格安のイヤホンの音質を探るこのシリーズ。今回紹介するのはリクエストを頂いた製品である。ローソンストア100で販売している「密閉カナル型ステレオイヤホン低音重視タイプ」、購入価格は税込130円である。

近頃1000円台の高い製品の紹介が続いていたので、500円以下の製品をお教え頂けて大変助かる。実際にその音を聞いてみたところ……、あ、あの~コレ~、たしか低音重視タイプだよね? その音鳴りに思わず頭を抱えてしまった。

・130円の格安イヤホン

これはスマホアクセサリーの製造販売を手掛ける「株式会社アットキュー」の製品である。私(佐藤)は編集部最寄のローソンストア100で購入した。

パッケージには必要最小限の情報しかなく、再生周波数帯域や出力音圧レベルなどは不明。「通常より低音域を少し強調した音質」という、わかるようなわからないような説明が記されている。


袋の中身は製品のみで替えのイヤーピースはない。本体に付属しているのはおそらくMサイズだろう。130円という低価格ゆえ、替えを用意するだけの余力はなかったと見える。


形状はカナル型、耳穴にストレートに差し込むタイプだ。


幸い、このイヤーピースで私にはちょうどよかった。普段SサイズやLサイズを使っている人には、フィットしない可能性も否めない。



・聞き比べ

今回の検証材料はザ・ビートルズの「Come Together」である。低音重視とおっしゃるので、低音の主張が強いこの曲を選んだ。ビートルズを検証に使ったことがないといまさら気づいたのも、この曲を選んだ理由である。

さて、いつものように先攻はJVCケンウッド「HA-FX6-T カナル型イヤホン」である。


曲については説明するまでもないのだが、うねるようなベースリフとドラムのコンビネーションが印象的だ。作詞作曲を手掛けた、ジョンとポールの卓抜したセンスが垣間見える曲のひとつではないだろうか。

HA-FX6-Tはそのうねるような低音パートと、ジョンのハスキーなボーカル。それから曲にスタイリッシュなエッセンスを与えるエレキピアノの音をバランスよく聞かせてくれる。曲のクールなイメージを損なうことなく再現している。


続いて、ローソンストア100の方でも聞いてみよう。


再生ボタンを押して、1秒で私は頭を抱えた。いや、0.5秒だったかもしれない……

とにかく頭を抱えてしまった。なぜなら、「別の曲かな?」と思うほど音質が違いすぎたからだ。低音重視とおっしゃっているのだが、残念ながら低音が死んでる……

擦り切れるほど聞いたカセットテープにこの曲を録音して、1980年代のカセットウォークマンで再生したんじゃないか? と思うほど、音が脆弱。やせ細って骨と皮だけのようになっている



よく解釈すればレトロサウンドではあるけど、とてもデジタル音源を聞いているとは思えない。デジタルの音を超絶劣化テープクオリティに変換してしまっているんじゃないのか?

強いて例えるなら、「アットホームな職場です」という採用広告を見て、面接に行ったら「家族経営の超絶ブラック企業だったでござる!」ってくらいかけ離れているぞ。低音出てねえ! いっそ低音が出過ぎて、音がモゴモゴしてるくらいであってほしかった……。

まあ、ある意味価格相応。130円ならこのくらいで十分かもしれない。ということで、順位変動はありません!


1.JVCケンウッド「HA-FX6-T カナル型イヤホン 税込821円
2.セブンイレブン(JVCケンウッド)「HA-FX711F-B 税込1207円
3.ナガオカ「ハイレゾ音源対応イヤホン P908IB 税込1298円


このランクは随時更新していきたいと思う。皆さんの音楽ライフの参考になれば幸いである。

参考リンク:アットキュー
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24