いつか来る、いつかその時が来ると思いながら、ついに来てしまった……。この連載で長らく1位の座に君臨してきた、JVCケンウッド「HA-FX6-T カナル型イヤホン」が、いずれその座を明け渡す日が来ると思っていたら、本当にその時が来てしまったのだよ! 今回は順位が変わるぞ~!

最近頂いたリクエストで2人の方が激推ししていた製品がある。それは「ハイユニット HSE-A1000」だ。2人も推薦するということは、よほど良い製品に違いない。ということで、実際に聞き比べをしてみたら……、このイヤホンめっちゃええやん!

・2人が推薦のイヤホン

この製品は「求めやすい価格帯でリスナーの感動を深めるイヤホン」をコンセプトに立ち上げられたブランド「ハイユニット(Hi-Unit)」のイヤホンである。

低価格イヤホンの製造を手掛ける「アルペックス社」と、イヤホン・ヘッドホンの専門店「e☆イヤホン」、コラボ企画を行う「TMネットワーク社」の3社で共同運営で始まり、2021年7月に「Hi-Unit branding.株式会社」の立ち上げるに至っている。

製品の評価は高く、とくにこの「HSE-A1000」は2017年の販売開始以降、現在も売れ続けている人気モデルである。


購入時に価格が気になったのだが、私(佐藤)がヨドバシカメラで購入したピンクは税込712円で販売していた。その隣にあったイエローは税込1320円だった。同じ製品の色違いで倍近い価格差があるとは!? 色が違っても同じ音がするはず、ってことで私はピンクを選んだ。


箱の中身は本体とイヤーピース(キャップ)がXS・S・Mの3種。本体についているのはSサイズである。


イヤーピースはやや硬めで内孔は深いタイプ。


ドライバーユニットの直径は10mm。見た目は一般的なイヤホンとそれほど変わらない気がする。


装着してみると、耳の収まりがよくイヤーピースが耳穴にしっかりフィットしている。遮音性が高く、周りの音が聞こえなくなった。中華系イヤホンは雑なイヤーピースが付属していることがよくあるけど、ここのはイヤーピースにもこだわりを感じるぞ。



・聞き比べ

今回聞き比べに使う楽曲は、映画「トップガン」のテーマソングとして知られる、ケニー・ロギンスの「Danger Zone」である。

まずは先攻、JVCケンウッド「HA-FX6-T カナル型イヤホン」から聞こう。


イントロのソリッドなギターリフから始まり、ハーフテンポを織り交ぜながらダイナミックに曲が進行していく。抑揚のある曲展開に緊張感があり、映画の興奮をそのまま音楽にしたような曲。トップガンのテーマにふさわしい曲はこれをおいてほかにはないだろう。

さて、HA-FX6-Tで聞いてみると、冒頭のギターリフとリズムを支えるバスドラムがしっかり聞こえている。ロック向きのイヤホンとは言い難いが、それでも曲を構成する音のすべてがバランスよく耳に入ってくる


次にHSE-A1000でも聞いてみよう。


再生ボタンを押した瞬間に、「お!」と思わず声が出た。違う! これまでの格安イヤホンとは聞こえ方が違うぞ!

イントロからAメロまでを聞いただけで、「これはもしや、ケンウッドのHA-FX6-Tより音が良いかも!?」と思わずにはいられない。とくに高音の分離に優れていて、ハイハットの刻みがしっかりと聞こえる。あらためてHA-FX6-Tで聞き返すと、ハイハットの音が埋もれている気がしてしまうのだ。

これは1位が変わるかも!? いや、まだだ。まだわからん! もう少し見極める必要がある。ってことでサドンデス。プロコル・ハルムの「青い影」でも聞き比べ。


さらにオスカー・ピーターソントリオの「You Look Good To Me」でも聞き比べてみた。



その結果……、ハイユニットのHSE-A1000の方が勝っている! この音は聞き心地が良い。高音の分離がよく、さらに音場もケンウッドのHA-FX6-Tよりもやや広く感じられる。

正直私はケンウッドHA-FX6-Tの方を贔屓めに見ているところがあった。長くこのシリーズで他の追随を許さなかっただけに、強い信頼を寄せていたのである。その贔屓な気持ちをもってしても、ハイユニットのHSE-A1000の方が音がいいと言わざるを得ない

価格もHA-FX6-T(税込821円)よりもHSE-A1000(税込712円)の方が安い。安くて良い音を聞かせる格安イヤホンの鑑(かがみ)ともいうべき逸品だ。よって、ついに1位が動く!


1.アルペックス(Hi Unit)「ハイユニット HSE-A1000(PK) 税込712円
2.JVCケンウッド「HA-FX6-T カナル型イヤホン 税込821円
3.セブンイレブン(JVCケンウッド)「HA-FX711F-B 税込1207円


このランクは随時更新していきたいと思う。皆さんの音楽ライフの参考になれば幸いである。

参考リンク:Hi Unit
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

▼こちらもどうぞ!