高級なパン屋が増えている。食パン、カレーパン、クリームパンなどなど、その勢いはとどまることを知らない。

『神戸にんにくや』もそんな高級パン屋のひとつ。売っているのはガーリックトースト。しかも他のパンを売らず、単品で勝負をかけているというのだから男気を感じてしまう。

ところがこのガーリックトーストが、パッと見でわかるほどに様子がおかしいのだ。まずはこちらを見ていただこう……

コレが店頭に置かれていた見本品だ。

通常ガーリックトーストといえば、ニンニクを混ぜて味と香りを付けたバターを塗ったトーストのことをさす。

しかし神戸にんにくやの『プレミアムガーリックトースト』は、どうやら “バターの味と香りを付けたニンニクをパンの上に載せたもの” らしいのだ。


・懐かしのレストラン『神戸にんにくや』

初めて見た時は「エグくない?」と引いたのだが、このパンにはルーツがあるらしい。

皆さんは、西日本を中心に人気を集めつつも、2011年に全店閉店してしまったニンニク料理専門店『神戸にんにくや』をご存じだろうか。

言われて思い出したのだが、そういえば筆者も子供の頃に行ったことがある。当時ニンニク大好きキッズだったため、ニンニクまみれのメニューに大喜びして「また行きたい~!」と親にねだった記憶が呼び起こされた。


ワタリガニのクリームソーススパゲティや、ニンニクの丸揚げといった中毒性の高いメニューでニンニク好きから愛されていた同店。中でも一番の人気メニューだったのが、ガーリックトーストなのだそう。

神戸にんにくやが閉店した後もお客さんから「もう一度ガーリックトーストが食べたい」という声があり、2021年に専門店として復活したのが現在の神戸にんにくや。そして、看板にして唯一の商品が『神戸プレミアムガーリックトースト』なんですって。


ちなみに今回筆者が訪れた店は、大阪の阪急三番街の地下2階『クワトロ・ナポリ』の一角にある。


メニューはオリジナル味(レギュラーサイズ1個 税込626円、プチサイズ4個 税込950円)とたらこ味(レギュラーサイズ1個 税込680円、プチサイズ4個 税込1004円)。

購入時は「パンにしてはちょっと高いな」と感じてしまったが、後ほど食べてみたところ納得。かなりこだわりをもって作られた、まさにプレミアムなガーリックトーストなのだ。


・笑っちゃうほどのニンニク感

今回はオリジナル味とたらこ味のレギュラーサイズを1個ずつ購入した。

店頭で見た見本から一寸の違いもなく、フランスパンの上にこんもりとニンニクが積まれているものだから笑ってしまった。


そもそもパン自体のサイズが大きく、筆者の拳の半分ぐらい。


それに対して最大2.5cmの高さでニンニクが積まれていると言うと、この異常さが伝わることだろう。

一見するとインパクト重視で作られたネタ商品のようだが、使用されているのは青森産ニンニク・淡路島産玉ねぎ・北海道産発酵バターというこだわりの食材ばかり。これは期待ができそうだ!


テイクアウト客専用に、自宅での焼き方の説明書も付属していた。


それに従って まずは20秒ほど電子レンジで温め、


パンがカリッとするまでトーストして、


あっ、ヤバッ!


………………。


まぁ、大丈夫でしょう。


最後に、フォークで上からグサグサと刺してパンの中にニンニクを押し込む。

これが面白くも難しく、もはやペーストってほど細かくみじん切りにされたニンニクがホロホロと落ちて、なかなかパンの中に納まってくれない。


1分ほどトライしたが、筆者にはコレが限界でした。


あとは切り分けてもヨシ、そのままかぶりついてもヨシ。

独り占め気分を味わうため、今回は丸ごとガブッとかぶりついちゃったぜ!


予想外だったのが、これだけ量があるにも関わらず臭みや辛みといったキツさがなかったこと。ホックリとしていて甘みがあり、旨みも強い。

玉ねぎが混ざっているってコトもあるかもしれないが、甘みとマイルドさは国産ニンニクの特長なのだそう。味としてはいわゆるガーリックバターなんだけど、過去に食べてきたものと比較すると断然ホッコリするテイストだ。

しかし だからといって物足りないわけではなく、具材が多い分パンチもしっかりと感じられる。ジュワッと染み出すバターも合わさって、完全に中毒性がある食べ物に仕上がっているのだ。

さすが神戸にんにくやのDNAを受け継いでいるだけあるぜ!


なお食べ終わって気が付いたのだが、胃の底からは信じられないほどのニンニク臭が漂っていた。食べている時はあんなにマイルドだったのに……。

この後人に会う予定がなかったからよかったものの、ブレスケアとか牛乳とかで抑えられるレベルはとうに越えている。ドラキュラなら息をかけるだけで即死しそうなレベルだ。

こりゃ、ひょっとしたら翌日まで引きずるかもしれない。休み前の夜にしか食べちゃダメだね……。


・たらこ味はおつまみにGOOD

オリジナル味に続いてたらこ味もグサグサグサグサ!!!!


2回目となるとちょっと上手くなった気がする。

コツは1回1回丁寧に、具材をフォークで捕まえながら押し込むこと。それでもまだ半分以上がパンの上に残っているのだから、プレミアムガーリックトーストマスターへの道は遠そうだ。


たらこ味はオリジナル味に比べると塩っけが強く、ワインのおつまみによさそうだ。

とにかく怒涛の具材量で、ひと噛みごとに口いっぱいのたらこがプチプチとはじける食感。こんなに一気にたらこを頬張ることなんてめったにないから、贅沢な気分になれるね。


ぶっちゃけオリジナル味で口の中が既にニンニクに染まっていてわからないんだけど、具材のフワフワ&シャリシャリ感から察するに、相当な量のニンニクが入っているようだ。

たらことニンニクの旨みがバターに混ざってジュワ~ッと染み出し、幸福感にドーパミンまでジュワジュワ出てくる。

食べた直後はお腹いっぱいで満足したとしても、半日後ぐらいに思い出してまた食べたくなる。とにかく中毒性の強い食べ物だ。普通の明太パンで満足できない人は食べるべし!


今回は大阪の店舗で購入した『神戸プレミアムガーリックトースト』だが、運営会社に問い合わせたところ、イオンモール岡山アミュプラザ鹿児島にあるクワトロ・ナポリでも提供しているということ。

かつて『神戸にんにくや』に通った方、もしくはニンニクが好きすぎて “究極のガーリックトースト” を求めている方は是非挑戦してみてほしい。

ただし、当日~翌日は絶対に仕事を休んで誰とも会わないで! 口が笑っちゃうほど臭くなってしまった筆者とのお約束だ。

参考リンク:クワトロ・ナポリ店舗一覧
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.