これは意外と真剣なのだが、私は札幌すすきのの名店『成吉思汗だるま』の味がよくわかっていると思う。理由はかつて札幌で仕事していた時期があり、その頃は週5でだるまに通っていたからだ。

その『成吉思汗だるま』が東京に初進出を果たしたのは2024年7月のこと。「東京のだるまの味は本場と同じなのか?」──。それを正確に確かめられるのは、私以外にいないと思っている。

・だるま漬け

私が札幌で仕事をしていたのは2007年~2013年にかけてのこと。当時は東京と札幌を行き来しており、多い時には1年の3/4以上を札幌で過ごしていた。

職場も社員寮も すすきのにあったことに加え、仕事が終わるのは午前0時~早朝にかけて。その時は朝まで営業していた だるまに私が吸い寄せられるのは、ある意味で必然だったのかもしれない。

・ヘビーダルマー

私が通っていたのは「だるま6.4店」で、現場責任者のおばちゃんには「よくも毎日続くねぇ。今日は生? ハイボール?」と言われる程度には顔見知り。また通いすぎて “新人アルバイト” も一発で見分けられていた。

あれから10年以上経っているが、たまに札幌に出かければ必ず『だるま』に立ち寄って “だるま舌” をキープしている。当時とは違い「メニュー数が増えたこと」なども、一通り押さえているつもりだ。

・2つのポイント

その『だるま』の魅力は大きく2つで、1つはラムではなく「マトン」を使用していること。そしてもう1つが「なんかヤバいもんでも入ってるんじゃないの?」と何度も疑った、中毒性ギンギンの「タレ」である。

大人の羊肉「マトン」は成熟した肉の旨味が特徴。その肉をニンニク&唐辛子をたっぷり入れたタレに付けて味わうと、大げさではなく唯一無二の味わいに。複数の知人に札幌グルメを教えても、結局みんな「だるまが1番」って言うんだよなぁ。

そんな だるまが東京に進出して1番喜んでいるのは、真面目に私ではないだろうか? そして「本場と東京の違い」を見分けられるのも私であろう。「ヘビーダルマ―」という言葉があるならば、私は絶対に当てはまる。

・TOKYOだるまへ

さて、私が「成吉思汗だるま 上野御徒町店」に足を運んだのは、オープンから1週間ほど経ったときのこと。とんでもない豪雨に見舞われたことはさておき、およそ2時間並んで念願の “TOKYOだるま” に入店した。

で、結論から言うと「肉」に関しては100%同じと言っていいだろう。本場のだるまもコンディションがいい日と悪い日があるが、この日の “TOKYOだるま” は「普通の日」くらいのレベルはキープしていた。余裕でウマい。

また「タレ」に関しても全く同じ……と言いたいところだが、そもそも最初に提供されるタレの量が少ないことは残念だった。薬味のにんにくと唐辛子も、ビックリするほど小さい容器に入っているではないか。

これではソリッド感あふれる「だるまのタレの味」が続きにくく、タレに関しては「90%くらい同じ」と結論付けたい。2回タレのおかわりを貰ったが、そうじゃないんだよな、だるまは。1度でガツンと欲しいんだよ。

・1番違ったところ

そして何より本場と違ったのは「オペレーション」である。店外に並ぶのは全く気にならなかったが、問題は入店した後。オープンして間もないことはあるにせよ、オペレーションに関しては「拙(つたな)い」と言わざるを得ない。

肝心のオーダーでスムーズにいかないところもしばしば。百戦錬磨のおばちゃんたちほどは求めないので、しばしオペレーション力の向上に励んでいただきたいところだ。

まとめると「味はほぼ同じだだが、オペレーションの拙さのため満足度は結構違う」と感じた東京のだるま。本場ほどの名店になれるかは、オペレーションの向上にありそうだ。いつか本場をも凌ぐ名店と呼ばれるよう、現場のみなさん頑張ってください。超応援してます。

参考リンク:だるま
執筆:P.K.サンジュン
Photo:Rocketnews24.