バンコクの日本人街として知られるタニヤ通りの一角に『牛野家(ぎゅうのや)』という店がある。名前を聞いただけではピンとこないかもしれないが、ここが牛丼屋であること、看板の色、字体などを確認すれば、多くの日本人が「あぁ……」となることだろう。

しかし「牛野家」についてネットで現地の口コミを検索すると、意外とめちゃめちゃ高評価で驚く。中には「吉◯家よりウマい」といった意見も多数見られ、こうなっては確かめてみるほかない。

・はじめての牛野家

ってことでやってきたバンコクの牛野家。

行列している場合も多く、何度か付近をウロついたのち空いているタイミングでエイッ! と入店に成功してみた。

全面ガラス張りの店内はカウンターのみキャパ10人強。ラーメン屋みたいだ。

タイではあまり見かけないフリーのお茶が嬉しい。どれ、メニューを見てみると……

一番目立つ位置で『ポキ丼』が鎮座していることに動揺を隠せなかった。どうやらこの店では、常夏のバンコクらしからぬ海鮮丼が人気メニューらしいのだ。牛野家なのに!

他にも変わりダネ牛丼や豚丼、鰻丼にうどんにカレーなど、どちらかといえば「すき家」っぽい品揃えなのであった。牛野家なのに!


・ウマイッ!!!!

私が注文したのは『牛丼(M)』(180バーツ / 約744円)と『生食用卵』(30バーツ / 約124円)。

多彩なメニューに目移りしないでもなかったが、そういえば牛丼を食いに来たことを思い出したのである。

これが牛野家の牛丼。大きめにカットされた玉ねぎが特徴。


ウ、ウマイッ!!!!


日本を離れて1カ月経過している(日本食が恋しい)というハンデを差し引いても、私がこれまでに食べた牛丼の中でトップ3に入るウマさなのではないだろうか。何がウマいって、とにかくコメがウマい。

ツユを吸った牛丼のコメは往々にしてベチャッとしたりボソッとしたりしがち。しかし牛野屋のコメはパーフェクトに近い硬さであり、厚切りで濃いめに炊かれた牛肉と非常によく合う。

勢いよくかき込んでしまったところで生卵の存在に気づき慌てて投入。タイの街角で生卵が食べられること自体が感動なのだが、卵かけご飯としてのクオリティもなかなかのものだ。これ……ガチで吉野家超えなのでは?


・タイの吉野家行ってみた

牛野家の味を忘れてしまっては比較にならないので、私はその日のうちにバンコク市内の吉野家へ赴いた。

チキン丼や揚げ出し豆腐といった珍メニューはまたの機会にご紹介するとして、脇目もふらず牛丼を注文だ。

タイの吉野家の牛丼はレギュラーサイズ139バーツ(約574円)。意外なことに牛野家より安い。

日本でも見慣れたこのビジュアル。果たしてお味は……


ウマい……けど牛野家ほどウマくないッ!!!


まずコメが牛野家と比べるとベチャッとしてボソッとしている。もちろんマズくはないのだが、具も牛野家に比べると味がぼやけている印象だ。評価できるのは “肉が柔らかい” 点だろうか。いや、それも単に薄切りなだけという気も……?

もちろん人それぞれに好みがあるので、あくまでも私個人としての見解にはなるが、今回の調査の結果「バンコクの牛野家はバンコクの吉◯家よりウマい」という噂は本当かもしれないことが判明した。バンコクを訪れた際はぜひ食べ比べてみてほしい。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.