ぎょうざの満洲。キャッチコピーは「3割うまい」。
完全に意味不明な言葉であるが、実はしっかりとした意味が公式HPには書かれており、要約すれば、
「安くて美味しい食事が、安心して食べられる店」
とのことである。ちなみに「社歌」まで掲載されているので、公式HPは要チェックだ。
そんなぎょうざの満洲の「チャーハン」は……
税込550円。たしかに安い。前回「天下一品」は税込610円だったので、金額的には「1割安い」計算となる。
ちなみに……
餃子をつけると870円。迷う。かなり迷う。なぜなら、ぎょうざの満洲の餃子は、100日間連続で餃子を食べ続けた私であっても「うまい!」と思える一級品の餃子だからである。
でも。
セコくも経費で食べさせてもらう身分がゆえ、会社のことも考えて、550円のチャーハンだけをオーダー。
いやむしろ、これで良かったと感じる。なぜなら今回の目的は、あくまでもチャーハン。
チャーハンと向かい合う時は、できるだけ1対1のタイマンでありたい。
チャーハンと私の真剣勝負でありたい。
そう思うストイックな自分もいる。
そんなこんなで注文してから7分後──
厨房から激しく聞こえる「カンカン音」をバックに……
チャーハン選手、テーブル・イン。
ほっほ〜……。今日はけっこう、クラック(亀裂)気味だな……。
というのも!
実は私、この日の8日前にも、ここ「ぎょうざの満洲(荻窪店)」でチャーハンを食べていたのである。(どんだけ〜)
──余談ではあるが。
よく「中華チェーン店は、店舗によって味のばらつきがある(というか、ばらつきが激しい)」と言われている。
厨房から「カンカン」が聞こえる、つまり手作りであるのだから、そんなのは当然のこと。
「チャーハンロボ」でない限り、店舗どころか、同店舗の「作り手」によっても味は全然変わると私は思う。
なぜならチャーハンという料理は、油の量、塩加減、調味料の量、炒(チャオ)パワー……さらに他の様々な要素が融合し出来上がった、非常にデリケートな作品であるのだから。
だが!
それでいい……。
それでいいのだ。それを私は楽しんでいるフシもある。今回のチャーハンは、前回のチャーハンと違う可能性もあるというスリル&発見。
だってここは、寸分違わぬ味を作り上げる超一流の中華料理屋ではなく、安く気軽に食べられるチェーンの中華屋さんなのだから。
ならば、一期一会のチャーハンでも良いではないか。
いやむしろ、それを楽しむのも、“チェーンのチャーハン” の楽しみのひとつであると私は思うのだ。
私は今後も、その時に吹く風のような、その時に作るチャーハンがその料理人の最高峰のチャーハンであろう “その瞬間のチャーハン” を味わっていきたい。
〜余談おわり〜
さてさて、余談が長くなってぎょうざの満洲のチャーハンのことを忘れかけてしまったと思うので、あらためて俯瞰(ふかん)的に眺めてみたい。
チャーハンはドーム型のカッポリ系、相棒はタマゴ入りの白っぽいスープ。しかし最大の特徴は「大根のお漬物」であろう。
ちなみに、今回のはそうでもないが、前回のチャーハンは、なんとなく少し量が少ないように思えた。
具は、たまご、ネギ、チャーシューの基本セットに、「なると」が入る日本式。
して、そのお味は……
味付けしっかり!
いや!
薄いかも……?
いや……!
──ともあれ、非常にオーソドックスなチャーハンである。チャーハンという名のストライクゾーンがあったら、球審が気持ちよく「ストライク!」と叫ぶくらいのド真ん中。
というか……
今回のチャーハンは、味付けにブレがある。「店舗によって」や「作り手によって」どころか、「チャーハンの部位によって」味が変わっている。
しっかりのところもあれば、やさしいところもある。つまるところ、ブレがある。恐ろしいまでのブレ球(ナックルボール)であり、それは “チャーハンとしてどうなのか” とビデオ判定に発展しそうな問題であるように思えるが、
それがまた人間らしい
──と、ことチャーハンに対しては寛容な私は、余裕ある優しい気持ちで “味のブレ” すらを楽しんでしまうのであった。
ちなみに、スープの味も優しい系。たまに「しっかり」しつつも、基本「やさしい」チャーハンとの相性は抜群。
そしてそこに、「大根のお漬物」が箸休め的に入ってくる。
やさしい。
なんて人間的かつ、家庭的な “やさしさ” 感じるチャーハンであろうか。
ちなみに食べた直後に私が記したチャーハンメモには、「意外とお腹いっぱい」と書かれていた。
ファーストコンタクトで私が感じた「少し量が少ないように思える」は見事に間違いだった。
人は見た目で判断してはいけないと言うが、チャーハンも見た目で判断してはいけない。
チャーハンは、人そのものなのである。
参考リンク:ぎょうざの満洲
執筆:チャーハン研究家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24
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