いつも女装する時はマニキュアだった。それが普通だと思っていた。ところが新しいマニキュアを買おうと100円ショップのセリアに行ったら、なんだか陳列されているのは「ジェルネイル」ばっかり！
ななな、なんなんだ、ジェルネイルって。
キックボクシングのジム仲間（女性）にジェルネイルとはなんぞやと聞いてみると、その場で実際に見せてくれた。それはそれは鮮やかな発色＆光沢。羨ましくなった私は、人生初のジェルネイルに挑戦したのであった。
向かったのはセリア……ではなく、今度はキャンドゥ。セリアにあるならキャンドゥにもあるだろという算段だった。かくして、そこはジェルネイル天国だった──が！
何を買えばよいのかわからない！
ジェルネイルってのは、ブラックライトみたいなのを照射し固めるものであり、そのUVランプ（レジンランプ / ネイルライト）ってのが必要らしいのだが……
3種類も売っている！
110円、330円、1200円で、もちろん価格が上がるにつれ便利かつゴージャスな商品になっていることだと思われるが、ジェルネイル初心者の私に高価な商品は必要なのかもわからない。
なので、
ぜんぶ買うことにした。
ジェルネイル選びにも一苦労。色は「ムラサキっぽいの」にしようと心に決めていたのだけれど、ムラサキはムラサキでもいろいろな種類のムラサキがある。
「はがせるやつ」とか「ラメ入り」とか「ときめきカラー」とか、本当にいろいろあってメチャメチャ悩む。
それと同時に「45歳のおじさんが、このコーナーでウンウンと真剣に悩むのはどうなのだろう」と、自分の存在についてもメチャ悩んだ。
結局、購入したのは上の商品。リムーバーとか、つまようじみたいなやつとか、アルミホイル（？）とかも必要だとネットのどこかに書いてあったので買ってみた。
ジェルは3種類。アッシュパープルと、ラメ入りパープル、あとは「はがせるジェル」ってやつのグレープ色をチョイス。
ちなみにこの日はポールダンスの発表会前日。晴れ舞台に、テッカテカに輝くジェルネイルで挑もうという魂胆だった。
が！
さ〜て、どの色にしよう……と、その時！
えっ!?
ベースコート、だと……？
カラージェルってのが、これだよな……
こんどはトップコート……？
そんなに道具が必要なのかジェルネイルってのは！ 知らなかった〜〜〜〜〜〜〜!! ていうか、ちゃんとパッケージを読んでから買い物を続けるべきだった!!!!!
時刻はもう夜おそく。とっくにキャンドゥも閉まっている。なので私は、今回のジェルネイルは諦めることにし……
いつものように、オールドスタイル（？）のマニキュアを塗り、
発表会に臨んだ。
お客様たちにネイルの色は見えなかったかもしれない。でも、「いつものマニキュア」が私の心を落ち着かせてくれた。今回はマニキュアでよかったのかも。
そして後日──
ふたたび私（45）はキャンドゥのネイルコーナーでウンウンと悩んでいた。
「ベースコート」や「トップコート」ってのが、いくら探しても売っていないのである。
なんかそれらしきものはあるのだけれど、どこにも「ジェル」とか「UV」とか書いてないので、違うのかも……と手を出せなかった。
結局いろいろ悩んだ末、
「ベース＋カラー＋トップ はがせるジェル」のクリアってのを買ってみた。これが正しいのかは、わからない。でも、もう時間もない。
なぜなら、まさにこの日は、私の “お金をいただくプロのポールダンサーとしてのデビュー戦” なのである。迷っている時間はない。覚悟を決めて、ジェルネイルに挑戦してみた。
まずは「ベース＋カラー＋トップ はがせるジェル」を足の爪に塗りまして……
UVランプ（レジンランプ / ネイルライト）に数分間ほど当ててみると、
ちょっとまだ柔らかい気もするけど、いちおう固まっている。これがジェルネイルってやつなのか……。アレだ、こういう接着剤、持ってる。アレみたいだ。
ちなみに3種類買ったUVランプは、一番高い1200円のやつが圧倒的に使いやすかった。だって、足や手を入れるだけでスイッチオンで、自動的にカウントダウンもしてくれるんだもん。
110円のライトも別の用途（発光前のルミカライトの色確認など）で大活躍。ちょうど真ん中の「330円」のやつが、いちばん使いにくかったので、もしもキャンドゥで買うなら1200円のやつをオススメしたい。
ともあれ、その後は「カラージェル」を塗って、
固めて、
トップコートがわりに、再び「ベース＋カラー＋トップ はがせるジェル」を塗って、
固めたら、
完成！ ほう、これがジェルネイル……！ マニキュアよりも厚みがあるような感じがする。ただ、鮮やかな発色を期待してジェルネイルにしたのに、
足はまあギリセーフとして、
なぜか手は、ものすごく薄味な色味になってしまったのであった。それはまるで薄い色の紫陽花（あじさい）のように。
同じカラージェルを使っているのに、なんで〜？ もしや、色素が沈殿していたり？ よく振ったりしなきゃいけなかった？
いずれにしても、やり直す時間はもうない。私は薄ピンク色の爪のまま会社に行き、仕事をし、蒸し暑い夜にステージのあるバーへ向かった。
そして私は、
プロになった。
お客様たちにジェルネイルの色は見えなかったかもしれない。もっと発色の良い、鮮やかな、ショッキングパープルみたいな色にすればよかったかも……なんて思いながら、翌日、爪をふと見たら、
小指のジェルネイルが剥がれていた。
ジェルネイルって、そう簡単に落ちないと聞いていたけど、自動的に剥がれているとは、「ベース＋カラー＋トップ はがせるジェル」を使ったからなのかしら？
ちなみに他の指も、爪でコリコリとコスったところ、ペロリと簡単にジェルネイルは剥がれた。
まるで桜が散ったかのように。
2025年6月27日のきょう、西日本各地は梅雨明けしたらしい。すぐそこに夏がある。次のネイルは、向日葵（ひまわり）のような、太陽のような、そんな色にしようかしら。
執筆：100均評論家・GO羽鳥（スーパーレイ）
Photo：RocketNews24
▼オールドスタイルのマニキュアを塗る45歳のおじさん。
▼発表会はこんな感じでした。
▼その十数日後、私はプロのポールダンサーになりました。
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