新宿駅東南口の階段をおりた先、賑やかな駅前広場の目の前に……時が止まったようなレトロ食堂がある。昭和の雰囲気が漂う赤い屋根によると「長野屋」という名前らしい。

なんとなく初見で入るには少し勇気がいる佇まいではないだろうか。しかしどうしても入ってみたかったので仕事帰りに立ち寄ってみると……そこは華やかな街・新宿のイメージとはかけ離れた “異世界的 大衆食堂” だった。

・昭和どころか大正生まれ


お店に近づいてみると「1915年創業」と手書きの文字を発見。昭和どころか大正生まれ(大正4年)らしい。てことは、来年が創業110周年となる。駅前にこんな老舗食堂があったとは。



メニューも色々あるようだ。「幸福の黄色いカレー」とやらが名物なのだろうか。支払いは現金のみ。昔ながらの大衆食堂では、電子マネーではなく現金で支払いたい。



そんなわけで平日の夜、人々がネオンの輝く方へ流れていく中、タイムマシンに乗るようなつもりで食堂の扉を開けた。




・サラリーマンと瓶ビール

店内はイメージ通りの大衆食堂。仕事を終えたサラリーマンが唐揚げや肉豆腐をつつきながらビールを飲んでいた。

駅前には老若男女、国籍を問わず様々な方がいたが、食堂に吸い込まれるのは40代以降のサラリーマンがほとんどのようだ。もしかすると10代、20代には見えないのかもしれない。窓の外を眺めながらそう思った。

端っこのテーブル席に着いて、あらためてメニューを確認し、カツカレー(990円)を頼むことにした。店頭で見た「幸福の黄色いカレー」が気になっていたので。



・カツカレー

5分も待つことなく、2階から配膳用エレベーターに乗って「お盆にのったカツカレー」が登場。ライスの上にカツがのり、カレールーがどばーっと全体を覆い尽くすスタイル。昔の洋食屋のような見た目。


思ったほど黄色くはないが、けっこう明るい。そして見た目どおり、野菜の甘さを感じる優しいカレーだった。歴史を感じる家庭的な味。



辛さを求めている人には少し物足りないかもしれないが、食堂のカレーとはこういうもの。懐かしさがたまらない。カツは揚げたてでサクサク。卓上の中濃ソースをかけても美味しい。きっとまた食べたくなるだろう。



豊富なメニューと落ち着いた店内は、まさに新宿のオアシス。昔の長野屋の写真を眺めながらゆったりとした時間を過ごすことができたぞ。


そんなわけで、やはり古き良き大衆食堂は最高。次回は肉豆腐と瓶ビールを頼みたい。皆さんも機会があればぜひ。


・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名:長野屋
住所:東京都新宿区新宿3-35-7
時間:11:30〜21:30
休日:水曜日

執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.