ダルバートは日本で言うところの “定食” のような存在で、多くの日本人が毎日ご飯と味噌汁を食べているのと同じようにネパール人はダルバートを食べている。
そんな筆者が東京・巣鴨のネパールレストラン「プルジャダイニング」を紹介し、ネパールワインの取り扱いもあると言及したところ、商品の輸入を手掛ける「極東企画」から筆者のXにコンタクトがあり、ネパールワインをご提供いただける運びとなった。
フランス、イタリア、スペイン、南アフリカ、アメリカ、チリ、それに日本も。筆者もこれまで各国のワインを飲んできたが、ネパールワインというのは未体験。是非とも味わってみたい。
・日本に上陸したばかりのネパールワイン
現在、極東企画のサイトで取り扱いがあるのは左から白ワイン「BigMaster Chenin Blanc(1980円)」、赤ワイン「BIG MASTER Perfect Fruit Dry Wine(1500円)」、赤ワイン「Big Master Syrah(1980円)」の3種。8月31日まで40%セールを行なっており、この価格で購入可能だ。
今年2月から日本への輸入を始め、5月から都内や横浜、横須賀などのネパール料理店に卸すようになったという。日本に上陸したばかりじゃないか。
飲食店のオーナーがネパールワインを個人輸入して店舗で提供することはあるようだが、酒販免許所有者が販売しているネパールワインは日本で極東企画のものだけだという。
ワインはネパール中部、標高約1500mのバネパという街が産地。同商品は現地のスーパーマーケットでも取り扱いがあり、地元の人も愛飲しているそうだ。
この3本のワインを、近所のネパール料理店からテイクアウトしてきたマトンのセクワ(ネパール風炭焼き)とミックスアチャール(ダイコン、ジャガイモ、ニンジン、キュウリなどを使用したネパール風漬物)と合わせてみることにした。
・ソムリエ資格保有者も絶賛した白ワイン
まずは白ワイン「BigMaster Chenin Blanc」からいってみる。ラベルには雄大なエベレストが描かれ、英語で「エベレストの国生まれ」という記載もある。
最高級の「シュナン・ブラン」というブドウを使用したミディアムボディのワインで、ソムリエ資格を持つ東京・渋谷のネパール料理店のオーナーもその味を絶賛したというから期待してしまう。
キリッと冷やしたワインを口に含んでみると……
あっ、これは美味い。ストレートに美味い。スイスイ進んでしまい気づいたら酔っぱらってしまうタイプの酒だ。
塩気とターメリックが効いたアチャールが合う。
極東企画のサイトには「チキン、サラダ、魚、チーズとの組み合わせが最適」とあり、たしかにさっぱりした料理に合うのだろう。オリーブやアチャールぐらいの前菜系の料理にピッタリだ。
塩気とスパイスがガッツリ効いたセクワとの相性はどうだろうか。
これも間違いない味。しかし、こういった肉料理には白ワインよりも赤ワインの方が合うはず。「BigMaster Chenin Blanc」は肉料理やバターが効いたどっしりとしたフレンチなどより前菜、シーフード、軽めのエスニック料理がしっくりきそうだ。
・赤ワインは力強い肉料理と相性抜群
続いては赤ワイン「Big Master Syrah」を味わってみる。
最高級の「シラーブドウ」を使用したミディアムボディのワインとサイトにはある。
鼻を近づけるとやや樽の香りがする。味は……
タンニンなどは感じない若い赤ワインという印象。それだけにアチャールなどの前菜系もいける。これぐらいスッキリ系の赤ワインだったらシーフードにもある程度合うだろう。
力強いセクワもしっかりと受け止めてくれる。肉料理との相性は抜群だ。
マトン臭強めなセクワをちびちびとかじりつつ、ゆっくりとワインを嗜んでダルバートでシメる。ネパール料理店でそんな楽しみ方をするのもよさそうだ。
・セクワとの相乗効果がたまらない個性派赤ワイン
もう1つの赤ワイン「BIG MASTER Perfect Fruit Dry Wine」はどうだろうか。
サイトには「オリジナルフルーツ(ブドウ)」のドライワインと解説があり、常温だけではなく冷やして飲むのもオススメだという。
やはりやや樽の香りを感じる。
飲み口はやや軽め。だけど……あっ! 後味がかなりスパイシー。セール価格1500円と3本の中で最もリーズナブルだが、最も個性的だと筆者は感じた。
アチャールの塩気をすっきりと洗い流してくれるし、
力強いセクワの味もしっかり受け止めてくれる。加えて、ワインのスパイシーさがセクワのスパイス感を引き立てる。相乗効果でワインもセクワもどんどん進んでしまう。
3本の中で最もネパール料理やエスニックに合うのではないか。ネパール料理店に「3種のワインとネパールおつまみの飲み比べセット」とかあったら最高だろうなぁ。
まだ日本ではほとんど知られていないネパールワインだが、今回ご提供いただいた3本はいずれもリーズナブルながらしっかり美味しかった。今回はネパール料理に合わせたが、当然ながら和洋中もいけるだろう。
8~9月には試飲イベントも計画中とのこと。日本上陸間もないネパールワインを賞味できるチャンス。まだ日程は決まっていないようなので極東企画のXをフォローしておくとよさそうだ。
執筆:ダルバート研究家・田中ケッチャム
Photo:RocketNews24