
ネパールの国民食「ダルバート」──日本の “定食” のような存在で、日本人がほぼ毎日ご飯と味噌汁を食べているのと同じようにネパール人はダルバートを食べている。
「ダルバート」はダル(ひき割り豆のスープ)とバート(米飯)というワードの組み合わせ。これにカレーやスパイスで味や香りづけをした野菜などのおかず(タルカリ)やピクルスのような漬物(アチャール)がついてくる。まさに定食的なありがたい存在だ。
・アクセスは悪いものの足を運ぶ価値アリ
今回訪れたのはJR三鷹駅から徒歩25分(!?)ほどの「ヤキトリネパリ」。スパイスカレーとヤキトリがウリの店で、町中華の居抜き物件で営業している。店名のロゴが可愛い。
正直言ってアクセスはよろしくない。しかしながら、実際に行ってみると足を運ぶ価値のある店だと実感できるはずだ。
「徒歩で来た!」シリーズに比べればなんてことない距離だし、三鷹駅から路線バスも出ているので数十分歩かずともたどり着ける。
店外のウィンドウにはメニューやその説明がズラリと並んでいる。初見でも入りやすい雰囲気を醸し出していて店側のホスピタリティが感じられる。
ヤキトリは昼も提供。昼飲みも推奨してくれている。
・「金曜日限定カレー&ネパールヌードル」個性派メニューも提供
入店してみると、カウンター席とテーブル席が4卓ほど。こぎれいな町中華といった雰囲気。
ランチメニューは「チキンカレー(910円)」、「エッグカレー(850円)」、「ダルカレー(820円)」、「モモ(ネパール風蒸し餃子)とごはん(930円)」というラインナップ。
さらに店内メニューにはダルカレーとチキンカレーの「ハーフ&ハーフ(1050円)」や金曜日限定の「ビーフカレー(1000円)」、
「ネパールヌードル(700円)」や「ネパールヌードル・モモ入り(2個980円 / 3個1120円)」なんていうそそられるメニューもある。
町中華さながら、黒板の日替わりオススメメニューも見逃せない。
ランチメニューの裏にはモモの詳しい解説もあり。モモって親鳥のスープで蒸されていたんだ。知らなかった。
・ネパールの串焼き「セクワ」でホッピーを飲る
昼飲み推奨店なのでまずはホッピーセット(460円)を白で注文。暑い中、長距離を歩いた後の冷たいホッピーは全身にしみる。
ネパール・ポカラ出身の店主は10年ほど日本のヤキトリ居酒屋で働いた後、2022年10月に「ヤキトリネパリ」を開業したという。店内BGMにウルフルズの曲がうっすら流れていたが、それも日本の居酒屋で働いていた経験があるからこそ成せる心意気だ。
だったら焼き物を注文しないわけにはいかないだろう。ツマミ系メニューも昼から注文可能。というわけでお願いしたのは「セクワ(1本190円)」。注文は3本からとのこと。
セクワは炭火で焼いた肉のことで、提供するネパール料理店も続々と増えている。目の前の焼き台でジワジワと火を通されるセクワを眺めながらホッピーを飲(や)る。
同店のセクワで使用されているのはマトン。一口頬張ると……やや噛み応えがあり、スパイスがばっちり効いていて美味い! しっかりとスパイスに漬け込んだからこそ出せる味わいだ。しかし、辛いというわけではない。かぐわしいスパイスの香りや香味野菜の風味を感じる。
1本でホッピー1杯。結果、セクワ3本で「ホッピーなか(220円)」を2杯消費してしまうほど酒が進んだのも致し方ないだろう。
串入れも個性的な店名ロゴが入っていて可愛い。
・「ダルバート」と呼ばれるメニューは2種類
ダルバートに取り掛かっていく。ランチメニュー、店内メニューで「ダルバート」と呼ばれるものはダルカレーとハーフ&ハーフの2つ。
というわけでハーフ&ハーフをライス少な目でオーダー。ハーフ&ハーフをメニューに加えたのは取材日の2~3日前とのこと。いいタイミングに来店できてよかった。
中央に配置された “ダム” のような役割を果たしているライスの左側がダルカレー(ダルスープ)、右側がチキンカレー。中央のライスの上からダイコンの漬物、青菜炒め、パパド(豆から作られた煎餅のようなもの)が添えられている。
・「ニンニクガツン系」のダルカレーでライスが進む
まずはダルカレーで喉を潤す。
おっ! かなりニンニクが前面に出ていてガツンとした味わい。濃度は高めでポタージュスープのような味わい。これはライス泥棒だ。
チキンカレーは……ヤキトリがウリな店だけあって柔らかい。スプーンで容易にカットできる。
カレーはほどよくスパイスが効いていて辛い物が苦手な人でも食べられるはず。注文時に「辛口で」と伝えれば辛くしてくれるぞ。
パパドを砕いてふりかけの如くライスに散らし、ダルカレーを重ねて「ネパール式ねこまんま」を堪能。パパドの食感、ニンニクガツン系のダルカレーでスプーンが進む。
ダイコンの漬物は結構スパイスが効いていながら酸味もあって爽やか。青菜炒めもカレーやライスと一緒に食べるといいおかずになる。
・「ライスのダム決壊」新たな気持ちでダルバートに向き合える
ライスのダムを崩し、カレーの泉を合流させていく。
スパイス系のチキンカレーとニンニクガツン系のダルカレーでまた新たな味わいになって新鮮な気持ちでダルバートに向き合える。
最終的にすべての味を重ねてかきこんでいく。ほどよい辛さ、スパイス感、ニンニク感、野菜のおかずの食感が渾然一体となっていく。これがダルバートの醍醐味だ。
勢いのまま完食。ちょっとだけ残しておいたホッピーを流し込んで大満足。
・今回訪問した店舗の情報
店名 ヤキトリネパリ
住所 東京都三鷹市下連雀7-9-4
営業時間 11:00〜15:00(ランチ)、17:00~0:00(ディナー)
定休日 月曜日
執筆:ダルバート研究家・田中ケッチャム
Photo:RocketNews24
▼店名ロゴだけでなく、店主や店員さんが着ているTシャツのデザインも可愛い。周辺はマンションや団地が建ち並んでおり、駅から離れていながら近隣住人やファミリー層に愛されている良店。
何より居酒屋出身の店主のいなせな接客が気持ちいい。ヤキトリやネパール系のツマミで酒を飲み、ダルバートやネパールヌードルでシメるという楽しみ方もオススメだ。
田中ケッチャム

























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