とんかつ専門店『松のや』がとんかつを超えてしまったことは以前の記事でお伝えした通り。この記事に対し、松のやの公式X(@matsu_noya)が「松のや=パン粉がついた商品というイメージ脱却のための試金石」とポストしていた。いや、だからとんかつ専門店がパン粉脱却したらアカンやろ。目を覚ませ松のや

と、そう思っていたらついに気づいたみたいだ。2024年5月22日から販売開始したメニューにはこんな言葉が添えられているのである。「やっぱりとんかつ屋は、とんかつを売らないとね」と──。

・価格は変わらず

やっと当たり前のことに気づいてくれた松のや。その販売開始されたメニューとは超厚切りロースかつである。とんかつが160gと分厚くなる本メニューは以前にも登場したことがある人気メニュー。

「超厚切りロースかつ定食(税込930円)」だけでなく、「超厚切りロースかつ&海老フライ定食(1尾1200円、2尾1470円)」や「超厚切りロースかつ&唐揚げ定食(1200円)」など、色んなメニューが展開されている。ここも以前と同じ。

しかし、メニューのカムバックと言えば、価格が高くなっていることもよくあるご時世である。そこで以前の情報と見比べてみたところ、内容が同じものは基本価格も変わっていないようだ。松のやありがとな!



・新登場のメニュー

また、新しく登場している定食も結構ある。「超厚切りロースかつ&イカフライ定食(1170円)」「超厚切りロースかつ&白身魚フライ定食(1170円)」「超厚切りロースかつ&チキンむねかつ定食(1270円)」「超厚切りロースかつ&ガーリックバターチキンむねかつ定食(1370円)」の4つがそれ。あとは、普通のカレーだったかつカレーが黒カレーになり120円アップしている


・松のやの味

価格にしても種類の増え方にしても、松のやのやる気を感じた。ついに松のやがとんかつを売る気になったのである。というわけで、「超厚切りロースかつ丼(970円)」を注文。

やっぱり松のやと言えばかつ丼だ。出てきた超厚切りロースかつ丼は見た目の時点ですでに分かるくらい段差がくっきりついている。だが、食べてみると、その厚みはより鮮明だ。いつもの調子でかぶりついたら口の中が肉でいっぱいになる。

ところで、私は松のやのかつ丼の割下が好きだ。甘すぎない割下と卵のまろやかさのハーモニーこそ松のやを本当に評価できる点だと思う。その味のままとんかつも厚くなっている超厚切りロースかつ丼は、ただボリューミーなかつ丼というだけではないプレミアム感があった



・真実

490円時代からどれだけこのかつ丼の味にお世話になってきたことか。970円だったら肉自体はもっとウマイところもあるかもしれないけど、私はこれが食べたかったのである。

というわけで、パン粉からの脱却を宣言したとんかつ専門店がとんかつを売らないといけないことに気づいた今回のキャンペーン。まるで、家出したパン粉と和解したかのような「良かったね」感がある。

『天空の城ラピュタ』で科学技術が極限まで発達したラピュタ人が、最後に人は土から離れては生きられないことに気づいたように、とんかつ専門店はパン粉を離れては生きられない。帰ろう母なるパン粉に。松のやのこれからを応援せずにはいられない。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.