「うどん県」の異名を取る香川県に続き、全国2位のうどん生産量を誇る埼玉県。決して私が言っているワケではないが、埼玉生れ埼玉育ちの友人は「埼玉が日本で1番メシがマズい」とうそぶいている。

その友人から「でも埼玉はうどんだけはウマいんです」とオススメされたことをきっかけに、私がハマりつつあるのが「武蔵野うどん」だ。今回は埼玉県ではかなり有名だというローカルチェーン『武蔵野うどん 竹國』に出かけてみたのでお知らせしたい。

・埼玉のうどん事情

埼玉県のうどん文化で特徴的なのは、複数のうどんが混在していること。例えば香川県といえば「讃岐うどん」一択であるが、埼玉県は「加須うどん」「熊谷うどん」「こうのす川幅うどん」など、いくつものうどんが共生しているのだ。

武蔵野うどんもその中の1つで、元々は埼玉県西部と東京の多摩地区が発祥の郷土料理である。その特徴は「非常に強いコシ」で、これまで食べた武蔵野うどんは「アゴが壊れそう」「歯が砕けそう」というほど硬かった。

……が、その硬さが最高ォォオオオ! 結果的に私は武蔵野うどんにハマりつつあり、先日も生粋の埼玉人に連れられて「さわだ」「久兵衛屋」そして今回ご紹介する『竹國』の3軒をハシゴしてきた次第だ。

・竹國

さて、友人いわく『竹國』は「おそらく埼玉では知らない人はいないローカルチェーン」とのこと。ただし友人は「最近まで埼玉ローカルだとは知らなかった」と言っていた。

また、昔からあった「久兵衛屋」に対し『竹國』は「比較的近年になってから増えてきたチェーン店」らしく「山田うどん・久兵衛屋・竹國」の3つが「埼玉三大うどんチェーン店(友人調べ)」とのことである。

調査によると『竹國』は、愛知県の一部地域や東京の飯田橋に店舗を構えているものの、やはり多くは埼玉県内に出店していた。総店舗数は20以上で、中には食べ放題を実施している店舗もあるようだ。

その硬さに衝撃を受けるかと思いきや、意外と優しい顔もある武蔵野うどん。さらに言えばそこまで硬くない武蔵野うどんとも出会った。果たして『竹國』はどんな武蔵野うどんなのだろうか?

・いざ実食

というわけで、休日の昼どきに人生初の『竹國』へ。当然のように店内も駐車場もほぼ満杯で、埼玉県民のうどん愛を感じずにはいられなかった。どうやら友人の言うとおり、竹國は人気のローカルチェーンらしい。

また『竹國』のうどんは「1kgの特盛まで無料」とのことだが、だからと言って若い人ばかりではなく、老若男女問わず幅広い客層が印象的だ。注文したのは1番人気だという肉汁うどん(850円)である。

で、やってきたうどんは、2本のうどんが繋がって平べったくなっているような……? いずれにせよ見たことが無い独特のフォルムだが「打ち立て茹でたてで提供」が竹國流のようだ。

さっそく食べてみると、硬さは過去に食べた武蔵野うどんの中では「そこそこ」といった感じ。もちろんやわやわなうどんではないが、知らずに食べたら「ちょっと硬めのうどん」としか思わないかもしれない。

一方で「のど越しの良さ」「チュルッと感」に秀でており、私の “武蔵野うどんデータ” には無かった要素である。つけ汁もどちらかと言えば濃いめで、こちらも「つけ汁は基本薄め」と思っていた私のデータとは相反していた。

とはいえ肉汁うどん自体はとても美味しく、ぺろりと完食。お世辞抜きで「近所にあったらいいなぁ」と感じた次第だ。ついでも友人オススメの「おでん」や、バカでかい「シイタケの天ぷら」も美味であった。

・迷路へ

結果的に「硬さこそがウマさ」だと思っていた私の武蔵野うどん観は『竹國』や「さわだ」「久兵衛屋」などを経て、迷路に迷い込んだと言っていいだろう。もう、何が正解なのかよくわかりません……!

とはいえ、この幅広さこそ元々が「郷土料理」だった証であり、埼玉うどん文化の豊かさなのかもしれない。「日本一メシがマズい」と聞く埼玉県だが、うどん文化に関しては底が知れないと感じた秋の午後であった。

参照元:武蔵野うどん 竹國農林水産省ちょこたび埼玉
執筆:P.K.サンジュン
Photo:Rocketnews24.