私(耕平)は、飛行機に乗る時は必ず窓際の席を取る。理由は明白で上空からの景色を楽しみたいからだ。
離陸の瞬間や雲海を突き抜ける感覚、高度1万メートルからの絶景。これらを体験するには、窓際席が必須である。
そして6月上旬にも沖縄本島に訪問すべく、窓際席を予約。しかしこの日、絶景を楽しめるはずの窓際席が地獄に変貌するとは予想だにしなかった──。
・搭乗前の落とし穴
久しぶりの沖縄本島。今回着いたら、真っ先にやりたいところがあった。それは国際通りの公設市場周辺にある「せんべろ巡り」だ。
この旅行前に「那覇で地元のラジオパーソナリティに「1番美味い せんべろの店を教えて!」とお願いして連れて行ってもらった結果…」という企画で、教えてもらったお店を数軒回ろうと考えていた。
実はその前に5日ほどアルコールを絶っていた。このままだとすぐに酔ってしまいそうなので、アイドリングしなければ……と思い、初めてフライト前にアルコールを摂取した次第だ。
もちろん、搭乗前にトイレも2回済ました。ちなみに私は国内旅行しか行っていないため、飛行機に乗っている時間は多くても3時間半程度だ。そして機内にあるトイレは、過去に1度も使用したことがない。
出発15分前になり、飛行機に乗り込む。
予約していた右側の窓際席に着席。しかしこの後、トラブルが発生。悪天候の影響で、空港で30分待機することとなった。その時、何か下半身にムズムズした違和感を覚える。
そしてようやく、飛行機が離陸。
この日の便は、ほぼ満席で私の左隣には男女2人の乗客が乗っていた。
実はもうこの時、トイレに行きたくてしょうがない状況に陥っていた。しかし離陸直後はシートベルトの着用ランプが消えない限り、機内の移動はできない。
そして我慢しながら30分ほど経過して、ようやく着用ランプが消えた。
・まさかの事態が発生
「よし! これでトイレに行けるぞ」と、ふと隣の席を見ると……2人ともメッチャ爆睡中。
これは困った……1人ならまだしも、2人を起こしてトイレに行くというのは実に気が引ける。その後、CAさんがお茶などの飲料を運んでくるも、一向に起きる気配がなかった。
さらにそこから約1時間、隣の2人はピクリとも起きない。そして時間が経つにつれ、尿意はますます強くなる。
どうしたものか……私が座っている席は前から5つ目。トイレは目と鼻の先なのに、あの距離が移動できないという、もどかしさに駆られる。
そして到着まで、残り1時間を切る。
もう2時間は、この猛烈な尿意と格闘している。「もう限界だ…」そう思いながらも、隣の乗客を起こす勇気が出ない。まさに八方塞がりの状況だった。
・さらなる試練
その頃、左隣に座っていた女性がようやく目を覚ます。しかし奥の男性は、相変わらず爆睡中だった。
思えば、この2時間少しの時間で「アルコールなんて飲むんじゃなかった……」「なぜ、こんな目に遭っているのか?」など、ずっと後悔の念に駆られていた。
そして、飛行機は着陸態勢へ。機内にはシートベルトの着用を促すアナウンスが……。
那覇空港まで、あと少し。果たして未曾有の大惨事で生き恥を晒すのか……神よ、我に奇跡を!
その願いが叶って、ようやく念願の那覇空港に着陸!
ようやくトイレに行けると思ったその時、予想はしていたが最後の砦が立ちはだかる。そう、他の乗客が荷物を取り出すために、通路が大渋滞していたことだ!
「どいてくれぇぇぇ!」と叫びたい衝動を必死に抑えながら、ようやく機内から脱出。空港のトイレに駆け込んだ時の安堵感は、言葉では表せないほどだった。
・教訓
今回の経験から窓際席でアルコールを楽しむのは、想像以上にリスクが高いことがわかった。景色を楽しみたい、アルコールも飲みたい……だが、その代償はあまりにも大きすぎるのだ。
ということで、飛行機でアルコールを飲むときは……
「窓際席を選ぶが、アルコールは控える」
「アルコールを楽しみたい時は、通路側の席を選ぶ」
の2択になるだろう。
楽しい旅行の思い出が、トイレ我慢の記憶で台無しになる……これほど悲しいことはない。私みたいにならないよう、賢明な選択を心がけて快適な空の移動を楽しんでほしい。
執筆:耕平
Photo:RocketNews24.