ロケットニュース24

一目惚れして思わず即ポチした「ソ連製のミリタリー風ウオッチ」がカッコよすぎた…けども買ってはダメだった

2024年10月18日

オンラインショップを開いては珍しい時計を探す毎日。正気の沙汰ではない。

でもね、色とりどりのちょっと珍しい時計を見ると心が躍ってしまう。もちろん購買欲求がこみ上げる。

──この度めっちゃカッコよさそうな腕時計を見つけたのでね、なんでも「ソ連製」だとか……!

・いい買い物かと思いきや……

Ebayでものすごくシンプルで渋い見た目につられてポチってしまった。どうやらソ連時代に作られた腕時計らしい。

1ヶ月という自分にとっては凄く長い時間を経てやっと手元に届いた。この日をどれだけ待ち望んでいたか

発送元はウクライナかぁ……しかし、すごい遠いところからインドネシアまで来たもんだ。

待ちきれないのでさっそく開・封!

おおお……(感動と驚き)。


腕時計はひとまず置いといて、言語オタクの心が反応したこの1枚の紙はロシア語で書かれた「パスポート」である。

「パスポート」と言っても説明書で、腕時計に関しての情報と注意事項が書かれている。俺はこのときのためにキリル文字を勉強したんだ。購入日付を入力するところもあるので、これは購入証明書でもある


そんで待ちに待った今日のゲストスター、その名も「ポベダ・2602」だ。「ポベダ」はロシア語で「勝利」という意味、なんとなく「セイコー」感あるね。

黒い文字盤とストラップ、レール状のインデックス、サンセリフの数字、スモールセコンド……めっちゃかっこいい!! これよ、このシンプルさが欲しかったんだ。


ムーブメントはソ連製手巻型機械式「ジム・2602.1」かな。正確なことはわからないんだけど、1979年ぐらいから導入されているっぽい。

駆動時間約36時間、手動巻き、石数15個、耐衝撃性はなし。安い値段で製造、購入ができたのでソ連時代はこのムーブメントを使った時計が結構出回っていたらしい。

ただ、このソ連時代に作られたムーブメントを使用してても、時計自体がソ連時代に組み立てられたわけではないことが多い。

調べたところ、他の時計のパーツを使ったり、寄せ集めのパーツで組み立てたソ連時代にはなかった腕時計……業界では「フランケン・ウォッチ」と呼ばれているやつだ。

ムーブメントは確かにソ連製だけど、腕時計全体を見るとソ連製なのかというと、「うん……」ってなる。別に見た目は悪くないけど歴史はない。

この時計はどうなのかというと……まぁ状態からしてソ連時代に組み立てられた腕時計には見えないかな。「新品」って書かれていたほどだし、当時のカタログを見る限りこのような時計はなかったし。


まぁそのあたりを踏まえた上で、我に返って時計を眺めてみる。このムーブメントは意外ときれいだよねぇ……反復運動を繰り返すテンプ、表面の「ジュネーブ・ストライプ」風加工……悲しいけど美しい。

ただ、Ebayとは使われているムーブメントが違うんだよね。Ebayの方ではおそらく製造年が自分のよりもっと前のムーブメントを使っているっぽい。


さて、サイズは……ケース直径34ミリ、足幅18ミリ、全長42ミリと自分が思ってたよりずっと小さかった。友達が「これ女性用じゃない?」と疑うほど、レディースサイズである。

いや、小さいとかどうでも良い。とりあえず今すぐつけてみたい。というわけで、今までつけてたのがこの前回の記事で組み立てた腕時計だ。自分で組み立てて以来ずっと使ってる。

こいつには一旦腕から降りてもらおう。お客さんが待ってるから。てか腕時計の跡やばいな、あと日焼けもやばいな。


うわぁちっこい! あと結構薄い!

確かにちっさいけども、男性がつけてても別に変じゃない。何より薄いし軽いから楽だ。

視認性も悪くない。針は結構デカく、数字もハッキリと白いのは見やすいかな。針と数字は暗いところで光るので暗闇でも難なく見ることができる。

このオフセンターな秒針がちっちゃいし、何も遮らないのでなんだかスッキリとしている。「うるさくない」っていうか。ただし、日差は1日−50秒から−35秒ぐらいと最悪レベルだった。



・まとめ

ソ連かぁ……ソ連時代ね……。

ちなみに調べてみるとこの時計は第2次世界大戦時、イギリスの国防省が発注したイギリス兵用腕時計、通称「ダーティ・ダズン」腕時計のオマージュだと思われる。このデザインはまさに「ダーティ・ダズン」の腕時計とそっくり。

当時のソ連は英国と仲間国なので、当時のソ連が同じような腕時計を作っていた可能性も高い……が、戦争時代の物とは思えない状態の良さ。やはりただのオマージュ時計だろう。

うまい話には裏があるってやつなのかな。なんだかいろいろ勉強になった。

というわけで、Sampai Jumpa Lagi!


執筆:アキル
Photo:RocketNews24

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