知らない街へ行くと、私は必ずスーパーをのぞいてみる。特産物、ご当地商品、地元の人が愛するグルメ、その裏に潜む県民性など様々なものを垣間見ることができるからだ……ま、簡単に言うと “ネタ探し” ですね。
先日、茨城県の水戸市を訪れた私は軽い足取りで友人の指定したスーパーへ向かった。この友人は茨城出身・水戸在住という純度100%の茨城者。彼女の協力をもってすれば、茨城スーパーでネタの5つや6つは簡単に集められてしまうだろう。
と、思ったのに……!
・茨城マジで特色ない説
友人が「水戸のご当地スーパーといえばここ」と案内してくれたのは『フードスクエア カスミ』というチェーン店。
うおぉ、いかにもご当地っぽいムードをギンギンに放っているな〜! 友人は「茨城には変わったものなど何もない」と言ったが、実はそう思っているのは地元民だけ。どんな辺鄙なところでも、必ず何か特色があるものなのだ。
私の長年のスーパーめぐり経験値に基づくと、ご当地スーパーでまず行うべきは「惣菜コーナー」を物色すること。そこからパンコーナー、お菓子、麺類の順でパトロール。調味料も意外とアツいぞ。
30分後…………
これ、マジで何もないかもしれない……?
・ネタとして弱すぎ問題
そこから私が水戸市内のスーパーを3軒ハシゴした結果、なんとなく見えてきた特色は以下の3つ。
①納豆がいっぱい売ってる
②チョコレートがいっぱい売ってる
③ビスケットがいっぱい売ってる
②と③に関しては、この日たまたまチョコとビスケットがセールだっただけという可能性も大いにある。となると、水戸のスーパーの絶対的特色は「納豆がいっぱい売ってる」だけということに……? いや、そんなハズは……!
もちろん水戸名物らしきお菓子とか、おいしそうな地酒が売られていたりはした。しかしながら、それが記事にできるほどのネタなのかというと、ちょっと、そういう感じではないのかもしれない雰囲気だった。
ちなみに友人のオススメは『一品』というお酒。とってもおいしかったです! ……以上!
・エグい! 『茨城 けんちんそば』
そんなこんなで、私がどうにか東京へ持ち帰った “茨城っぽいもの” は……
『納豆チップル』と『茨城 けんちんそば』の2つという結果に。
この『茨城 けんちんそば』(凄麺)は新商品らしく、スーパー内に特設コーナーが設けられていた。価格は246円(税込)。
かやくが2袋に液体スープ。お湯を入れて5分待つ。なお『けんちん汁』は日本全国で食べられているが、『けんちんそば』や『けんちんうどん』だと茨城の郷土料理、という扱いらしい。
インスタントなのにレンコンやサトイモが形をキープしているのはスゴイと思う。初めてのけんちんそば、いただきま〜す!
レベル高ぁぁぁぁああ!!!!!!!
実は私、数あるカップ麺の中で一番好きなのがマルちゃんの『緑のたぬき』。でも、だからといって、アレはあくまで “インスタントの特有のジャンクさ” がイイのであって、「本物のソバみたい」と思って食べているワケでは決してない。
それに対して『茨城 けんちんそば』。これ、言われなければインスタントだと気づかないと思う。いやガチで。冗談抜きで。ソバのコシもさることながら、レンコンのシャキシャキ感、イモのネットリ感、豆腐の妙な濃厚さ……どれをとってもハイクオリティ。不覚にも『緑のたぬき』の食いすぎで、カップそばがこれほど進化していたことに全く気づいていなかった。
私は西日本出身者なので、関東の醤油っからいソバツユは本来あまり好みではない。でもコレは醤油が確かな存在感を放ちつつダシがよ〜く効いて、インスタントであることに気づいてもなお「素材の旨みがよく出てますね」って言っちゃう系だ。ベタ褒めである。
・納豆チップルとは
さて、つづいて問題の『納豆チップル』。
これは茨城が生んだロングセラースナック『ハートチップル』の姉妹商品。茨城っぽさが10倍強まった反面、怖さも10倍。
と、ここで面白いことが判明した。編集部内で千葉県出身のサンジュン記者をのぞく全員が「ハートチップルなんて知らない」と発言したのである。かくいう私も上京して初めてハートチップルの存在を知ったクチ。関東を中心に流通しているのだろうか。
で、問題の納豆チップル。恐る恐る開封すると……
「ボェ〜〜〜〜!!!」と、ジャイアンのリサイタル以外ではあまり登場しそうにない声が思わず口をついて出た。くさい。死ぬほど納豆の匂いがする。
ここまできといてアレだが、実は私、納豆があまり得意ではない。よって砂子間記者(普通の納豆好き)に感想を求めることにしよう。
砂子間「ボェ〜〜〜〜!!! ……すごく思い切った納豆の味と匂いだね。粘っぽさもあって、納豆の再現度はすごく高い。納豆好きにはたまらないんじゃないかな? 納豆嫌いなら絶対にやめたほうがいいと思うけど……!」
・茨城愛しています
最後に少しだけ超個人的な話をさせていただくと、この日ライブへ行く目的で水戸を訪れていた私は、一般的な感覚だと「あまり関わりたくない」と思われても仕方のないファッションに身を包んでいた。
ところが驚くべきことに、私は道ゆく水戸市民たちに「カワイイ」と声をかけられまくり、果ては写真撮影まで求められるという熱烈大歓迎を受けたのである。ヤンキーが多いことで知られる茨城は、奇抜系ファッションに寛容な県民性なのだろうか?
なお『茨城 けんちんそば』の特設コーナーでも、私は「カワイイから」という理由でノートをもらった。自分と茨城県民との相性がバツグンに良いことが判明し、すっかり茨城を好きになってしまった私。また茨城の記事を書きたいので、茨城のみんな、なんかいい感じのネタがあったら教えてくださ〜い!
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
▼茨城の干し芋がおいしいことはよく存じております