ストリートファイター6の配信の盛り上がりで格闘ゲームが再び熱を帯びている今日この頃。格闘ゲームは、私(中澤)が子供の頃にゲーセンに登場したものだが、それ以来連綿と続いてきた歴史があるからこその今だと思うと、大会の優勝の瞬間とかマジで胸が熱くなる。
そんなスト6ではテリー・ボガードの参戦が話題だ。テリーと言えば、言わずと知れた『餓狼伝説』の主人公。格ゲームーブメントでカプコンと双璧を成したSNKからのキャラ参戦は90年代チルドレンならザワつかずにはいられない。スト6でも「バーンナッコォ!」が響き渡るのか。
そこで素朴な疑問を覚えた。そう言えば「バーンナッコォ!」の「バーン」の部分って、あれ何やってるの?
・バーンの部分
今さらにして思ったのだが、格闘ゲームの必殺技って基本技の出までに無駄な動きをする技が少ない気がする。おそらく、技の出の前に隙を作るとつけこまれるからではないかと素人ながら予想するのだが、バーンナックルは「バーン!」の部分で立ち止まって両手を広げる。
元気でも集めているかのようなその姿勢。ドラゴンボールの悟空の元気玉と同じく、その瞬間は隙だらけに見える。なおかつ技の出も悟られるため、子供の頃、ゲーセンで見ていて同じ疑問を覚えたことを思い出した。
今になって改めて考えると、この必殺技は明らかに異質である。もしかして本当に元気集めてるのかな?
・ネットの説
そう思い調べてみたところ、このポーズをとることで「気を解放している説」、「気を溜める呼吸法説」などがヒットした。説が存在すること自体に驚いたのだが、とは言え全て「~といわれている」という感じ。時代を感じずにはいられない。
事実、ゲームによっては弱Pだとバンザイせずにナックルするものもある。気、出てるやん! じゃあ、何のためにテリーはバンザイしてるのか……?
考えれば考えるほどに謎は深まるばかり。そこでダメ元でSNKに問い合わせてみたところ、なんと返答があった。嘘やろ!?
・当時の開発を知る人
この謎について回答してくれたのはプロデューサーの小田泰之(おだやすゆき)さん。『KOF XIV』『SAMURAI SPIRITS』『KOF XV』など、現在SNK格闘ゲームのプロジェクトを統括している人物なのだが……
なんと、そんな小田さんは1993年SNKに入社し、『餓狼伝説』や『龍虎の拳』シリーズなどの開発に携わっているという。当時のガチ開発者からの回答が来た……!
なお、私が投げた質問はズバリこうだ。「バーン・ナックルの手を空に掲げる動作は何をしているんですか? 意味があるのかないのか教えてください」。我ながら、核心しかついてない。さあ、今から30年の謎に決着をつけようじゃないか。これに対する小田プロデューサーの回答が以下であった。
小田泰之さん「特に意味はなく必殺技を出すときのカッコつけというか、バーン!って感じをイメージして生まれたポーズです。格ゲーの対戦がブームになりゲームスピードが速くなっていったため、徐々に目立たなくしたり、なくしたりしました」
▼餓狼伝説2開発時のラフ
▼餓狼伝説3開発時のラフ
──というわけで、どうやらハッキリ答えが出た模様。特徴的なポーズゆえに、まことしやかに説が語られている「バーン!」の部分には、特に意味はなかったことが判明した。
・いつだって「バーンナッコォ!」が響いていた
その誕生秘話には当時の勢いが感じられる。そして、そんな勢いがあったからこそ、バーンナックルは異質な必殺技となり、テリーという存在と共に我々の心に突き刺さったのかもしれない。もはや餓狼伝説と言えばバーンナックルと言っても過言ではないだろう。
我々の記憶の中にはいつだって「バーンナッコォ!」が響いていた。そんな餓狼伝説の新作が2025年4月24日に発売される。その名も『餓狼伝説 City of the Wolves』。
PlayStation4、PlayStation5(デジタル版/パッケージ版)、Xbox Series X|S、Steam、Epic Gamesストア(デジタル版)での発売となる本作。すでにトレーラーも第3弾まで公開されているのだが、第3弾トレーラーの実際の格闘シーンに切り替わるド頭がまさにバーンナックルから始まる。両手を天に掲げる動作は今作もしっかり継承されていた。
やっぱり格ゲームーブメントに餓狼伝説は必要でしょ! KOF(キング・オブ・ファイターズ)は新作が出続けていたので、キャラ自体は生きていたけど、本シリーズの新作が発売されるのは26年ぶり。狼、目覚める。本記事を読んでいてテリーの声が脳内再生された人はぜひチェックして欲しい。
参考リンク:餓狼伝説 City of the Wolves
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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