコモンだがそんなに名高くないがゆえに他の地域ではレアな魚をこそ、とりあげて欲しい。その方が面白いので。

ということで東北より南にお住まいの皆さん、くら寿司に行ったら「ちいかわ」だけでなく、「縞そい」にも注目してみてください。

クロソイも知らないなら、だいたいどれも似た味のソイシリーズ(シマゾイ、クロソイ、ゴマソイ、ムラソイなどなど)はこういうものなのだなと知る、いい機会にもなると思う。

参考リンク:くら寿司テレ朝NEWS
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.

▼アセロラ真鯛 280円。美味しかったが、アセロラ感はよくわからなかった。

念のためフェア品ではない熟成真鯛(250円)と食べ比べてもみたが、どちらも普通に美味しい鯛だった。アセロラ版は真鯛湯引きVerみたいな感想。

▼たこわさ 120円。これが嫌いな人はいないだろう。甘いタコと清涼感あるワサビ。この組み合わせは宇宙の真理。

▼とろにしん 130円。ニシンは好みが分かれる魚だと思うが、好きな人は外せない。

▼炙りとろほっけ 230円。お勧め。加熱されたホッケのウマさは常に正しい。大根おろしもGJ。

▼天然ぶり 280円。ブリって感じ。

▼いか 糸づくり 115円。食感が良い。糸づくりスタイルが勝敗を分けた。生姜のもたらすキレも素晴らしい。ずっと食える。

▼ベーコン天にぎり 230円。いちばんIQが低い。

▼ピカンテデポジョ 250円。万博メニューで気になったので食べてみた。しっかりした辛さに、ボリビアへのリスペクトを感じる。ファミリー向けに唐辛子を抜いていたら、それは違うものになっていただろう。