宇宙ってロマンだ。

この地球という星の中で生きている限り、空という形でしか接することのない未知の空間。頭上に広がる真っ暗闇に点々と浮かぶ光の粒が、巨大な星だと初めて知った時の衝撃と恐れは今も色あせない。

──そんな「宇宙」の名前が付けられた芋、「宇宙イモ」をご存じだろうか。

・宇宙芋

その芋を発見したのは、とある産直ショップの野菜売り場。白菜やしいたけなどと一緒に「一般的な野菜ですよ」みたいな顔をして並べられていた。

それが「宇宙イモ」。


「芋2つが300円かぁ……って、いやいやちょっと待って、宇宙ってなに!?」発見した時の第一声はこんな感じだった。しかもよく見てみると、じゃがいも・さつまいもといったポピュラーな芋とはまとうオーラが異なりちょっと禍々(まがまが)しい。

後ほど調べてみたところ、東南アジア原産でムカゴの仲間らしい。(ムカゴとは、山芋などの葉の付け根にできる「球芽」と呼ばれる実のこと。炒って塩をかけると美味しい)


開封してヘタ側から見ると、歪なハートを2個つき合わせたような形。


裏側から見ると、ペチャンコの平面的な形。

どちらも黒っぽい皮にベージュ色のブツブツが付いていて、ちょっと気持ち悪さを感じる。宇宙っていうより隕石みたいな印象を持ったのは、きっと筆者だけじゃないだろう。

芋だと言われなければ とても食べられるようには見えないや。



・茹でて食べてみた

初めて見る野菜なので、どう調理するのが正解かわからない。とりあえず茹でてみようかしら。


──ところが20分後。

筆者の手元には、煮汁がどす黒く変色した鍋があった。

どう見ても泥水の色、茹でる前にちゃんと洗ったのになぁ。もしかしたらアクが強いのかもしれない。


ホカホカと湯気のあがる宇宙イモを取り出して、


カット。

中身の色は、じゃがいも「インカのめざめ」ぐらいのイエロー。白っぽい繊維が張り巡らされているのがわかる。


まずはシンプルに塩をかけて食べてみよう。お味は……

う~ん、エグみが強いっ!


芋だからホクホクしているのかと思っていたら、想像とは大きく違った。水分量が少ないのに粘り気があって、渋みと苦味、青臭さもある。気のせいかな、後味までピリピリする。

例えるならば “野生化した里芋” って感じだろうか。この際ハッキリと本音を言ってしまうと、美味しくはない。


しかし、コレは筆者の調理方法が悪いのかもしれない。里芋っぽさが感じられるのであれば、醤油と砂糖で煮込むことで本領を発揮する可能性がある。



ってなワケで、実際に煮てみた。

もはや宇宙っぽいオーラは一切なくなったが、茹でただけの時よりも確実に美味しい。

エグみや青臭さが甘みで上書きされ、水分量も増えてホクッとした食感も増した。里芋に一歩近付き、これならブラインドで食事に出てきても、「食べたことない芋だな?」という疑問を感じつつ最後まで食べ切るだろう。


しかしながら、後味の苦味は消えず。例えるならばツクシの佃煮のような味と香りが口の中に最後まで残る。個体差もあるのかもしれないけど、めったに見かけない野菜だから比較は難しい。

我慢できる程度ではあるけど、里芋という上位互換が存在する以上 わざわざ宇宙芋を選ぶ必要はないのかなぁ。

結論、宇宙イモは「一度食べたら十分」かもしれない。味よりも経験、幸せよりも好奇心という方はレッツチャレンジだ!

執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.