デパートの屋上、それは都会のオアシスであり、幼少期のノスタルジーをくすぐる場所。
そして無料で開放されているからこそ、そのデパートのおもてなしの精神が色濃く現れる場所でもある。
今回、訪れたのは日本でも屈指の老舗デパート・銀座三越の屋上。上から下まで高級品だらけ、庶民の私には縁遠い場所だと思っていたのだが……。
銀座三越の屋上は都内のデパートでも屈指の居心地の良さ! まさに穴場スポットであった。
・インバウンドで賑わう銀座三越
銀座の三越といえば老舗の一流デパート。デパ地下からファッション、インテリアに至るまで高級品しか置いてない……と言っても過言ではない。別に入るのは自由なんだけど、住む世界が違う感じがして気後れする。そんな場所だったのだが……ここ数年は入りやすいかもしれない。
というのも、三越伊勢丹は免税フロアを作るなどインバウンド対応を成功させて売り上げ絶好調。中華圏からのツアー客が数多く受け入れてごった返しているので、よくも悪くも昔のような敷居の高さは感じられないのである。
バブリーにブランド物を爆買いしまくる外国人観光客を横目に、我らの憩い、屋上へレッツラゴン。
・9階にある銀座テラスがすごい
さて、銀座三越の屋上は最上階ではなく9階にある。ただし少々アクセスしづらい。本館のエスカレーターからは9階に登れないのでエレベーターで9階に登るか、新館側のエスカレーターから行くしかない。
アクセスしづらいので、屋上とはいえ高級感漂う場所なのかと思いきや……。
屋内にも屋外にも座れる場所がめちゃめちゃたくさんあって、9階のほとんどが休憩用スペースになっているのだ!!!! ここまで無料で開かれた休憩スペースはなかなかない。
ゆったり座れるソファに、PC作業もしやすい窓際の席、テーブルや椅子があちこちに置いてあって休憩しやすい雰囲気。若干の分かりづらさもあって、人でごった返しているという感じもない。
そして子供連れの人には嬉しい広々とした親子休憩室、オムツ交換室、授乳室、時間利用できる託児所まであるらしい。通路が広いのでベビーカーでも動きやすそう。ちなみに、女性用のトイレも広くて綺麗だった。
・農協おすみつきレストラン&カフェ
ちなみにお手頃グルメの場所としても、銀座三越の屋上はかなり優秀。
JA全農グループがプロデュースする「みのる食堂」と「みのりカフェ」という二つのお店が入っていて、旬の国産野菜や果物を使った美味しいメニューがリーズナブルに食べられるのである。
基本的に、銀座三越のレストランフロアに入っている飲食店は高級なんだけど、ここだけは庶民的な価格。銀座はご飯難民になりやすいので穴場である。
というわけで今回はデパ地下グルメではなく「みのりカフェ」でスープセット(1350円)を注文して、屋上のテラス席で食べてみたぞ。
野菜がたっぷり入ったサンドイッチに、あったかいスープとミニサラダにドリンクまでセットで1350円はかなり良心的だと思う。物価があがりすぎてて1000円台で外食、本当に難しくなってるからね……。
屋上のテーブルも、公園とかによくあるプラスチックの椅子とテーブルじゃなくて、木製なのが温かみがあっていい感じ。
屋上のグリーンと、銀座の景色を見ながら食べるランチは不思議な感じ。右手には三越のマークがどどんと見えるし、左手には銀座のシンボルである和光の時計台がすぐそばに見えるのだ!
9階の銀座テラスは高級デパートというよりも、銀座の憩いの場所という空気が漂っている。ふとまわりを見ると、子供を連れた人がたくさんいて、和やかな時間を過ごしている。屋上をかけまわる子供たちの姿に、昔ながらの家族のおでかけの場所としてのデパートの姿を見るような思いだった。
屋上にはデパートのおもてなし精神が出ると思うけど、このご時世にワンフロアほとんどを休憩スペースにしている銀座三越の懐の広さには恐れ入った。これが一流デパートか。いい時間を過ごさせてもらったので、いつか一生物を買うなら銀座三越で買いたいなあ……なんて思うのだった。
参考リンク:銀座三越
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.
▼銀座三越にもデパートの屋上によくある神社があるのだが……
▼社務所まで併設しているタイプは初めて見た!