探すまでもなく色んな趣向を凝らしたラーメン屋が建ち並ぶ今日この頃。だが、今ほどラーメンブームが開花していなかった20年前、大阪で貧乏大学生をしていた私(中澤)の周りでは心斎橋でラーメンと言えば金龍ラーメンであった。
それほどラーメン好きではなかった私。ある日、あまりにも金龍ラーメンに行くもんだから「金龍ラーメンやだ!」と言ったら、ラーメン好きの友達が別の店に連れて行ってくれた。「誰にでもオススメできる」と。
その店は確かに私からしても美味しかった。あっさりして優しいのにコク深いつゆの味。ここのラーメンは違う。初めて食べた時そんな感動を覚えた店こそ『どうとんぼり神座(かむくら)』だ。神座のラーメンはひと味違う──
・店舗限定メニュー
ラーメンに関しては素人の私でもそう認識していた神座だが、ご飯メニューについてはイメージが全くない。だが、通りかかった神座の店外メニューをぼんやり眺めてみたところ「炒飯(並537円、大764円)」と記載されていた。
いや、そんなんあったんかい!
思わず、そう思ってしまったのは神座浅草ROX・3G店。そこで公式サイトで確認したところ、炒飯は店舗限定で展開されているメニューだった。東京だと展開されているのは、ららぽーと立川立飛店、中野サンモール店、浅草ROX・3G店の3店舗だけのようである。
・分量
そこで入店してタッチパネルを見てみたところ、この店では「半炒飯セット(+319円)」「炒飯セット(+500円)」「半炒飯餃子セット(+500円)」などもあるらしい。ラーメン専門店というか、町中華っぽいラインナップである。
単品で炒飯大盛を注文してみたところ、まさに町中華みたいな炒飯が出てきた。大盛にしては普通の量だと思いきや……
深い。
丼にしっかり入っているため、量的にはなかなかガッツリしていると言えるだろう。食べてみると、味的には京都王将(餃子の王将)に近い。大阪王将ほど味付けが濃くなくて、卵の豊潤さとか素材の味が感じられるところなんてそっくりだ。
・予想を超えた
そのプレーンさはそれはそれで美味しい。ただ、量が量ゆえに、途中でちょっと飽きてきた。そこで席に備え付けの調味料で味変を試みたところ……
辛味ニラ合いすぎィィィイイイ! ちょっとした辛みが刺激になりつつ、たまに顔を出すニラの食感が炒飯に新しい価値観を提示する。「シャクシャクなのもアリじゃない?」と。
さらに、豆板醤を投下すると……
炒飯がネクストレベルに到達した。
ビシビシと叩きつけられるような辛さにレンゲが止まらない。この炒飯、キレている。おだやかな心を持ちながらはげしい怒りによって目覚めてしまっている……!
・「辛ニラ炒飯」爆誕
期せずして爆誕してしまった伝説の超(スーパー)炒飯。私はこれを「辛ニラ炒飯」と呼ぶことにした。
炒飯の味自体は京都王将に似ていると前述したが、この味は神座の調味料だからこそ成し得た神座ならではのウマさと言える。そのキレっぷりは御飯のブチギレ開眼レベルだ。炒飯のある店舗に出会ったら試してみてくれ。飛ぶぞ。
それにしても、ラーメン屋のご飯ものをレポートしている本連載『ラーメシ通信』も今回で第11回となったが、実は炒飯があったのは初めて。ラーメン屋の券売機に眠るメシ、略して「ラーメシ」。その個性に各ラーメン店の試行錯誤を感じずにはいられない。
・今回紹介した店舗の情報
店名 どうとんぼり神座 浅草ROX・3G店
住所 東京都台東区浅草1-26-5 浅草ROX 3G 1F
営業時間 11:00~22:00
定休日 無休