先日原宿を歩いていたときのことだ。少し調べたいことがあって、いくつかの洋服屋さんを回っていたところ、私(佐藤)は不意にある欲求に駆られた。

「腹が減ってきた……」

孤独のグルメ』の井之頭五郎ごとく、抑えがたい空腹に立ち尽くしてしまったのである。幸い、すぐ近くに以前から訪ねたかったお店があることを思い出した。その店「ブリティッシュ インディアン カフェ1930」でも南インドのクレープ「ドーサ」を食べられる。

利用してみたら、今まで食べたなかで1番上品なドーサを味わうことができた。

・1930年代のインド

お店はJR原宿駅から徒歩約10分。竹下通りを抜けて竹下口の交差点を渡り、旧渋谷川遊歩道路を北に向かって進んで、渋谷保育園前まで来ると、真っ赤な建物が見えるはずだ。


ここでドーサを食べられることは把握していた。私のドーサリストにもその名前が入っているというのに、原宿ででの調べごとに夢中でお店の存在をすっかり忘れていた。その調べていることについては、また別の記事で……。


さて、店内はインド料理店らしからぬ西洋風の佇まい。それもそのはず、ここは1930年代のイギリス統治下のインドのスタイルを再現しているからだ。それゆえ店名に「1930」と入っている。

とはいえメニューを見ると、ナンもドーサもちゃんとあります


フルーツランチセットやベジタリアン(アボカドサラダ)セットは、インド料理店にしては珍しいかも。ベジタリアンメニュー自体はヨソにもあるけど、このセットに含まれる15穀米はあまり見ないな。


そういえば、表の看板にはデザートドーサもあった。「キャラメルドーサ」が気になったけど、ランチメニューに記載がなかったので、お昼は出していないのかも。


とにかく私はいつものマサラドーサ(マサラドサセット 税込1200円)を食べるとしよう。それから英国式インドのインド料理店なので、ドリンクセットで紅茶(+税込300円)も注文しておいた。



・上品な味

これがこちらのドーサです。かなり長いけど、私の目測では50センチはないなあ。何度もドーサを食べていると、50センチ超えてるかどうかは、ひと目でわかるようになるんだぞ。


アプリで測ってみると、44センチです。


長すぎるドーサを何度も見ていると、感覚がマヒして多少のことでは驚かないけど、これでも十分長いですよ。こんなに長い食べ物は他国の料理になかなかないもんね。


付け合わせはサンバル(野菜のスープ)とサラダだ。ドーサといえばチャトニ(チャツネ)がついてくるのが定番だけど、ついていなかった。それからカトラリーにフォークとスプーン、ナイフまでついている。ナイフが出てきたのも初めて。


店の雰囲気同様に品の良さを感じる。これもイギリスの食文化の影響を受けて、洗練されたのかも。


だいたいどこで食べてもドーサの味に大きな違いはないんだけど、サンバルは店によって微妙に異なっている。ここの場合は、メニューに「スープカレー」と記載があったので、かなりカレー寄りの味付けになっている。


よそではもっとスープ寄りで、味が薄目ということも珍しくない。


ドーサは表面パリパリで食感はモッチリ。どちらかといえばモッチリ強めの粘りのある生地をしている。


中のマサラ(じゃがいもの炒めもの)は、じゃがいもがサイの目切り。食感がしっかりしていて美味しい。じゃがいもをすり潰して出す店もあるけど、どっちもアリだな。


見た目もさることながら味付けも落ち着いていて、全体的に上品な印象を受けた。もしかすると、当時のイギリス人には伝統的なインドの味は刺激的すぎたので、優しい味に進化したのが、ここの味付けなのかもしれない。



シメの紅茶を飲むと、さらに落ち着いた気持ちになった。


船堀の「ゴヴィンダス」のようにデカいドーサにライスまで付いて来る、ワイルドなスタイルもいいし、ここのように上品なスタイルもいい。とにかくドーサはどこで食っても美味しいので、未体験の人はぜひ一度食べてほしい。ナンにはもう戻れないぞ!


■ドーサ長さランキング(実測分)

1位 54センチ 南インドキッチン虎ノ門ヒルズ店(港区虎ノ門)
2位 51センチ ゴヴィンダス(江戸川区船堀)
3位 46センチ ゴングル南青山本店(港区南青山)
3位 46センチ アーンドラダイニング渋谷(渋谷区宇田川町)
4位 45センチ ルシ インドビリヤニ蒲田店(大田区蒲田)
5位 44センチ ブリティッシュ インディアン カフェ1930(渋谷区神宮前)


・今回訪問した店舗の情報
店名 ブリティッシュインディアンカフェ1930
住所 東京都渋谷区神宮前3-27-7
時間 11:30~22:00(L.O.21:00)
定休日 なし(12月31日、1月1日)

執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

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